よう実
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夕食も終え、日もすっかり暮れた頃。暇つぶしに携帯をいじっていると通知音が部屋に響いた。それに何気なく目を通して、その浅慮を後悔することになる。
清隆くんから、『好きだ』というメッセージが送られてきたのだから。……えっ!?いや、は?
私は思わず通知を凝視する。
目を擦って名前を再度確認しても、そこに表示されてるのは『清隆くん』の文字で。私の見間違いじゃないことに混乱するしかなかった。そんな私に追い討ちをかけるように通知音が立て続けに鳴り響いて飛び上がる。今度はなんだ、と半ば怯えながらメッセージに目を通した。
『目が合ったら笑顔で駆け寄って来てくれるところとか、気分が落ち込んでいることにすぐ気づいてくれるところとか、全部。』
「あ……えっ……」
だ、誰だこれは!?もしかしてクラスの誰かが清隆くんのフリして送ってきているのか!?そう疑ってしまうほど、その文章は清隆くんらしくなかった。
「………」
私は働かない頭をなんとか動かして、返信するために携帯で文字を打っていくが、手が震えるわ心臓バックバクだわで誤字連発するし文章もなんか違う気がして何度も書いては消してを繰り返す。…これでは、しばらく返信は無理そうだ。
清隆くんが私に対して『好き』と好意を伝えるメッセージを送ってくるなんてそんな、そんなことがあっていいの!?……いや、恋仲だから好きと言うのは分かるのだけれど。
そうではなくて!清隆くんは全然好きと言わないのだ。私がどれだけ好きと言っても無表情で「ありがとうな」と言われるだけ。だから、メッセージ上だとしてもこんな風に伝えられるのは初めてのことで、私はそれはもう混乱していた。そんな私に追い討ちをかけるように、通知音が鳴る。私はぴたりと動きを止めた。それから何度か深呼吸をしてから、そのメッセージに目を通す。
『本当に大好きなんだ。優、愛してる』
「~~~っ!?!」
その言葉に私の脳は完全にショートしてしまい、思わず携帯をベッドへとぶん投げた。……し、心臓に悪い!!
ああ、清隆くんがせっかく勇気出してこんなこと言ってくれてるし早く返信しないと、でも今文章なんて考えられない……!と1人パニックに陥っていると、そんな思考を遮るようにチャイムが鳴った。……こんな時間に誰だ…?
固まったまま動けない私にまるで催促するようにチャイムがもう一度鳴る。私は音を立てないようにしながら扉の前に行き、恐る恐るドアスコープを覗き込む。すると───そこに居たのは、清隆くんだった。
「き、清隆くん!?」
見慣れた人物であることにホッとしながら慌ててドアを開ける。…と、同時にふわりと大好きな香りが鼻腔を擽る。気がついた時には、清隆くんに抱きしめられていた。「……き、よたかくん?」
「悪いな、夜遅くに」
突然の至近距離に心臓がバクバクと煩く音を立てているのが分かる。密着している場所から彼の体温が伝わってきてドキリとした。
「う、ううん…大丈夫だけど……どうしたの?何かあった?」
私は彼に抱きしめられたまま、視線を少し上に向けて尋ねる。しかし清隆くんは何も答えず、ただ私を抱きしめる手に力が籠るだけだった。
「……えっと…清隆くん?」
そう再度名前を呼ぶが、返事はない。ただ、そっと宥めるように頭を撫でられた。……今日の清隆くんは、なんだか変だ。メッセージといい、私の部屋前に連絡なしで来たことといい。……何かあったのだろうか?それからしばらくの間、静寂が2人の間を満たしていたが先に私が耐えきれなくなり、口を開く。
「……さっきの、メッセージのこと、なんだけどさ」「…ああ」切り出すと、彼は相槌を打った。無視をしたい訳では無いらしい。私は慎重に言葉を選びながら話を続ける。
「その…清隆くんからって珍しいからさ。なんでかなーって思った、んだけど……」「……迷惑だったか?」
心做しか声がしょぼんとしている気がする。付き合ってから知ったことだが、清隆くんは意外と感情豊かだ。可愛いのにカッコイイって狡くないだろうか。
「そんなことないよ!めちゃくちゃ嬉しかったよ!ただ、ちょっといきなりでびっくりしちゃって……どうしてなのかなって」
そう言うと、彼は黙り込んだ。……き、気になるなあ。でもまあ無理に答えてもらうことでもないしな…と思っていると、清隆くんがぽつりと呟いた。
「不安になったんだ」
「え?」
不安、という言葉に思わず顔を上げる。視線が交差した。彼の瞳が、惑うようにゆらりと揺れる。
