柳生
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柳生とクラスが離れているために学校の間は会える時間の短い○○は中間休みや昼休みなどに合間を縫って彼に会いに行くのがルーティンとなっていた。
しかし今日は違った。
いつも通り○○が柳生に会いに行けば、彼は○○の知らない女生徒と話していた。ただ話しているだけなら○○も気にしない。だが彼と話す女生徒はボディタッチが多かった。
柳生との交際関係は公表はしていないが、周知の事実であるため○○も心配はしていなかったし、他の生徒たちも二人の間に入ろうなど思ってもいなかった。はずだったが。
(あの子...見たことあるような...?というか柳生くん、何だか楽しそう...。)
そう思えば思うほど○○の心の中に黒い感情が芽生える。
(柳生くんも柳生くんだよ。いつも休み時間に私が来ること、分かってるのに...。)
どんどんと募る嫉妬心は○○の心を冒し、次第に涙ぐんでくる。
柳生は悪くないと分かっていながらも彼の紳士な態度が今は無性に辛く、なんだか恨めしい。
すると教室で留まっていた○○に柳生は気づいたようで女生徒との話を切り上げ、こちらへ向かおうとしていた。
その事に気づいた○○は驚き、教室から出てしまった。
その後のことは、知らない。
彼のクラスから出たあと、○○が教室に着いた時には既にチャイムが鳴り始めたためだ。○○を追おうとしたであろう柳生もチャイムが鳴る前には席に着いたに違いない。彼は真面目だから。
チャイム通り始まった数学の授業はいつもよりも集中出来なかった。
昼休み。
いつもならば柳生と昼食をとるために彼の教室まで向かう○○だが、この日は気分ではなかった。
だからと言って何も言わずに友達とお昼を食べてしまえばきっと柳生に迷惑をかけてしまう。
ため息を1つつき、○○は席を立つ。重い足取りで彼の教室へ向かった。
教室の扉は昼休みということもあり解放されていて中に入るのは容易だった。
目的の人物である柳生を見つければ、柳生も○○に気づいたらしく足早にこちらへと向かってくる。
「○○さん。お待たせしました。」
「ううん。待ってないよ。」
そう答えれば柳生は少し間を開けて話し出す。
「それでは、昼食へ向かいましょうか。」
その言葉に頷けば柳生は○○をエスコートし、学食へと向かう。柳生と○○は毎度学食で昼を済ませる。それというのも○○のお昼は柳生との交際以前から学食であったためだ。
学食に着けば当たり前のように柳生は○○の座る椅子を引く。彼の紳士たる行動は気恥ずかしいが、拒否するのは彼を否定することに繋がると考えている○○は何も言わずに引かれた椅子に座る。
2人とも食事中は喋らない。
そして静かな昼食が終わると柳生が○○に声をかけた。
「○○さん。二限前にも来てくださっていましたよね。」
「...う、ん...。」
やはり切り出された朝の話題に○○は俯く。
「貴女にそのような顔をさせたかったわけでないのですが...。すみません、気になってしまいまして。」
優しい声色で話す柳生に静かに頷く。
「...走って帰られた理由をお聞きしても?」
どうしよう。
○○の頭は言い訳の言葉を考えることに必死だった。
柳生が女子に対して優しいことなど彼の信条とする紳士な態度から分かっていることなのだ。
それなのに女生徒と話していた、ボディタッチが多かったから嫉妬したなど...。
気づけば○○は涙を流していた。それに気づいた柳生はハンカチを差し出す。
「このような場で泣かせてしまい申し訳ありません。...移動しましょう、立てますか?」
既にテーブルの上の食器は片付けられていた。
○○を庇うように歩く柳生に、廊下ですれ違う人はちらちらと視線を向けてくる。
柳生は○○を隠してくれているようだったが、嗚咽が漏れているために泣いていることは明白だった。
少し歩けば人気のない空き教室へとたどり着く。
チャイムが鳴る気配はまだなく、柳生は○○に空いている椅子を引き、座ることを促す。
座ってからも嗚咽は止まったが静かに涙を流す○○に柳生は何も言わずにいた。
「ごめんね、柳生くん...。私、私ね...っ」
やっとのことでゆっくり話し出した○○も話しているうちに涙が溢れ上手く話せなくなる。
「ゆっくりで構いません。それに、言いたくなければ言わなくても大丈夫ですから。」
そんな柳生に○○は弱々しく頭を横に振る。
「ありがとう...。でも言うよ。...あのね。」
未だ流れる涙を拭わず、○○は息を吸うと柳生に向き合う。
「今日、柳生くん女の子と話してたでしょ?それに嫉妬しちゃったの...。柳生くんが女の子に優しいのは知ってるよ...でも、ボディタッチ多かったし...嫌だったの。」
所々止まりながらも話す○○に柳生は焦らすことをせず最後まで聞く。そうして話し終えた○○は俯く。
「...彼女はただのクラスメイトです。一限が英語だったのですが、彼女曰く苦手科目だったらしくテストも近いので私に聞いてきたそうです。」
柳生は宥めるでもなくただ優しい声色で○○に語り掛ける。
「ボディタッチが多く見えたのは、彼女がフレンドリーな方だからでしょう。」
そう言うと柳生は○○の背中を優しくさする。
「誤解させてすみません。私も配慮すべきでしたね。」
柳生の言葉に○○はまた頭を振る。
「柳生くんは悪くないよ...。私もごめんなさい。......今思い出したんだけど、あの子彼氏いるんだよね。」
そう言って微笑む○○を柳生は抱きしめた。
「すみません。ついしたくなってしまいました。...ああ、貴女の笑顔はやはり素敵ですね。」
