ててご夢、龍如夢共通。
旧長編
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「……み、君!!何をしているんだ!」
肩をガタガタ揺さぶられ、激しい揺れで私の意識は覚醒した。
「んんん……あ……、だ、誰!?」
「説明は後だ!着いてこい、殺されるぞ!!」
物騒な言葉を吐き捨て、白いワイシャツを着ていた男はそのまま走り出してしまったので私は慌てて彼を追いかけた。
「ま、待って下さい。」
殺されるという言葉のお陰で、動きが鈍い脳も脊髄も身体に命令を流してくれたが、酷い頭痛がしている事に気が付いた。
頭を抑えながら縺れる足を前に前に無我夢中で出し、暫く走りっぱなしで足の震えが来た頃だった。
「うっぷ」
視界は白一色になっていたので、どうやら追いかけていた背中にぶつかったようだ。
男は地図を広げながら、ちらりと私を横目で見た。
「ご、ごめんなさい。」
「ちゃんと前を見ることだな。俺はライリー
、君は……飛び入りか何かか?……君の居場所はこの地図では見る事が出来ないからハンターでも無いようだな。」
ライリーと名乗った男は地図を片付け、黒い機械をカタカタ動かしながらポツリと呟いた。
「よくわからなくて、目が覚めたらここにいて、わからない。わからないんです。」
「はあ。とにかくこの暗号機を修理してからだ。叩け。」
言われた通りバンバン叩いたり、棒を揺すったりしていたら、叫び声が聞こえた。
「なに?」
「ちっ、アイツか……。まだ通電もしないのに使えない奴め。……君、ここを任せた。」
「えっ、あっ、ライリーさん。」
ライリーさんは私になんか目もくれず、走って建物を出ていってしまった。
バンバン、バンバン
「殺されるぞってなんなの、わかんないよ、わかんないよ。」
沢山の雫が頬を伝う。
「無理だよ、うぅう怖いよ、ここどこなの、死にたくないよ。」
バンバン、バンバン、バンバン、ツンツン
「お嬢さん、そのやり方ではこの暗号機は直りませんよ?」
「ひっ、」
振り返ると
とても細長い足
服装も言動も紳士的だが、左手にとても大きな刃と、真っ白な仮面。
ライリーさんの「殺されるぞ」という声が頭を巡り渡る。
「あっ、あっ、やだ、殺さないで、殺さないで、お願い、殺さないで。」
ペタリと腰が抜けた為、床に座り込み後退りをした。
「殺されたくないのですか?」
「殺されたくない、わかんないとこで死にたくない、殺さないで、殺さないで……」
「ふーむ……サバイバーではないようですし……。取り敢えず、椅子に座って私を待ってもらえますか?」
「あ、でもライリーさんに、ここを任せたって言われて。」
「ライリーさん?ああ、それなら私が伝えておくので。
お嬢さん、あの椅子に座って私を待ってもらえますか?」
指を指していた方向の椅子に走り寄り、何度も頷き自ら赤い椅子に座った。
心臓がギュッと掴まれているようで、苦しい。
はなから私には拒否する権利など無いことに左手の刃が気づかせてくれる。
「とても良い子ですね、すぐ戻りますから。耳を塞いで私を待っていて下さいね。」
おとなしく座った私の頭を右手でポンポンと手を乗せ、
ふわりとコートの裾をはためかせて消えていった。
どのくらいたっただろうか。
言われた通りに耳を塞いで座って待っていたら、何処からともなくサイレンが鳴った。
辺りを見回しても風景は変わらないが、少しずつ心が蝕まれていく。
ここはどこなの。なんで、私がこんな目に。
殺されちゃうの。ライリーさんはどこに行ったの。さっきの刃の人から殺されちゃうの?
「おや、お嬢さん。やはりサバイバーでは無いようでしたね。」
少し優しい声色に安堵したが、どうしても左手に目がいってしまう。
「あのっ、私殺されるの?い、いやっ」
「ハッチが開いてますよ、お嬢さん。今回はそちらから逃げても良いですよ?」
「逃げたら、家に帰れるの?……家の場所…………わかんない。私……名前も、わかんない。」
「おやあ、困りましたねー。帰る場所が無いのでしたら家に来ます?数名、同居人はいますが。」
「お金とか何もなくて。」
「なら決まりですね。」
「うひゃあ。」
お姫様抱っこされながら、レディとは変な声を出してはいけないとか、食べられないといいですねとか、鼻歌を聞きながら、
私たちは暗闇に消えていった。