「オレは言葉も感情表現も上手くないから、その…普段から優に愛情を伝えることが出来ていない」
「そっ、そんなことないよ、清隆くんはいつだって私のことを好きだって伝えてくれてるよ……?」
それは嘘じゃない。確かに、直接好きだと言われたことはほとんどない。最初の頃は少しそれにやきもきしていた。けど、清隆くんはちゃんと私のことを大事にしてくれている。こちらを見つめる瞳だとか、ふとした仕草とか。そういう細かなところに『好き』が確かにあって、それに気づいてからは不満もなくなった。
「……そうか?」
「うん。だから、不安になることなんてないよ」
そう伝えても、清隆くんはどこか納得していない様子だった。……でも、そっか。清隆くん、そんな風に考えていてくれてたんだ…。
「優は、オレに好きだっていつも言ってくれるだろ?でもオレから言うことは殆ど無かったから。オレの好きは、どれだけ優に伝わってるんだろうって考え始めたら、その……急に不安になったんだ」
「……だから、急にあんなメッセージ送ってきたの?」
少し押し黙った後、こくんと頷いた。……そう思うと急に可愛く見えてくるな……私は彼にぎゅっと抱きついた。すると彼は少し驚いたような表情をする。
「…伝わったか?」「うん、ちゃんと伝わったよ。清隆くんの気持ち」
彼の胸に頭を押し付けながらそう答える。すると、清隆くんが私の頭を優しく撫でた。
「なら、よかった」
とくん、とくんと彼の心臓の鼓動が伝わってきて安心する。私は心地よい微睡みを感じながら目を細めた。
「……あ、そうだ清隆くん!」
「ん?」
「あの…さ。さっき送ってくれたメッセージ、清隆くんの口から直接聞きたいなー…なんて」
「…さっきのって……」「……だめ、かな」
少し恥ずかしいけど、清隆くんの声で直接聞きたい。そう強請ると彼は少し考えた後に、「分かった」と言った。
それからそっと私の耳元に口を近づけて囁く。
「……好きだ。優、愛してる」「~~っ!」
その声があまりにも甘く、優しく響いて思わず顔が赤くなる。……やっぱり、直接言われるのは違うなぁ…
「……もう1回」「え?」
「もっかい、聞きたい」
もう1回、とねだる私に清隆くんは少し困ったように笑う。それから、私の耳元に口を寄せて囁いた。「……好きだ」「も、もう一回」そう何度もせがむ私を見て彼はまた笑った後、再び愛を囁くのだった。
清隆くんから、『好きだ』というメッセージが送られてきたのだから。……えっ!?いや、は?
私は思わず通知を凝視する。
目を擦って名前を再度確認しても、そこに表示されてるのは『清隆くん』の文字で。私の見間違いじゃないことに混乱するしかなかった。そんな私に追い討ちをかけるように通知音が立て続けに鳴り響いて飛び上がる。今度はなんだ、と半ば怯えながらメッセージに目を通した。
『目が合ったら笑顔で駆け寄って来てくれるところとか、気分が落ち込んでいることにすぐ気づいてくれるところとか、全部。』
「あ……えっ……」
だ、誰だこれは!?もしかしてクラスの誰かが清隆くんのフリして送ってきているのか!?そう疑ってしまうほど、その文章は清隆くんらしくなかった。
「………」
私は働かない頭をなんとか動かして、返信するために携帯で文字を打っていくが、手が震えるわ心臓バックバクだわで誤字連発するし文章もなんか違う気がして何度も書いては消してを繰り返す。…これでは、しばらく返信は無理そうだ。
清隆くんが私に対して『好き』と好意を伝えるメッセージを送ってくるなんてそんな、そんなことがあっていいの!?……いや、恋仲だから好きと言うのは分かるのだけれど。
そうではなくて!清隆くんは全然好きと言わないのだ。私がどれだけ好きと言っても無表情で「ありがとうな」と言われるだけ。だから、メッセージ上だとしてもこんな風に伝えられるのは初めてのことで、私はそれはもう混乱していた。そんな私に追い討ちをかけるように、通知音が鳴る。私はぴたりと動きを止めた。それから何度か深呼吸をしてから、そのメッセージに目を通す。
『本当に大好きなんだ。優、愛してる』
「~~~っ!?!」
その言葉に私の脳は完全にショートしてしまい、思わず携帯をベッドへとぶん投げた。……し、心臓に悪い!!
ああ、清隆くんがせっかく勇気出してこんなこと言ってくれてるし早く返信しないと、でも今文章なんて考えられない……!と1人パニックに陥っていると、そんな思考を遮るようにチャイムが鳴った。……こんな時間に誰だ…?
