雪花の負け犬
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冬坂聖の眠る部屋には、毎日人が訪れた。
炎柱の煉獄杏寿郎をはじめ、竈門炭治郎、我妻善逸、嘴平伊之助のあの日同じ任務に就いていた者。彼と親しい柱の面々。
絶えることなく人が彼の側にいた。
今、この部屋には煉獄と炭治郎が控えている。
いつ、聖が目覚めてもいいように。
「おう、散れ散れ。名だたる名医のお出ましだ。邪魔だ退けほら。診察できねぇだろ。離れろ、寄るな邪魔だ」
担当医、篠崎が横柄な態度でヅカヅカと部屋に入る。腕は良いのだが、性格に難があるため、都内の大病院の院長を退き、今は
鬼殺隊で医者をしている。
「篠崎先生、聖は」
「あ? 俺はやる事は全部やったぜ。あとはこの馬鹿次第だっつってんだろ。さっさと起きろ馬鹿。俺の治療は完璧なんだから」
「篠崎先生……あの、その言い方はどうかと思うんですが」
「うるせぇ、チビ。黙ってろ診察の邪魔だ」
あまりの言い分に炭治郎が眉を下げて注意するも、篠崎は吐き捨てるように暴言を吐いた。
「今日で一月か? 寝汚ぇなほんと。お前ガキの頃はもうちっと、ちゃんとしてただろ。健彦に任せて生活習慣乱れたか?」
「ガキの頃? 先生は、聖の子供の頃を知っているのですか?」
「あ? 知ってるも何も……」
煉獄が不思議そうな顔で、篠崎に尋ねるも、篠崎は話を途中でやめ、聖の顔を覗き込こんだ。
「おい、馬鹿。起きてんならさっさと言え」
「え!?」
見ると、聖は薄っすらと目を開けていた。その翡翠色の瞳を左右に動かしている。
「聖!!」
煉獄は、聖の手を握り名前を呼ぶ。
「れんごく、さん?」
聖も、掠れた声で煉獄の名前を呼ぶ。
それだけで煉獄は、堪らなく目頭が熱くなった。握ったままの手を額に押し当て、それに耐える。
「れんごくさん、おけがは……」
「何故、真っ先に気に掛けるのがそれなんだ、君は……」
「……いきて、ますか?」
「生きているよ。君も、俺も、竈門少年達も」
「そっか……」
よかった、と呟いて、また目を瞑る。煉獄が、それに慌てて揺り動かすが、篠崎の手によって止められた。
「眠っただけだ。てか人の愚弟に乱暴するじゃねぇ。ブッ殺すぞ」
「医者が言っていい事なのですかそれは……弟?」
「おう」
篠崎巴。旧姓、冬坂巴。冬坂家の次男坊である。
え、この暴言医師が。あの優しいこの人の?
煉獄と炭治郎は、顔を見合わせた。
「なんだ、なんか文句あんのか」
今まで、聖のことで頭が一杯で気が付かなかったが、そういえば、どことなく似ている、気がする。
例えば、猗窩座に啖呵を切ったときの聖の口元と、患者に暴言を吐いているときのこの医者の顔。
瓜ふたつと言うまでには行かないが、確かに似ている。
でも、それでも。えぇ……
「兄弟……」
納得行かない……
炎柱の煉獄杏寿郎をはじめ、竈門炭治郎、我妻善逸、嘴平伊之助のあの日同じ任務に就いていた者。彼と親しい柱の面々。
絶えることなく人が彼の側にいた。
今、この部屋には煉獄と炭治郎が控えている。
いつ、聖が目覚めてもいいように。
「おう、散れ散れ。名だたる名医のお出ましだ。邪魔だ退けほら。診察できねぇだろ。離れろ、寄るな邪魔だ」
担当医、篠崎が横柄な態度でヅカヅカと部屋に入る。腕は良いのだが、性格に難があるため、都内の大病院の院長を退き、今は
鬼殺隊で医者をしている。
「篠崎先生、聖は」
「あ? 俺はやる事は全部やったぜ。あとはこの馬鹿次第だっつってんだろ。さっさと起きろ馬鹿。俺の治療は完璧なんだから」
「篠崎先生……あの、その言い方はどうかと思うんですが」
「うるせぇ、チビ。黙ってろ診察の邪魔だ」
あまりの言い分に炭治郎が眉を下げて注意するも、篠崎は吐き捨てるように暴言を吐いた。
「今日で一月か? 寝汚ぇなほんと。お前ガキの頃はもうちっと、ちゃんとしてただろ。健彦に任せて生活習慣乱れたか?」
「ガキの頃? 先生は、聖の子供の頃を知っているのですか?」
「あ? 知ってるも何も……」
煉獄が不思議そうな顔で、篠崎に尋ねるも、篠崎は話を途中でやめ、聖の顔を覗き込こんだ。
「おい、馬鹿。起きてんならさっさと言え」
「え!?」
見ると、聖は薄っすらと目を開けていた。その翡翠色の瞳を左右に動かしている。
「聖!!」
煉獄は、聖の手を握り名前を呼ぶ。
「れんごく、さん?」
聖も、掠れた声で煉獄の名前を呼ぶ。
それだけで煉獄は、堪らなく目頭が熱くなった。握ったままの手を額に押し当て、それに耐える。
「れんごくさん、おけがは……」
「何故、真っ先に気に掛けるのがそれなんだ、君は……」
「……いきて、ますか?」
「生きているよ。君も、俺も、竈門少年達も」
「そっか……」
よかった、と呟いて、また目を瞑る。煉獄が、それに慌てて揺り動かすが、篠崎の手によって止められた。
「眠っただけだ。てか人の愚弟に乱暴するじゃねぇ。ブッ殺すぞ」
「医者が言っていい事なのですかそれは……弟?」
「おう」
篠崎巴。旧姓、冬坂巴。冬坂家の次男坊である。
え、この暴言医師が。あの優しいこの人の?
煉獄と炭治郎は、顔を見合わせた。
「なんだ、なんか文句あんのか」
今まで、聖のことで頭が一杯で気が付かなかったが、そういえば、どことなく似ている、気がする。
例えば、猗窩座に啖呵を切ったときの聖の口元と、患者に暴言を吐いているときのこの医者の顔。
瓜ふたつと言うまでには行かないが、確かに似ている。
でも、それでも。えぇ……
「兄弟……」
納得行かない……