男主攻め
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「絵心ちゃん、おはよう。」
「お、…おはようございます…!」
にこーっと人当たりの良い笑みでこちらを出迎える神城さん。
大学に初めて来た日に迷子になってしまって、
その時に助けてもらって、今は仲良くしてもらっている。
一緒に居るとドキドキして、すごく楽しい。
それが恋だと気づいたのは最近のことだった。
そして今日は、待ちに待ったバレンタイン。
気持ちを伝えたくて、前から準備して来たのだ。
改めて前にするとすごく緊張する。
でもここで渡さないときっともう渡せない。
ガンバレ、私!
そう自分に喝を入れて、チョコを取り出す。
「あ、あの…このチョコ……受け取って、くれませんか…?」
勇気を持って、ずいっと差し出す。
緊張してしまって、顔が上げられない。
受け取って貰えなかったら、どうしよう。
どう受け答えれば、いいんだろう。
そうぐるぐるとマイナスの思考に陥ろうとしていた時、
顔上げて、と声をかけられて恐る恐る神城さんを見る。
「…ありがとう…すっごく嬉しい。」
ひぇ……
にこ、と本当に嬉しそうに微笑まれるものだから、思わず脳がショートしてしまいそうになる。
気持ちは伝えれずとも、渡せただけで大きな進歩だと思う。気持ちを自覚した時は、すごくよそよそしくなってしまったし。
「…ねぇ、チョコって、他の人にも上げたの?」
するといきなり、そんなことを訪ねられた。
どうしてそんなことを聞くんだろうか。
真意を探ろうとするけど、全くと言っていいほど分からない。
「えっと…上げてます、けど…」
「けど?」
僅かな沈黙。
私は、意を決して口を開く。
「手作りは神城さんだけ……です……」
「……俺、だけ?」
「はい……」
なんだかいたたまれなくなってきて、
最後の方は蚊の鳴く声のようだったけど神城さんには聞こえてたようで、驚いたように目を見開いた。
「そっかぁ……嬉しいな……」
にこにこと上機嫌になった神城さんと、
何も理解出来ていない私。
「う…嬉しいんですか…?」
「そりゃ嬉しいよ。だって好きな子の手作りチョコだもん。」
「へ……?」
今、なんて。
そう聞き返そうとするけど、
神城さんはじゃ、用事あるから後でね。
と違う所に行ってしまう。
私は、真っ赤になっているであろうほっぺを手で隠し、机に思いっきり突っ伏したのだった。