固まったまま動けない私にまるで催促するようにチャイムがもう一度鳴る。私は音を立てないようにしながら扉の前に行き、恐る恐るドアスコープを覗き込む。すると───そこに居たのは、清隆くんだった。
「き、清隆くん!?」
見慣れた人物であることにホッとしながら慌ててドアを開ける。…と、同時にふわりと大好きな香りが鼻腔を擽る。気がついた時には、清隆くんに抱きしめられていた。「……き、よたかくん?」
「悪いな、夜遅くに」
突然の至近距離に心臓がバクバクと煩く音を立てているのが分かる。密着している場所から彼の体温が伝わってきてドキリとした。
「う、ううん…大丈夫だけど……どうしたの?何かあった?」
私は彼に抱きしめられたまま、視線を少し上に向けて尋ねる。しかし清隆くんは何も答えず、ただ私を抱きしめる手に力が籠るだけだった。
「……えっと…清隆くん?」
そう再度名前を呼ぶが、返事はない。ただ、そっと宥めるように頭を撫でられた。……今日の清隆くんは、なんだか変だ。メッセージといい、私の部屋前に連絡なしで来たことといい。……何かあったのだろうか?それからしばらくの間、静寂が2人の間を満たしていたが先に私が耐えきれなくなり、口を開く。
「……さっきの、メッセージのこと、なんだけどさ」「…ああ」切り出すと、彼は相槌を打った。無視をしたい訳では無いらしい。私は慎重に言葉を選びながら話を続ける。
「その…清隆くんからって珍しいからさ。なんでかなーって思った、んだけど……」「……迷惑だったか?」
心做しか声がしょぼんとしている気がする。付き合ってから知ったことだが、清隆くんは意外と感情豊かだ。可愛いのにカッコイイって狡くないだろうか。
「そんなことないよ!めちゃくちゃ嬉しかったよ!ただ、ちょっといきなりでびっくりしちゃって……どうしてなのかなって」
そう言うと、彼は黙り込んだ。……き、気になるなあ。でもまあ無理に答えてもらうことでもないしな…と思っていると、清隆くんがぽつりと呟いた。
「不安になったんだ」
「え?」
不安、という言葉に思わず顔を上げる。視線が交差した。彼の瞳が、惑うようにゆらりと揺れる。
「オレは言葉も感情表現も上手くないから、その…普段から優に愛情を伝えることが出来ていない」
「そっ、そんなことないよ、清隆くんはいつだって私のことを好きだって伝えてくれてるよ……?」
それは嘘じゃない。確かに、直接好きだと言われたことはほとんどない。最初の頃は少しそれにやきもきしていた。けど、清隆くんはちゃんと私のことを大事にしてくれている。こちらを見つめる瞳だとか、ふとした仕草とか。そういう細かなところに『好き』が確かにあって、それに気づいてからは不満もなくなった。
「……そうか?」
「うん。だから、不安になることなんてないよ」
そう伝えても、清隆くんはどこか納得していない様子だった。……でも、そっか。清隆くん、そんな風に考えていてくれてたんだ…。
「優は、オレに好きだっていつも言ってくれるだろ?でもオレから言うことは殆ど無かったから。オレの好きは、どれだけ優に伝わってるんだろうって考え始めたら、その……急に不安になったんだ」
「……だから、急にあんなメッセージ送ってきたの?」
少し押し黙った後、こくんと頷いた。……そう思うと急に可愛く見えてくるな……私は彼にぎゅっと抱きついた。すると彼は少し驚いたような表情をする。
「…伝わったか?」「うん、ちゃんと伝わったよ。清隆くんの気持ち」
彼の胸に頭を押し付けながらそう答える。すると、清隆くんが私の頭を優しく撫でた。
「なら、よかった」
とくん、とくんと彼の心臓の鼓動が伝わってきて安心する。私は心地よい微睡みを感じながら目を細めた。
「……あ、そうだ清隆くん!」
「ん?」
「あの…さ。さっき送ってくれたメッセージ、清隆くんの口から直接聞きたいなー…なんて」
「…さっきのって……」「……だめ、かな」
少し恥ずかしいけど、清隆くんの声で直接聞きたい。そう強請ると彼は少し考えた後に、「分かった」と言った。
それからそっと私の耳元に口を近づけて囁く。
「……好きだ。優、愛してる」「~~っ!」
その声があまりにも甘く、優しく響いて思わず顔が赤くなる。……やっぱり、直接言われるのは違うなぁ…
「……もう1回」「え?」
「もっかい、聞きたい」
もう1回、とねだる私に清隆くんは少し困ったように笑う。それから、私の耳元に口を寄せて囁いた。「……好きだ」「も、もう一回」そう何度もせがむ私を見て彼はまた笑った後、再び愛を囁くのだった。
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