雪花の負け犬
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蝶屋敷に運ばれてきた、冬坂聖は、満身創痍だった。
煉獄杏寿郎と共に、上弦の鬼と相対し、死闘を繰り広げた。そして今、聖は死んだように眠り続けている。
処置は腕利きの医者により施され、あとは聖次第と言ったところだった。
「聖は、俺を庇って……」
煉獄杏寿郎は、片目を失い、自身も大怪我をしながらも生き延びた。しかし、その表情は暗い。
何日も眠り続ける聖の傍らに座り続けている。二人を診た医者は、そんな煉獄に「アンタも重症なのだから、寝ていろ」と怒っっていたが、彼は、頑として聞かなかった。
炭治郎達も大きい怪我は無いといっても、骨にヒビが入っていたり、少しだけ腹が裂けていたりと、鬼を斬りに行けるような体調ではなかった。(煉獄が、呼吸の仕方を教え、致命傷にしならないように指導したため、回復は早いようだ。)
3人も、聖が眠る部屋に何回も訪れた。
元々鼓動の音が小さい聖だが、今は更に小さくて、善逸はほろほろと泣いた。
消毒液の匂いと、医者が施していった点滴の匂いに、炭治郎は、歯を食いしばった。
あの美味しいものをくれて、自分の言動に困ったように笑っていた、自分をほわほわさせる人の希薄な気配に、伊之助は黙り込んだ。
来る日も来る日も、聖は目覚めなかった。
顔布は、寝ているときにつけていると、縁起が悪い、と医者に没収された為、顔は見えている。
白磁の肌は、さらに青白く、翡翠色の瞳は固く閉ざされている。
呼吸は、安定しているが、意識だけが戻らない。
「俺は、君に気持ちを伝えたことが無かったな……」
2人きりの部屋で、煉獄は静かに呟いた。当然返事はない。
「俺は君が好きだ」
返事はない。
「始めは一目惚れだった。しかし、君と過ごすうちに、君がとても優しい人だと知った。……芯の強い人だとも思った」
返事はない。
「君の剣技は、静かで俺とは正反対だな。俺は心の底から美しいと、そう思った」
返事はない。
「君はいつも何かに、怯えているようだった。……だが、俺にはなにも打ち明けてくれなかったな」
返事はない。
「俺は君が背負っているものを、知りたい」
返事はない。
「君がどんなものを好んで、どんなことで笑うのか、もっと知りたい」
返事はない。
「君と、もっと話したい」
返事はない。
「俺は、君と……」
返事は、ない。
煉獄は、その蒼白い手をそっと握り、額に押し付けた。
冬坂聖は、未だ目覚めない。
煉獄杏寿郎と共に、上弦の鬼と相対し、死闘を繰り広げた。そして今、聖は死んだように眠り続けている。
処置は腕利きの医者により施され、あとは聖次第と言ったところだった。
「聖は、俺を庇って……」
煉獄杏寿郎は、片目を失い、自身も大怪我をしながらも生き延びた。しかし、その表情は暗い。
何日も眠り続ける聖の傍らに座り続けている。二人を診た医者は、そんな煉獄に「アンタも重症なのだから、寝ていろ」と怒っっていたが、彼は、頑として聞かなかった。
炭治郎達も大きい怪我は無いといっても、骨にヒビが入っていたり、少しだけ腹が裂けていたりと、鬼を斬りに行けるような体調ではなかった。(煉獄が、呼吸の仕方を教え、致命傷にしならないように指導したため、回復は早いようだ。)
3人も、聖が眠る部屋に何回も訪れた。
元々鼓動の音が小さい聖だが、今は更に小さくて、善逸はほろほろと泣いた。
消毒液の匂いと、医者が施していった点滴の匂いに、炭治郎は、歯を食いしばった。
あの美味しいものをくれて、自分の言動に困ったように笑っていた、自分をほわほわさせる人の希薄な気配に、伊之助は黙り込んだ。
来る日も来る日も、聖は目覚めなかった。
顔布は、寝ているときにつけていると、縁起が悪い、と医者に没収された為、顔は見えている。
白磁の肌は、さらに青白く、翡翠色の瞳は固く閉ざされている。
呼吸は、安定しているが、意識だけが戻らない。
「俺は、君に気持ちを伝えたことが無かったな……」
2人きりの部屋で、煉獄は静かに呟いた。当然返事はない。
「俺は君が好きだ」
返事はない。
「始めは一目惚れだった。しかし、君と過ごすうちに、君がとても優しい人だと知った。……芯の強い人だとも思った」
返事はない。
「君の剣技は、静かで俺とは正反対だな。俺は心の底から美しいと、そう思った」
返事はない。
「君はいつも何かに、怯えているようだった。……だが、俺にはなにも打ち明けてくれなかったな」
返事はない。
「俺は君が背負っているものを、知りたい」
返事はない。
「君がどんなものを好んで、どんなことで笑うのか、もっと知りたい」
返事はない。
「君と、もっと話したい」
返事はない。
「俺は、君と……」
返事は、ない。
煉獄は、その蒼白い手をそっと握り、額に押し付けた。
冬坂聖は、未だ目覚めない。