「………やっぱり……」



もう一度戻れば……

ケイジさんは壁に寄りかかってうずくまっていた。
……呼吸が浅くなってる。

どうやらこちらには気づいてないようで、相当限界のようだ。


「…おーい、ケイジさん、生きてますかー？」

「…………っ…！？ ナギサっなんでここに…！？」


とんとんと肩を叩き手を振れば、大きくリアクションをしてくれるケイジさん。中々レアだ。


「サラさんはさっき気づいてなかったみたいですけど、ケイジさんの顔が1番真っ青でしたから。様子見に来ました。」

「………………そっ、か…」

「…いくら大人だからって………限界まで無理するのはどうなんでしょうね…？」

「……それは……ごめんねー…。」

「…無理するなと言ってるわけじゃないんです。限界になる前に誰かを頼ってほしいんです。

難しいことかもしれませんが…」


弱みは簡単には見せられない。
難しいところだ。でも…無茶しないでほしい。


「……ごめんね、ありがとう。
話しかけてくれなかったら……もっと考え込んでたと思うからねー……」

「……いえ………とにかく、調べれないのならいつまでもここにいる必要はないでしょう？ 外出ますよ。

……ここは体にも心にも毒ですよ。」


きっとここで死んだのは1人だ。
大勢死んだ時はもっと……血なまぐさい。


それだけでも、ここまで苦しい。
慣れているとしても、やっぱりキツいものがある。

慣れるはずがないよね、こんなの………。


いつまで経っても苦しいまんまだ。


「うわっ、ちょ、ナギサちゃん？」


ケイジさんを引っ張って外に出て扉を閉める。
ふぅ、とため息を吐いた。

ここは幾分か、ましだ。


「…無理やり部屋から出してごめんなさい、でもやっぱりあそこはだめですよ。」

「………うん、そうだねー。 別の所を探索するよ。」

「それがいいです。」