ててご夢、龍如夢共通。
シン長編
おなまえ
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代わり映えのしない朝……いや、ずっと同じ一日の朝、
おはよう。
朝の日課はガラリと変わった。
メモ用紙に死因を並べていく作業を始める。
私は間違いなく殺されているが、多分時間が巻き戻り生き返っていると仮定している。
しかし、生き返った所で一週間しか猶予が無い事が分かった。殺される最終日に試しに部屋にこもってみたが、気が付けば初日に戻っていたので、何らかの理由で死んだと仮定されるし、何をしても結局の所成り行きで死に続けている。
……厳密に言えば、物置部屋と反対方向に出ると直ぐにリッパーと会ってしまい、無言で殺された。タイムアタック……とまではいかないけどどんなに急いでもダメだった。
館から出る事も試みたが使用人にすぐに見つかり部屋に戻されたから毎日脱走を実行しようが無理だった。
窓から飛び降りてもそのまま即死だったし……。
切りつけられて血文字で私の名前を書こうとしたけど、出血量が多くて文字が上手く書けなかった事と、書けたとしても意識が遠のき、ベッドで起きたので多分結果としては死んでる。
「部屋から出ずに言葉がきちんと話せるようになるまで前回は訓練したから、意思疎通は間違い無く出来る。……それと……死に過ぎて死ぬ事が怖く無くなってしまったかな。」
つたない言葉で意思疎通を試みた所で、バルクには重たいから持てないと断ると頭を叩き割られあっさりと死んだ。
…………打開策はなんだろう……。
「……とりあえず思い付かないから、次に繋げよう。」
独り言は言葉として発する癖は、訓練の成果なのか、呪縛なのか……。
「…………行こう。」
慣れた手つきでいつもの様に掃除を始めていると、勢い良く扉が開いた。
「……御機嫌よう、バルク様。私は部屋に戻りま」
「……初めて見る顔じゃのう。」
「……ええ、私は物置部屋の掃除を仰せつかっておりますので。」
「ほう……。それにしては随分と散らかっておるのう。」
今回は掃除なんかせずにずっと作戦と会話の練習に費やしていたから。
「重たいものが多く、非力な私には動かせない物が多いのです。」
「……一理あるが、埃っぽいのはなんとかならなかったのかのう?」
「少し……体調を崩しておりまして……。」
「そこの鉄くずを持ってわしに付いてくるんじゃ。」
「……あの、体調が悪いので、少しだけゆっくり歩いて頂けませんか。バルク様のお部屋の場所を知りませんので。」
「……。」
バルクはため息を着くと直ぐに機械を弄り始めた。
………今まで見たことが無い。頭を叩き割られるか怒り暴言を吐かれるかどちらかなのに、落ち着いた様子のままである。
「そこまで顔色が悪いんじゃあ仕方ないのう、名前はなんと言うんじゃ。」
「……え……。あ、あの。私は権兵衛と申します。」
「……権兵衛……?」
ガシャンと持っていた機械を落とし、直ぐに私の肩を掴んだ。
「………………。」
目は見開いており、今まで見た事無いくらいにその瞳は動揺していた。
「ボンボン、キタ。バルク、ヨンダ。」
バルクよりもけたたましい金属音とともに帽子を被ったペンギンのロボットがドアを突き破る勢いで部屋に入って来た。
「ポンコツがっ、わしの部屋以外は鉄扉では無いと何度言えば」
「オキャク?」
「違います、使用人です、この館の。」
「バルク、シヨウニン、イナイ。」
「……いやいやいや、私はこの物置部屋の掃除担当の使用人で、名前は権兵衛って言います。」
「権兵衛!……権兵衛、チガウ、権兵衛、チガウ、権兵衛、チガウ、エラー、エラー、エラー、」
「馬鹿者が……前に使用人に同じ名前の者が居たんじゃが……。エラーなんぞ起こしおって。」
バルクは杖でボンボンと名乗った機械を叩くと直ぐに顔をグルグル回し元に戻った。
「権兵衛、オボエタ。」
「そこのポンコツに乗って来ればワシについて来れるじゃろう?」
「ボンボン!ボンボン!」
けたたましく動くボンボンにバルクは嫌そうな顔をして手を振り、そのまま部屋を出て行ってしまった。
「……あの?ボンボン……様?」
ボンボンは鉄くずをまとめ拾い上げ、足を格納した。
「権兵衛、ノル。バルク、イク。」
「あ……私重たいかも?」
「テツクズ、カルイ。権兵衛、カルイ。」
ボンボンは機械仕掛けのロボットで間違い無いとは思うが(だって私あの杖で頭叩き割られて即死だったし。)、意思疎通出来てる……よね?
