真田
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「お前…何をしてるんだ…?」
開け放たれた扉から差す光に、暗闇に慣れた目を顰める。
カシャン。
弦一郎くんの声と同時に手に持っていたカッターが床に落ちた。
その音に顔色を変えて弦一郎くんはこちらへと歩み寄る。
「あ、なんで…。」
「すまん。返事がなかったからな。…これは、どういうことだ…?」
床に落ちたカッターを拾い、出された刃を見て彼は眉間のシワを深くする。
そんな表情にいたたまれなくなって私は目を逸らした。
「……言えないか。」
寂しそうな声色でそう言うと弦一郎くんは私の頭に優しく手のひらを置く。それに驚いてびくりと体を震わせると弦一郎くんはすまん、と頭から手を退ける。
「ご、ごめんなさい、ごめんなさい…」
なんと言ったらいいか分からなくなった私はただ謝罪を口に出す。そんな私に彼は辛そうな顔をする。
迷惑をかけている。弦一郎くんに嫌われたくないのに、こんな私なんか、弦一郎くんに捨てられちゃう。そんなことを考えてしまえば涙は止まらずますます溢れてくる。
嗚咽ばかり漏らす私に弦一郎くんは優しく声を掛ける。
「○○。」
「な、に、」
「なにか、あったのか。」
その一言に口を噤む。言えない訳では無いが、一言でも弱音を吐いたらどっと溢れて来そうで嫌だった。
「…。無理にとは言わん。だが、俺は○○に頼られたい。」
弦一郎くんは私の傍から離れようとしない。
聞き出すまでいようとするような人ではないから、本当に私が心配なのだろう。
私がごしごしと目を擦ると、弦一郎くんはその手を取り、ふわふわのハンカチを手渡してきた。
「泣いていると思ってな。取り込んだ洗濯物から持ってきたんだ。……化粧してるのか?なら、尚更強く擦ってはならんだろう。」
ハンカチに驚いて彼を見た私が、メイクしていることに気づいたらしくそう言った。
そして微笑むと、彼はふわりと私を抱きしめた。
「○○が言えなければ俺が察してやりたい。だがな、俺はお前のお墨付きで察しが悪いだろう。…だから行動に移せ。」
優しい口調で話す弦一郎くんの私を抱きしめる腕に少し力が入る。
「自傷をしろということではないぞ。俺に、甘えるんだ。」
「甘えるって…でも、私…」
「ああ。お前は甘えるのが苦手だな。」
優しい声色のまま弦一郎くんは続けた。
「なんでもいい。抱きつくのでも裾を引くのでも。お前がその時出来ることをしてくれれば、必ず気づくと約束しよう。」
そう言うと抱きしめていた腕を解き、私の両手をぎゅっと弦一郎くんの両手で握りしめた。
じっと真剣に私を真っ直ぐ見つめる瞳に嘘はない。
「うん、分かった…。いつもごめんね。」
「謝るな。○○は悪くない。むしろ、今まで良く頑張ったな。…これからは頑張りすぎる前に俺を頼れ。」
「うん、善処します。」
そう言うと弦一郎くんは眉を下げて息をつく。だけど私の表情を見てふっと微笑むと私の頭を撫でた。
「だが、笑顔になったのなら良い。俺はやはり○○の笑った顔が1番好きだ。」
弦一郎くんの言葉にかっと頬が赤くなる。彼は嘘は言わない。良くも悪くも正直な人だ。だからこそ彼の言葉は信頼できるし、説得力がある。
そんな弦一郎くんの手を取って私は歩き出す。そうすれば彼も私に手を引かれ、暗い寝室を後にした。
開け放たれた扉から差す光に、暗闇に慣れた目を顰める。
カシャン。
弦一郎くんの声と同時に手に持っていたカッターが床に落ちた。
その音に顔色を変えて弦一郎くんはこちらへと歩み寄る。
「あ、なんで…。」
「すまん。返事がなかったからな。…これは、どういうことだ…?」
床に落ちたカッターを拾い、出された刃を見て彼は眉間のシワを深くする。
そんな表情にいたたまれなくなって私は目を逸らした。
「……言えないか。」
寂しそうな声色でそう言うと弦一郎くんは私の頭に優しく手のひらを置く。それに驚いてびくりと体を震わせると弦一郎くんはすまん、と頭から手を退ける。
「ご、ごめんなさい、ごめんなさい…」
なんと言ったらいいか分からなくなった私はただ謝罪を口に出す。そんな私に彼は辛そうな顔をする。
迷惑をかけている。弦一郎くんに嫌われたくないのに、こんな私なんか、弦一郎くんに捨てられちゃう。そんなことを考えてしまえば涙は止まらずますます溢れてくる。
嗚咽ばかり漏らす私に弦一郎くんは優しく声を掛ける。
「○○。」
「な、に、」
「なにか、あったのか。」
その一言に口を噤む。言えない訳では無いが、一言でも弱音を吐いたらどっと溢れて来そうで嫌だった。
「…。無理にとは言わん。だが、俺は○○に頼られたい。」
弦一郎くんは私の傍から離れようとしない。
聞き出すまでいようとするような人ではないから、本当に私が心配なのだろう。
私がごしごしと目を擦ると、弦一郎くんはその手を取り、ふわふわのハンカチを手渡してきた。
「泣いていると思ってな。取り込んだ洗濯物から持ってきたんだ。……化粧してるのか?なら、尚更強く擦ってはならんだろう。」
ハンカチに驚いて彼を見た私が、メイクしていることに気づいたらしくそう言った。
そして微笑むと、彼はふわりと私を抱きしめた。
「○○が言えなければ俺が察してやりたい。だがな、俺はお前のお墨付きで察しが悪いだろう。…だから行動に移せ。」
優しい口調で話す弦一郎くんの私を抱きしめる腕に少し力が入る。
「自傷をしろということではないぞ。俺に、甘えるんだ。」
「甘えるって…でも、私…」
「ああ。お前は甘えるのが苦手だな。」
優しい声色のまま弦一郎くんは続けた。
「なんでもいい。抱きつくのでも裾を引くのでも。お前がその時出来ることをしてくれれば、必ず気づくと約束しよう。」
そう言うと抱きしめていた腕を解き、私の両手をぎゅっと弦一郎くんの両手で握りしめた。
じっと真剣に私を真っ直ぐ見つめる瞳に嘘はない。
「うん、分かった…。いつもごめんね。」
「謝るな。○○は悪くない。むしろ、今まで良く頑張ったな。…これからは頑張りすぎる前に俺を頼れ。」
「うん、善処します。」
そう言うと弦一郎くんは眉を下げて息をつく。だけど私の表情を見てふっと微笑むと私の頭を撫でた。
「だが、笑顔になったのなら良い。俺はやはり○○の笑った顔が1番好きだ。」
弦一郎くんの言葉にかっと頬が赤くなる。彼は嘘は言わない。良くも悪くも正直な人だ。だからこそ彼の言葉は信頼できるし、説得力がある。
そんな弦一郎くんの手を取って私は歩き出す。そうすれば彼も私に手を引かれ、暗い寝室を後にした。
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