男主攻め
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「………カンナ。今から悠斗はボクと一緒に出掛けに行くんだ。…だから、その手を放してくれない?」
「いくらシンさんでも悠斗さんは渡しません!」
俺の右手を掴んでいるシンは、反対側にいるカンナに笑ってそう諭している(が、目は全く笑っていない)。
そして俺の左手を掴み、反対側のシンの圧に怯えながらも強い目で見据えるカンナ(かわいい)。
こういう所はクギエちゃんに似ているのかもなぁ…
そしてその2人に挟まれている俺。
なんだこの両手に花状態は………?
いやしかし、勘違いしないでほしい。
とてもおいしい状況ではあるし、俺としてもニッコニコになってしまうのは最早当たり前なのだが、手が、手が痛いんだよね二人とも。
手はどちらもぎちぎちと聞いたことのない音を立てている。君たちのどこにその力があるの……??
やっぱり兄妹は力の強さも比例するのか…と思った瞬間だった。
「…今、とてつもなく失礼なこと考えなかった?」
「………何も?」
じとりと睨まれるが知らないフリをした。
「えーと……まず二人とも、手を放してくれないかな………?」
そう言うと、2人は睨み合うのをやめこちらを見て、示し合わせたかのように声を揃えた。
「「嫌だ/です」」
「そ、そっか………。」
息の揃いように俺は最早何も言うことが出来なかった。
俺の………両手が………っ
遠目にサラが見えた。(そして目が合う)
俺はここぞとばかりに、彼女に助けてくれと目で訴える。サラはギョッと驚いて、それから『頑張れ!』と言うような顔でぐっと親指を立ててどこかへ去っていく。
助けろよ!!!!頑張れじゃなくて!!!!!
「…三人で行くのはどう?」
「ボクは悠斗と二人で行きたいんだけど……。」
「うっ…」
シンは、わざとらしくしゅんとした顔をする。
俺がこの顔に弱いことを知っての上での犯行だろう。そう知っていても騙されてしまう俺も俺だが。
「わ、私だって悠斗さんと二人きりがいいです!」
「んぐぐ………。」
珍しく必死な顔で2人きりを強調するカンナ。
どちらもあまり見ない表情のためか、グサッと心に刺さる。
俺はこの2人のどちらか1人に決めなければいけないのか…
「悠斗はボクと行くよね?」
「私と行ってくれませんか?」
究極の二択に、俺は時間がかかりそうだなと遠い目をした。
――――――
「((カンナ/シンさんには渡さない……!))」