< ホークス目線のお話です　>

「あ〜、いいです。興味ないんで」


あーあ、間違えた
思ってることがそのまま言葉に出た
はぁ〜やらかしたな


「え？なんて…？」
不安げな表情をした彼女が聞き返してくる


いっそ嫌われた方が事が早く終わると思った俺は特に弁解することもなく言葉を続ける


「だから名乗らなくていいです。いや〜、そもそも個性婚？そういうの全く興味ないんですよ、俺。」


嘘は言っていない


「…………はぁ？」


「素直に言うと早く帰りたいです」


「えっ、なんですか？感じ悪ッ！」


「あははは〜率直ですね」



大人しい普通のお嬢さんかと思った彼女が素直な反応を見せる
面白い子だと思った
絵に描いたように分かりやすく反応して怒っている


俺は最低な男だ
分かりやすく反応する彼女を見て、このまま俺の挑発に乗って俺を嫌ってくれたらいい
そうすれば彼女の方からこの縁談を断ってくれるに違いない
つまり俺は上に角を立てずにこの縁談をチャラにできる


そこからの俺の行動は速かった

「えっ、テレビと全く違いますね！？
今、めちゃくちゃ感じ悪いですよ」

「ありがとうございます。一応、愛想振りまくのも仕事の内なんで。ヒーローってそういうもんだと思いません？」

「こっちは初めてのお見合いで！めちゃくちゃ緊張して！ここまで来たんです！部屋に入ったらちょっと優しそうな人がいて安心したのに！」

「へぇ、優しい人がいたからあわよくば〜って思ったんですか？」

「…………最低です。天下のNO.2ヒーロー様がこんなに失礼な人だと思いませんでした！！！」

「あははは〜ご期待に添えずすみません。随分理想が高そうで大変ですね。」

「〜〜〜ッッ！！！」


普通に失礼なことを言ってるって自覚はある
出会って早々に本当に最低な男だなとまるで他人事のように自分の発言を思い返しては乾いた笑いが出る


少しだけ彼女を気の毒に思うけど
もう会うこともないんだから、と割り切った