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いつのまにか何処かにふらっと出かけていた兄ちゃんが不釣り合いな手さげ袋を抱えて帰ってきた
袋にはデカデカと<フレッシュ弁当>の文字
「兄ちゃん、それ何?」
自分の兄が律儀に弁当屋に並んで自分で弁当を注文するわけがない
生まれた時から一緒にいるんだからそれだけはない、これは断言できる
もしかして袋はその辺で適当にあったやつを使ってるのかもしれないって何気なく聞いてみる
「弁当。」
袋に書いてるだろって言いたげな顔で兄ちゃんは無造作にリビングの机に弁当を置いた
「竜胆、お前これ食ってみ?」
兄が楽しそうな顔をしている時は決まって何か裏がある
「なんで?」
少し警戒した声で問いかけてみれば案の定、道で会った変な女がくれたと笑う兄。
「それ、やばいやつじゃん。持って帰ってくんなよ。いらねー」
俺は丁度読みかけの雑誌に目を向けながら続きの言葉を吐いた
なんでそんなもん持って帰ってきてんだよって若干イラついたけどそれは言わない
「いいから食ってみろよ。兄ちゃん命令。美味かったら俺も食うからさ。」
「え。兄ちゃんも食うの?」
「だって俺の弁当じゃん。早く食えって」
いや、理屈が意味不明なんだけどこれがうちの兄の通常運転。横暴で我儘で気分屋。自分が"兄"の立場なのをいいことに、なんでも面倒なことはこっちの"弟"任せだ
「兄ちゃんのそういう所本当嫌い」
俺は悪態をつきながらもとりあえず怪しげな弁当に手を伸ばす
今日の兄はずいぶん機嫌が良さそうだった
たかが怪しい弁当ひとつで兄の機嫌を損いたくない
我ながら賢い選択だと思う
「どう?美味い?」
兄はとても楽しそうにこっちを見つめる
得体が知れない弁当を実の弟に食わしてそれで弟になにかあったらどうしようって普通なら考えるだろうけど、うちはこれが普通
そしてこの状況に慣れた弟、これも普通
もしこの弁当で俺に何かあったとしてもきっと兄はどんまいくらいの軽いノリで笑うんだと思う
怠いからせめて腹痛くらいがいいなぁなんて考えて箸を運ぶ
「ん。普通に美味いけど。」
見た目は普通の弁当だし、意外にも味は美味かった
素朴な家庭料理って俺は食べた事ないけど、多分こんな感じなのかもって思った
フレッシュ弁当、名前は聞いたことないけど食う片手間に携帯で検索してみれば普通にヒットしてこじんまりとした質素な弁当屋の写真が映る
「ここの店のやつじゃね?」
って、兄に携帯を見せてみる
すると兄は勝手に人の携帯を奪って画面をスクロールし始めた
店員っぽい女がお弁当を売っている写真も載ってて「あ、コイツだわ」って言うからどうやら兄はその店員と会ったらしい
「ふーん」
女の顔はチラッと見たけど普通にその辺にいる若い女だった
高校生か大学生かもしかしたら童顔の社会人の可能性もあるけど、まぁ写真に載ってるなら普通に店員だろうなって
「じゃあ俺も食お〜」
なんて言いながら弁当を開ける兄の顔は普段より少しだけ楽しそうに見えた
袋にはデカデカと<フレッシュ弁当>の文字
「兄ちゃん、それ何?」
自分の兄が律儀に弁当屋に並んで自分で弁当を注文するわけがない
生まれた時から一緒にいるんだからそれだけはない、これは断言できる
もしかして袋はその辺で適当にあったやつを使ってるのかもしれないって何気なく聞いてみる
「弁当。」
袋に書いてるだろって言いたげな顔で兄ちゃんは無造作にリビングの机に弁当を置いた
「竜胆、お前これ食ってみ?」
兄が楽しそうな顔をしている時は決まって何か裏がある
「なんで?」
少し警戒した声で問いかけてみれば案の定、道で会った変な女がくれたと笑う兄。
「それ、やばいやつじゃん。持って帰ってくんなよ。いらねー」
俺は丁度読みかけの雑誌に目を向けながら続きの言葉を吐いた
なんでそんなもん持って帰ってきてんだよって若干イラついたけどそれは言わない
「いいから食ってみろよ。兄ちゃん命令。美味かったら俺も食うからさ。」
「え。兄ちゃんも食うの?」
「だって俺の弁当じゃん。早く食えって」
いや、理屈が意味不明なんだけどこれがうちの兄の通常運転。横暴で我儘で気分屋。自分が"兄"の立場なのをいいことに、なんでも面倒なことはこっちの"弟"任せだ
「兄ちゃんのそういう所本当嫌い」
俺は悪態をつきながらもとりあえず怪しげな弁当に手を伸ばす
今日の兄はずいぶん機嫌が良さそうだった
たかが怪しい弁当ひとつで兄の機嫌を損いたくない
我ながら賢い選択だと思う
「どう?美味い?」
兄はとても楽しそうにこっちを見つめる
得体が知れない弁当を実の弟に食わしてそれで弟になにかあったらどうしようって普通なら考えるだろうけど、うちはこれが普通
そしてこの状況に慣れた弟、これも普通
もしこの弁当で俺に何かあったとしてもきっと兄はどんまいくらいの軽いノリで笑うんだと思う
怠いからせめて腹痛くらいがいいなぁなんて考えて箸を運ぶ
「ん。普通に美味いけど。」
見た目は普通の弁当だし、意外にも味は美味かった
素朴な家庭料理って俺は食べた事ないけど、多分こんな感じなのかもって思った
フレッシュ弁当、名前は聞いたことないけど食う片手間に携帯で検索してみれば普通にヒットしてこじんまりとした質素な弁当屋の写真が映る
「ここの店のやつじゃね?」
って、兄に携帯を見せてみる
すると兄は勝手に人の携帯を奪って画面をスクロールし始めた
店員っぽい女がお弁当を売っている写真も載ってて「あ、コイツだわ」って言うからどうやら兄はその店員と会ったらしい
「ふーん」
女の顔はチラッと見たけど普通にその辺にいる若い女だった
高校生か大学生かもしかしたら童顔の社会人の可能性もあるけど、まぁ写真に載ってるなら普通に店員だろうなって
「じゃあ俺も食お〜」
なんて言いながら弁当を開ける兄の顔は普段より少しだけ楽しそうに見えた
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