修羅系乙女の鬼殺隊活動記録
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「あらゝ。お久しぶりです。杏寿郎さん」
「お久しぶりです! 棋怒川さん!」
「同じ任務ですね。よろしくお願いします」
柱に任命されてから、数日後。任務に訪れた村で、煉獄杏寿郎と合流した。相変わらずハキハキと話す杏寿郎は、やはり話していて気持ちが良い。
「柱、襲名おめでとうございます!」
「ありがとうございます。ふふ、改めて言われると、なかなか照れてしまいますわ」
今回の任務は、たまたまその村に宿泊した、鬼殺隊の隊士3名が、そこで行方知れずになったことが発端だった。
調査に向かった他の隊士が、村人に訪ねてみたところ、そんな人達は来ていないとのこと。烏を使って、報告を残した後、その隊士も行方がわからなくなっている。
「村人ぐるみ、かもしれませんねぇ……」
有永は、活気づいた村を見ながら言う。この村の名物は温泉で、あちこちから硫黄の臭いがし、観光客に溢れている。
「ふぅん」
「棋怒川さん。何かわかったのですか」
「……杏寿郎さん。私、少し高い所から、この村の地形を確認して来ますわ。この近辺の山は、あそこだけね。」
「なら俺も、」
「いいえ。そうね、杏寿郎さんは情報収集がてら温泉にでも入ってきてくださいな」
「へ?」
ぽかんとした杏寿郎を一人残し、有永はさっさと山の方向に歩いていった。
「ああ、そうね。どうせなら、最初に出来た温泉宿に行ってみてもらえるかしら」
少し振り向いて、そう言った。杏寿郎は戸惑いながらも、その通りにすることになった。
「すみません。こちらが、この村に最初にできた温泉宿ですか」
その宿につき、扉を潜ると、女将らしき人が出迎えた。なかなか良い生地の着物を着ている。有永のように、整った顔つきとまでは行かないが、肌が白く綺麗だ。温泉の効果だろうか。
「ようこそいらっしゃいました。はい、こちらはこの村で一番はじめに宿を開いた由緒正しい温泉宿でございます。お泊りの方でしょうか」
「はい、2名なのですが」
「お連れ様は、どちらに?」
「少し別の所を見てくるそうです。後から来るでしょう」
来るかどうかはわからないが、この近くに藤の花の家紋の家は無いようなので、拠点は必要だろう。
部屋に通して貰うと、綺麗な庭の奥に山が見えた。有永が向かった山だ。
「……」
「お客様、なかなか絶景でしょう。あの山には神様が住んでおりましてね。それはそれは美しい神様なのですよ」
「神様?」
「ええ。神様は、あの山にあります源泉に住んでおりましてね、私共にそれを分けてくださっているのですよ。……そういう、お話をよく祖母から聞かさせました」
女将は、上品に微笑み、温泉の場所などを説明して部屋から出ていった。
山の神様……何か関係があるかもしれない。
とりあえずは、その温泉とやらを見に行くことにした。
温泉には、特に変わったところは見つからなかったが、共に入っていた翁から、色々と話を聞くことができた。
曰く、昔、この土地に住む人はどの人も身体が弱く、痩せていた。寿命も短く、憐れに思った山の神様が、温泉を分けてくれた。温泉に使った人々は、みるみるうちに健康になり、活気に溢れた。
人々は心優しい神様に感謝し、山の神様が住まう源泉の近くに立派なお屋敷を据えた。
それがこの村に伝わる“お話”。
なるほど! わからん!!
棋怒川さんに相談せねばな!!
部屋に戻ると、有永がお茶を飲んで寛いでいた。
「あら、おかえりなさい」
「棋怒川さん!」
「では、お互いの調査結果を報告し合いましょうか」
杏寿郎は、有永に女将から聞いた話と、温泉で出会った翁から聞いた話を報告した。
その話に、有永は顎の下に手を組んで、考え込むように、目を瞑った。
「私は、その山に行ってきたわけなのですが……妙な事に、村にあれだけ漂っていた硫黄の臭いすらなく、源泉というのも見つけられませんでした」
「は?」
「烏にも、空から見てもらいましたが、それらしいものは見当たりませんでした。村の周辺にもそれらしいものは見つかりません。最初に出来た宿に源泉があるのかとも思いました。しかし、女将の話を聞く限り、ここではない……
いったい、温泉は何処から湧いているのでしょうね?」