女主夢
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「な…なんでも?」
「そう、なんでも叶えてあげるよ?」
困惑した様子の彼女に微笑んでさりげなくペンを握らせる。さて、一体何を望むのだろうか。調べてみても彼女の望むものは分からなかったが、彼女とてただの人間だ。きっと富や名誉のような────
「ヒヨリくんのパンツが欲しい!!!」
「……はぁ?」
聞き間違いかと思うような言葉に、思わず素っ頓狂な声が口から出る。コイツ正気かなんて思ってしまったボクは、今回だけは全く悪くないと思う。
……ボクのパンツ?
自分の耳がおかしくなってしまったのだろうか、それとも目の前の彼女がただただイカレているだけなのか。
どうか前者であってくれと願わずにはいられなかった。
「あわよくばヒヨリくんが着た服1式欲しい!!!」
「…………いやいやいや、はぁ?ボクは冗談を聞いてる訳じゃないんだけど」
「嘘じゃないよ、全部本気だよ」
口元がヒクリと引き攣るのが分かる。
映画にでも出てくる主人公のように真剣な顔だ。……その前の言動が無ければの話だが。
「………………」
「………………」
「……………気持ち悪!!!」
「えッ!?ありがとうございますうっっ♡」
心の底から吐き出された本音に彼女は恍惚とした顔でお礼を言う。何を言ってるんだろう。本気で気持ちが悪いしさっさと離れたい。
「……あ、もう少し蔑んだ目で見下ろしてもらってもいいですか?写真撮るので…うふふふふ」
奇声をあげてこちらににじり寄る彼女にボクは高速で距離を取った。このままでは何かが危ない気がする。
「えぇっ、どうして逃げるんですか!?」
「そりゃ危険を感じたからだけど……キミがこんな異常者だとは思わなかったよ」
「えあっ、今のもう1回言ってください!録音するのでっ…!」
たらりと鼻血を垂らしながらスマホを構える彼女はいつもの面影はすっかり無くなり、今やただの変態だ。この変態性は一体今までどうやって隠してきたのだろうか。全く不思議でならない。
「この界隈ではご褒美なんですよぉ!」
相手をすることを早々に放棄したボクは、この女からどうやって逃げ出そうかと考え始めていた。
「だ、大丈夫です!!今履いてる下着をいただければそれで!!」
「そんな変態発言する女にボクのパンツを渡す訳ないよね!?」
いくらなんでも発想が異常すぎる。ここまでくると一周まわってもう尊敬出来る域だ。
「はぁ……じゃあボクは帰るから」
これ以上相手にしても無駄だと判断したボクはゆっくりと彼女に背を向ける。まだ何か言っていた気がするけれど聞こえない。いや、聞こえてはいけないのだ。
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