男主攻め
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「ねぇ、シン。」
「……………。」
パソコンからちらりとも視線を外そうとしない彼に話しかける。
「シンってば……」
返事はまるで帰って来ない。あれ、もしかしてそもそもこの部屋で生きているのは俺だけ?この部屋にいるシンは妄想だった……?
そう思って、じぃと横顔を眺めているが、瞬きはしていた。…ウン、生きてる。
……そんな少し考えれば分かるであろう、馬鹿なことを考えてしまったが、本当にそれくらい微動だにしない。
いつもだったら三回ぐらい(めげずに)話しかけたら『はいはい、』って呆れ顔しながら構ってくれるのにぃっ!
パソコンを触っている間は塩対応になるのはいつものことだが、それよりも倍酷い。そんなことを考えながらこっち見てたりしててくれないかなぁ……と彼に視線を移すが、シンは未だにパソコンを弄っている。
………もしかして、俺が何が怒らせることをしたのだろうか。
「………ねぇ、怒ってる…?」
そう問いかけてみれば、初めてピタリと手を止め、じろりとこちらを睨みつけ………(怒ってる姿も可愛いので大した迫力はない)ぷいっと反対を向いた。
口すらきいてくれない………!?
………いいもんね、そっちがその気なら力尽くで振り向かせてやる。
構って貰えず子供のように拗ねた俺は強行手段に出ることにした。後ろから思いっきり彼を抱きしめ、服の中に手を突っ込む。
「ひゃっ!? ちょ、なにしてっ……!」
「シン、俺エスパーじゃないから言ってくれないとわかんないよ。お願い、ちゃんと教えて?」
近づけば途端に耳を真っ赤にさせて、びくっと体を震えさせるところが実に可愛らしい。彼はパソコンの手を止めた。
「………今日、街中で女の人と歩いてた、でしょ。」
女の人?
今日、女の人と…………あ、そういうことか。
「やっぱりボクみたいな可愛くもない男なんかより、ああいう人のほうが、いいのかな、って…」
小さかった声量が、後半につれてどんどん小さくなる。
声色はもう泣きそうになっていた。
…………どうしよ、こんな状況だけどシンがめっちゃ可愛い……
「……それね、俺の姉だよ。あの人いっつも海外いるからさ、別にいっかーと思ってたんだけど今日急に暇だったから来た、なんてケロッと言われてさあ……油断してたよ。」
「……お姉、さん?」
「うん。お姉さん。」
そう言うとくるっと俺の方を向くシン。
そのまま俺の腹を殴った。
「いっ……!?」
「……悠斗のばかっ。言ってよぉ……」
腹を殴ったといってもシンの非力さも相まって
そこまで痛いわけじゃない。
声が出たのはほぼ条件反射だ。あるよね、ゲームしてて攻撃受けたら痛い、って言っちゃうやつ。急に殴ってきたかと思えば、今度は俺の首筋に顔をうずめてきた。サラサラの髪が当たってこそばゆい。
「ごめん、本当に急だったから、伝えなくてもいいかなって………でも、俺が好きなのはシンだけだからな。」
謝るとシンは動きを止め、本当に聞き取れるか聞き取れないかぐらいの声量で喋った。
「……今日は一緒にいてよね……。」
「!…逢瀬のままに。」
ぎゅっとシンを抱きしめ、頬にちゅ、キスを落とす。
あー、今日も俺の嫁が世界一可愛い。