幸村
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その日私は泣いていた。小雨が降って肌寒い中、私は傘も差さずにただ1人嗚咽を漏らしていた。
私の心を写したかのように小雨だった雨は強くなっていく。
何となく来ていた花壇の前で1人蹲る。
小さな花々は美しくもたくましい。私なんかとは大違いだ。
マイナスなことを考え、更に憂鬱な気分になっているとふと、雨が止んだ。不思議に思って顔を上げると、そこには幸村くんがいた。
「○○さん?どうしてこんなところに?」
驚いた顔で問いかける幸村くんに何だか惨めになり、上げた顔を俯かせる。すると幸村くんは蹲る私の隣に腰を下ろした。
「雨の日に傘を差さないなんて、風邪を引いてしまうよ。」
優しい声色で幸村くんは私に言った。そんな幸村くんに素直になれず、いいよ、だなんて可愛くないことを言ってしまう。すると幸村くんはくすりと笑った。
「俺が良くないよ。キミが風邪を引いたら困ってしまうな。」
そんな幸村くんの言葉に、私は顔を上げた。さっきよりも近い距離にある幸村くんの顔は変わらず綺麗で、優しく微笑んでいた。
「……なんで幸村くんが困るの。」
私が拗ねたようにそう問いかければ幸村くんはその綺麗な顔を崩さず言った。
「寂しいだろ、キミが学校を休んでしまうと。俺は○○さんと話すのが楽しみなのに。」
幸村くんの言葉に私は驚く。何も言えずに固まっていると幸村くんは立ち上がる。
「もう遅いし、送っていくよ。さあ、立てる?」
そう言って差し出された幸村くんの手に私は恐る恐る自分の手を重ねる。すると幸村くんは私の手をしっかりと握って優しく立ち上がらせた。
身長差はあるのに、未だ私の上は雨が止んだままで、少し濡れていた制服は乾き始めていた。だけど代わりに幸村くんの制服が少し濡れてしまっているのに気づいた。
「幸村くん、私傘いいよ。幸村くんが濡れてるの嫌だし…。」
そんな私に幸村くんは一瞬驚いた顔をするとすぐにまた微笑んだ。
「どうして?俺は濡れてもいいよ。」
「良くないよ、だって…。」
濡れてもいい、そんなことを言う幸村くんに言い返そうとすれば、この後言おうとしたしていた言葉に口を噤んだ。そんなことを知ってか知らずか幸村くんは少し意地悪に笑う。
「俺と、同じ理由だったら嬉しいんだけど。」
黙ってしまった私の顔を覗き込むように、幸村くんは上半身をかがませた。赤くなっているであろう顔を見られたくなくて、私は幸村くんに静止の意味で軽く押し返す。それでも幸村くんはびくともしなくて、嫌でも体格差を感じさせられる。
「フフ、もしかして図星?」
分かっていてそんなことを聞いてくる幸村くんに私は顔を逸らした。すると幸村くんは何てね、と言って元の姿勢に戻る。
「泣いてた理由、聞いてもいいかな?」
幸村くんはきっとずっと聞きたかったであろう言葉を口に出す。私のことを思って今まで避けてくれていたんだろう。そんなことを思いながら私は頷いた。
「友達と喧嘩したの。わたしが悪いのに、引かなかったから。…その子に酷いこと、言わせちゃった。」
泣きそうになりながら答える私に優しく微笑んだまま、幸村くんは聞いていた。
「今は難しいかもしれないけど、謝ればその子も分かってくれるんじゃないかな?○○さんは心優しい人だから。」
「優しくなんて…そんなこと…」
「あるよ。…だって俺が合宿で花たちの世話を出来ないのにどうしてこんなに元気なんだろうって思ったんだ。」
その言葉に私は逸らしていた顔を上げる。
「もちろん、少しの間手入れしなくったって花たちは生きられる。だけどこんなにも瑞々しく、元気ではいられない。」
幸村くんは優しい声色で続ける。
「でも1つだけ、あるんだ。元気でいられる方法が。…誰かが世話してくれること。」
その言葉に私は恥ずかしくなってしまう。彼は知っているのだ。幸村くんが不在の間、ここの世話をしていたことを。
「心優しいキミだから、やってくれたんだろう?…先生に聞いたんだ。○○さんだったんだね。」
微笑みながらそう言った幸村くんに私は顔が赤くなるのを感じる。
「えっと…。幸村くん、よく私に話してくれてたから…。お花たちのこと。」
「そうだね。…でも、それだけ?」
幸村くんの言葉に私はえっ、と小さく声を漏らす。
「他に、ない?」
私の心を見透かすかのような瞳に私は言葉を詰まらせる。
すると幸村くんは眉を下げて笑った。
「ごめんね、困らせるつもりじゃなかったんだ。なんにせよ、ありがとう。キミのおかげだ。」
そう言って笑う幸村くんに、私は彼の目を見て口を開く。
「あのね、幸村くん。私……」
私の言葉に幸村くんは嬉しそうに笑った。