私を待っているのかボンボンは動かなくなったのでボンボンの頭と胴体に手と足を使いしがみつくとボンボンは立ち上がった。
「バルク、イク。権兵衛、ハナス、ダメ。」
そう言うとガシャンガシャンとけたたましく音をたてながら
すごいスピードで歩き始めた。
歩いているとは言えども私の全力疾走より早い気がする。
心臓がドクリと動いた。
ああ、この道は。
「……ボンボン、少し待って貰えます?……初めて見るお顔ですねぇ。お名前をお伺いしても?」
ボンボンはピタリと動きを止めた。
「ボンボン、バルク、イク。権兵衛、テツクズ、モツ。」
「……権兵衛というのですか?」
「権兵衛、チガウ、権兵衛、オナジ。」
私はぎゅううっとボンボンにしがみつき、震えながらも声を出した。
「私は権兵衛です。今から、バルク様のお部屋に行くんです。」
「……私も一緒に行きましょう。少しバルクとも権兵衛ともお話がしてみたいので。」
そう言い終えるとボンボンから私を剥がし、お姫様抱っこをされていた。
「……え、あ、じ、自分で歩けますっ」
この刃で何度も殺されたと思うと同時に身体が震え上がってしまった。
「……貴方の目はまるで私が殺人鬼に見えて居るようですね?もしかして私を見た事がありますか?」
「っっっちがっ、あ……貴方のっその刃が、怖いんです。」
「権兵衛、コワイ。リッパー。」
ボンボンがガシャンガシャンと抗議をしてくれたお陰でリッパーは興味を失ったのか、そのまま何事も無かった様に私のおでこにキスを落とした。
「ひっっっ。」
「フフ、食べてしまおうなんて思っておりませんよ。……いやそれはそれで……。ところで権兵衛はいつこの館に来られたのですか?」
「え……っと、結構前だと、思ってはいるんですが。……すみませんはっきりとは。」
「いえ、いいんですよ。人間の記憶なんて曖昧ですからね。私を怖がらないで頂きたいのと……貴方のそのお名前を気に入らないハンターも居るかと思いますのでお気をつけて下さいね。」
「……分かりました。」
バルクもボンボンも私の名前に過剰反応していた。
なんならリッパーですらも私の名前に興味を持ち、殺意は感じ取れない。
リッパーには過度に質問してはいけないってのは何度かの死亡で理解出来ている。
…………吉と出るか凶と出るか分からないけど。
そのままリッパーに抱かれたまま、初めて地下にあるバルクの部屋に着いた。
おはよう。
朝の日課はガラリと変わった。
メモ用紙に死因を並べていく作業を始める。
私は間違いなく殺されているが、多分時間が巻き戻り生き返っていると仮定している。
しかし、生き返った所で一週間しか猶予が無い事が分かった。殺される最終日に試しに部屋にこもってみたが、気が付けば初日に戻っていたので、何らかの理由で死んだと仮定されるし、何をしても結局の所成り行きで死に続けている。
……厳密に言えば、物置部屋と反対方向に出ると直ぐにリッパーと会ってしまい、無言で殺された。タイムアタック……とまではいかないけどどんなに急いでもダメだった。
館から出る事も試みたが使用人にすぐに見つかり部屋に戻されたから毎日脱走を実行しようが無理だった。
窓から飛び降りてもそのまま即死だったし……。
切りつけられて血文字で私の名前を書こうとしたけど、出血量が多くて文字が上手く書けなかった事と、書けたとしても意識が遠のき、ベッドで起きたので多分結果としては死んでる。
「部屋から出ずに言葉がきちんと話せるようになるまで前回は訓練したから、意思疎通は間違い無く出来る。……それと……死に過ぎて死ぬ事が怖く無くなってしまったかな。」
つたない言葉で意思疎通を試みた所で、バルクには重たいから持てないと断ると頭を叩き割られあっさりと死んだ。
…………打開策はなんだろう……。
「……とりあえず思い付かないから、次に繋げよう。」
独り言は言葉として発する癖は、訓練の成果なのか、呪縛なのか……。
「…………行こう。」
慣れた手つきでいつもの様に掃除を始めていると、勢い良く扉が開いた。
「……御機嫌よう、バルク様。私は部屋に戻りま」
「……初めて見る顔じゃのう。」
「……ええ、私は物置部屋の掃除を仰せつかっておりますので。」
「ほう……。それにしては随分と散らかっておるのう。」
今回は掃除なんかせずにずっと作戦と会話の練習に費やしていたから。
「重たいものが多く、非力な私には動かせない物が多いのです。」
「……一理あるが、埃っぽいのはなんとかならなかったのかのう?」
「少し……体調を崩しておりまして……。」
