⑴出会い
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こんな奴と見合いなんて絶対無理
仲人の上司達が「ごめんごめん」と軽口を叩いて少し遅れて入ってきた途端、また人当たりの良さそうな他所行きの笑顔を浮かべて彼が笑う
「お疲れ様です〜」
さっきまでの対応が嘘みたいに上司たちと仲睦まじく喋っている憎たらしい奴の顔は多分一生忘れない
早くこんな所立ち去ってしまいたい
誰にも聞こえないように私は小さくため息を吐く
不意に上司が私を呼ぶ声が聞こえた
「みょうじくん、鷹見くんはすごく人当たりもいいし好青年でおすすめだなぁ。君も気に入ったんじゃない?」
いいえ印象最悪です、とも言えずにあははと乾いた笑いを返す
そんな私の反応を満更でもないと上司が受け取ったのか当の本人達を置き去りにして仲人の上司達が盛り上がる
「いえいえ。みょうじさんは僕なんかには勿体ないくらい素敵な女性ですよ。」
彼が私に視線を向けて、ね?と笑いかけてくる
一瞬冷めた目で見返してしまったけど彼に気にした様子はない
「とんでもありません。ありがとうございます。」
いつまでもこんな男に一喜一憂して振り回されたくもない
なんだか悔しくてこちらも大人の対応で笑みを返す
その後はお互いに趣味はなんだとか休日は何してるとか理想のタイプはどうだとか、絵に描いたようなお見合いテンプレみたいな質問と会話を繰り返して終了
あんな男の言うことは全部嘘っぱちだと内容はぜんぶその場で綺麗さっぱり忘れてやった
「散々な日だった」
後日、再び上司に呼ばれてみれば、先方が私を気に入っているから話を進めたいと言ってきた
訳がわからない、何の冗談だろう
あの失礼な男は破談にしたいと言っていた
「いや、あのすみません。有難いお話なんですが、私にはやっぱり…」
やんわりと否定してみるが上司はこんな話は滅多にないから君は運がいい、と全く持って聞く耳を持ってくれなかった
いやいやいや
…………ないわ
先方が私を気に入っているなんて何かの間違いに決まってる
話にならない上司に掛け合っても話は平行線だ
「あの…ちょっと鷹見さんに会わせてもらうことって出来ますか?」