散々降っていた雨はいつの間にか止んでいて、太陽が顔を出していた。
私の心を写したかのように小雨だった雨は強くなっていく。
何となく来ていた花壇の前で1人蹲る。
小さな花々は美しくもたくましい。私なんかとは大違いだ。
マイナスなことを考え、更に憂鬱な気分になっているとふと、雨が止んだ。不思議に思って顔を上げると、そこには幸村くんがいた。
「○○さん?どうしてこんなところに?」
驚いた顔で問いかける幸村くんに何だか惨めになり、上げた顔を俯かせる。すると幸村くんは蹲る私の隣に腰を下ろした。
「雨の日に傘を差さないなんて、風邪を引いてしまうよ。」
優しい声色で幸村くんは私に言った。そんな幸村くんに素直になれず、いいよ、だなんて可愛くないことを言ってしまう。すると幸村くんはくすりと笑った。
「俺が良くないよ。キミが風邪を引いたら困ってしまうな。」
そんな幸村くんの言葉に、私は顔を上げた。さっきよりも近い距離にある幸村くんの顔は変わらず綺麗で、優しく微笑んでいた。
「……なんで幸村くんが困るの。」
私が拗ねたようにそう問いかければ幸村くんはその綺麗な顔を崩さず言った。
「寂しいだろ、キミが学校を休んでしまうと。俺は○○さんと話すのが楽しみなのに。」
幸村くんの言葉に私は驚く。何も言えずに固まっていると幸村くんは立ち上がる。
「もう遅いし、送っていくよ。さあ、立てる?」
そう言って差し出された幸村くんの手に私は恐る恐る自分の手を重ねる。すると幸村くんは私の手をしっかりと握って優しく立ち上がらせた。
身長差はあるのに、未だ私の上は雨が止んだままで、少し濡れていた制服は乾き始めていた。だけど代わりに幸村くんの制服が少し濡れてしまっているのに気づいた。
「幸村くん、私傘いいよ。幸村くんが濡れてるの嫌だし…。」
そんな私に幸村くんは一瞬驚いた顔をするとすぐにまた微笑んだ。
「どうして?俺は濡れてもいいよ。」
「良くないよ、だって…。」
濡れてもいい、そんなことを言う幸村くんに言い返そうとすれば、この後言おうとしたしていた言葉に口を噤んだ。そんなことを知ってか知らずか幸村くんは少し意地悪に笑う。
「俺と、同じ理由だったら嬉しいんだけど。」
黙ってしまった私の顔を覗き込むように、幸村くんは上半身をかがませた。赤くなっているであろう顔を見られたくなくて、私は幸村くんに静止の意味で軽く押し返す。それでも幸村くんはびくともしなくて、嫌でも体格差を感じさせられる。
「フフ、もしかして図星?」
分かっていてそんなことを聞いてくる幸村くんに私は顔を逸らした。すると幸村くんは何てね、と言って元の姿勢に戻る。
「泣いてた理由、聞いてもいいかな?」
幸村くんはきっとずっと聞きたかったであろう言葉を口に出す。私のことを思って今まで避けてくれていたんだろう。そんなことを思いながら私は頷いた。
「友達と喧嘩したの。わたしが悪いのに、引かなかったから。…その子に酷いこと、言わせちゃった。」
泣きそうになりながら答える私に優しく微笑んだまま、幸村くんは聞いていた。
「今は難しいかもしれないけど、謝ればその子も分かってくれるんじゃないかな?○○さんは心優しい人だから。」
「優しくなんて…そんなこと…」
「あるよ。…だって俺が合宿で花たちの世話を出来ないのにどうしてこんなに元気なんだろうって思ったんだ。」
その言葉に私は逸らしていた顔を上げる。
「もちろん、少しの間手入れしなくったって花たちは生きられる。だけどこんなにも瑞々しく、元気ではいられない。」
幸村くんは優しい声色で続ける。
「でも1つだけ、あるんだ。元気でいられる方法が。…誰かが世話してくれること。」
その言葉に私は恥ずかしくなってしまう。彼は知っているのだ。幸村くんが不在の間、ここの世話をしていたことを。
「心優しいキミだから、やってくれたんだろう?…先生に聞いたんだ。○○さんだったんだね。」
微笑みながらそう言った幸村くんに私は顔が赤くなるのを感じる。
「えっと…。幸村くん、よく私に話してくれてたから…。お花たちのこと。」
「そうだね。…でも、それだけ?」
幸村くんの言葉に私はえっ、と小さく声を漏らす。
「他に、ない?」
私の心を見透かすかのような瞳に私は言葉を詰まらせる。
すると幸村くんは眉を下げて笑った。
「ごめんね、困らせるつもりじゃなかったんだ。なんにせよ、ありがとう。キミのおかげだ。」
そう言って笑う幸村くんに、私は彼の目を見て口を開く。
「あのね、幸村くん。私……」
私の言葉に幸村くんは嬉しそうに笑った。
散々降っていた雨はいつの間にか止んでいて、太陽が顔を出していた。
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