「そこの鉄くずを持ってわしに付いてくるんじゃ。」
「……あの、体調が悪いので、少しだけゆっくり歩いて頂けませんか。バルク様のお部屋の場所を知りませんので。」
「……。」
バルクはため息を着くと直ぐに機械を弄り始めた。
………今まで見たことが無い。頭を叩き割られるか怒り暴言を吐かれるかどちらかなのに、落ち着いた様子のままである。
「そこまで顔色が悪いんじゃあ仕方ないのう、名前はなんと言うんじゃ。」
「……え……。あ、あの。私は権兵衛と申します。」
「……権兵衛……?」
ガシャンと持っていた機械を落とし、直ぐに私の肩を掴んだ。
「………………。」
目は見開いており、今まで見た事無いくらいにその瞳は動揺していた。
「ボンボン、キタ。バルク、ヨンダ。」
バルクよりもけたたましい金属音とともに帽子を被ったペンギンのロボットがドアを突き破る勢いで部屋に入って来た。
「ポンコツがっ、わしの部屋以外は鉄扉では無いと何度言えば」
「オキャク?」
「違います、使用人です、この館の。」
「バルク、シヨウニン、イナイ。」
「……いやいやいや、私はこの物置部屋の掃除担当の使用人で、名前は権兵衛って言います。」
「権兵衛!……権兵衛、チガウ、権兵衛、チガウ、権兵衛、チガウ、エラー、エラー、エラー、」
「馬鹿者が……前に使用人に同じ名前の者が居たんじゃが……。エラーなんぞ起こしおって。」
バルクは杖でボンボンと名乗った機械を叩くと直ぐに顔をグルグル回し元に戻った。
「権兵衛、オボエタ。」
「そこのポンコツに乗って来ればワシについて来れるじゃろう?」
「ボンボン!ボンボン!」
けたたましく動くボンボンにバルクは嫌そうな顔をして手を振り、そのまま部屋を出て行ってしまった。
「……あの?ボンボン……様?」
ボンボンは鉄くずをまとめ拾い上げ、足を格納した。
「権兵衛、ノル。バルク、イク。」
「あ……私重たいかも?」
「テツクズ、カルイ。権兵衛、カルイ。」
ボンボンは機械仕掛けのロボットで間違い無いとは思うが(だって私あの杖で頭叩き割られて即死だったし。)、意思疎通出来てる……よね?
私を待っているのかボンボンは動かなくなったのでボンボンの頭と胴体に手と足を使いしがみつくとボンボンは立ち上がった。
「バルク、イク。権兵衛、ハナス、ダメ。」
そう言うとガシャンガシャンとけたたましく音をたてながら
すごいスピードで歩き始めた。
歩いているとは言えども私の全力疾走より早い気がする。
心臓がドクリと動いた。
ああ、この道は。
「……ボンボン、少し待って貰えます?……初めて見るお顔ですねぇ。お名前をお伺いしても?」
ボンボンはピタリと動きを止めた。
「ボンボン、バルク、イク。権兵衛、テツクズ、モツ。」
「……権兵衛というのですか?」
「権兵衛、チガウ、権兵衛、オナジ。」
私はぎゅううっとボンボンにしがみつき、震えながらも声を出した。
「私は権兵衛です。今から、バルク様のお部屋に行くんです。」
「……私も一緒に行きましょう。少しバルクとも権兵衛ともお話がしてみたいので。」
そう言い終えるとボンボンから私を剥がし、お姫様抱っこをされていた。
「……え、あ、じ、自分で歩けますっ」
この刃で何度も殺されたと思うと同時に身体が震え上がってしまった。
「……貴方の目はまるで私が殺人鬼に見えて居るようですね?もしかして私を見た事がありますか?」
「っっっちがっ、あ……貴方のっその刃が、怖いんです。」
「権兵衛、コワイ。リッパー。」
ボンボンがガシャンガシャンと抗議をしてくれたお陰でリッパーは興味を失ったのか、そのまま何事も無かった様に私のおでこにキスを落とした。
「ひっっっ。」
「フフ、食べてしまおうなんて思っておりませんよ。……いやそれはそれで……。ところで権兵衛はいつこの館に来られたのですか?」
「え……っと、結構前だと、思ってはいるんですが。……すみませんはっきりとは。」
「いえ、いいんですよ。人間の記憶なんて曖昧ですからね。私を怖がらないで頂きたいのと……貴方のそのお名前を気に入らないハンターも居るかと思いますのでお気をつけて下さいね。」
「……分かりました。」
バルクもボンボンも私の名前に過剰反応していた。
なんならリッパーですらも私の名前に興味を持ち、殺意は感じ取れない。
リッパーには過度に質問してはいけないってのは何度かの死亡で理解出来ている。
…………吉と出るか凶と出るか分からないけど。
そのままリッパーに抱かれたまま、初めて地下にあるバルクの部屋に着いた。