そう言う柳生に○○は頬を赤くしながらもゆるゆると柳生の背に手を回した。
しかし今日は違った。
いつも通り○○が柳生に会いに行けば、彼は○○の知らない女生徒と話していた。ただ話しているだけなら○○も気にしない。だが彼と話す女生徒はボディタッチが多かった。
柳生との交際関係は公表はしていないが、周知の事実であるため○○も心配はしていなかったし、他の生徒たちも二人の間に入ろうなど思ってもいなかった。はずだったが。
(あの子...見たことあるような...?というか柳生くん、何だか楽しそう...。)
そう思えば思うほど○○の心の中に黒い感情が芽生える。
(柳生くんも柳生くんだよ。いつも休み時間に私が来ること、分かってるのに...。)
どんどんと募る嫉妬心は○○の心を冒し、次第に涙ぐんでくる。
柳生は悪くないと分かっていながらも彼の紳士な態度が今は無性に辛く、なんだか恨めしい。
すると教室で留まっていた○○に柳生は気づいたようで女生徒との話を切り上げ、こちらへ向かおうとしていた。
その事に気づいた○○は驚き、教室から出てしまった。
その後のことは、知らない。
彼のクラスから出たあと、○○が教室に着いた時には既にチャイムが鳴り始めたためだ。○○を追おうとしたであろう柳生もチャイムが鳴る前には席に着いたに違いない。彼は真面目だから。
チャイム通り始まった数学の授業はいつもよりも集中出来なかった。
昼休み。
いつもならば柳生と昼食をとるために彼の教室まで向かう○○だが、この日は気分ではなかった。
だからと言って何も言わずに友達とお昼を食べてしまえばきっと柳生に迷惑をかけてしまう。
ため息を1つつき、○○は席を立つ。重い足取りで彼の教室へ向かった。
教室の扉は昼休みということもあり解放されていて中に入るのは容易だった。
目的の人物である柳生を見つければ、柳生も○○に気づいたらしく足早にこちらへと向かってくる。
「○○さん。お待たせしました。」
「ううん。待ってないよ。」
そう答えれば柳生は少し間を開けて話し出す。
「それでは、昼食へ向かいましょうか。」
その言葉に頷けば柳生は○○をエスコートし、学食へと向かう。柳生と○○は毎度学食で昼を済ませる。それというのも○○のお昼は柳生との交際以前から学食であったためだ。
学食に着けば当たり前のように柳生は○○の座る椅子を引く。彼の紳士たる行動は気恥ずかしいが、拒否するのは彼を否定することに繋がると考えている○○は何も言わずに引かれた椅子に座る。
2人とも食事中は喋らない。
そして静かな昼食が終わると柳生が○○に声をかけた。
「○○さん。二限前にも来てくださっていましたよね。」
「...う、ん...。」
やはり切り出された朝の話題に○○は俯く。
「貴女にそのような顔をさせたかったわけでないのですが...。すみません、気になってしまいまして。」
優しい声色で話す柳生に静かに頷く。
「...走って帰られた理由をお聞きしても?」
どうしよう。
○○の頭は言い訳の言葉を考えることに必死だった。
柳生が女子に対して優しいことなど彼の信条とする紳士な態度から分かっていることなのだ。
それなのに女生徒と話していた、ボディタッチが多かったから嫉妬したなど...。
気づけば○○は涙を流していた。それに気づいた柳生はハンカチを差し出す。
「このような場で泣かせてしまい申し訳ありません。...移動しましょう、立てますか?」
既にテーブルの上の食器は片付けられていた。
○○を庇うように歩く柳生に、廊下ですれ違う人はちらちらと視線を向けてくる。
柳生は○○を隠してくれているようだったが、嗚咽が漏れているために泣いていることは明白だった。
少し歩けば人気のない空き教室へとたどり着く。
チャイムが鳴る気配はまだなく、柳生は○○に空いている椅子を引き、座ることを促す。
座ってからも嗚咽は止まったが静かに涙を流す○○に柳生は何も言わずにいた。
「ごめんね、柳生くん...。私、私ね...っ」
やっとのことでゆっくり話し出した○○も話しているうちに涙が溢れ上手く話せなくなる。
「ゆっくりで構いません。それに、言いたくなければ言わなくても大丈夫ですから。」
そんな柳生に○○は弱々しく頭を横に振る。
「ありがとう...。でも言うよ。...あのね。」
未だ流れる涙を拭わず、○○は息を吸うと柳生に向き合う。
「今日、柳生くん女の子と話してたでしょ?それに嫉妬しちゃったの...。柳生くんが女の子に優しいのは知ってるよ...でも、ボディタッチ多かったし...嫌だったの。」
所々止まりながらも話す○○に柳生は焦らすことをせず最後まで聞く。そうして話し終えた○○は俯く。
「...彼女はただのクラスメイトです。一限が英語だったのですが、彼女曰く苦手科目だったらしくテストも近いので私に聞いてきたそうです。」
柳生は宥めるでもなくただ優しい声色で○○に語り掛ける。
「ボディタッチが多く見えたのは、彼女がフレンドリーな方だからでしょう。」
そう言うと柳生は○○の背中を優しくさする。
「誤解させてすみません。私も配慮すべきでしたね。」
柳生の言葉に○○はまた頭を振る。
「柳生くんは悪くないよ...。私もごめんなさい。......今思い出したんだけど、あの子彼氏いるんだよね。」
そう言って微笑む○○を柳生は抱きしめた。
「すみません。ついしたくなってしまいました。...ああ、貴女の笑顔はやはり素敵ですね。」
そう言う柳生に○○は頬を赤くしながらもゆるゆると柳生の背に手を回した。
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