▽彼を揶揄う目的で、「嫌い」と演技して言ってみた

綾小路清隆
「き、嫌……」
言った途端ぴたっと動きが止まる。いつもは微塵も動かない表情筋が微妙に動いているあたり、本当に動揺しているらしい。冗談だよと言うと、ホッとしたように息を吐いた。
「堀北みたいなこと言わないでくれ…焦った」

平田洋介
「え、えっ…？僕、何か悪いことしちゃったかな」
しゅん、と形の良い眉が下がる姿に罪悪感が湧いてくる。平田くんに悲しい顔なんてさせたら女子たちに殺される！！！嘘だと言いましょう。
「え、嘘？そっか…良かったよ、本当に嫌われてたらどうしようかと思っちゃった」

龍園翔
「……ハッ、そうかよ」
怒るかなと思ったが、意外と静かで拍子抜けする。きょとんとしていたら後ろ向いて去ろうとしていて驚く。「あ？なんだよ、嫌いなんだろ？なら顔も見たくねえだろ」とトゲトゲしい声音で言われる。慌てて冗談だと言うとがっと肩を掴まれた。
「……二度とそんなこと言うんじゃねぇよ。わかったか？」
首が取れそうな勢いで頷くと、ようやく満足そうに「よし」と言って圧が無くなる。もう二度としない……