⑵埋まる距離
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あれから数日が経った
今日も何事なく仕事を終えて、帰りの電車の時刻まで自分のデスク周りや鞄の整頓をしながら時間を潰す
特にあれ以来、上司から見合いの件をせっつかれることもなかったので、多分彼がうまいこと立ち回って「後は自分達で〜」とかなんとか上手く時間稼ぎをしてくれているんだと思う
時間稼ぎといっても一般庶民の私が出来ることなんて多分何も無い
彼の事務所に行った時に、とりあえず連絡先くらい交換しときましょうか、と言われて連絡先は交換した
私の携帯に入った<鷹見啓悟>の文字になんだか少しむず痒い気持ちになる
まだ彼から着信が来たことも私から電話をかけたこともないのでこれが本当に彼に繋がる番号なのかは分からない
それでも、ミーハー気分になりたいわけじゃないけどNO.2ヒーローの連絡先をこんな一般人の携帯に易々と入れてて大丈夫なのかなっていらぬ心配はしてしまう
鞄の中に入ったスマートフォンを手に取るといつもの見慣れた待ち受け画面が見えた
するとタイミングよく電話の着信音が鳴る
携帯画面に<鷹見啓悟>の文字
何か進展があったのかもしれない
「も、もしもし!」
「あ、俺です。ちゃんと登録してますか。」
彼の声は電話越しで聞くとまた違った声に聞こえたけど、出て早々にこちらをからかうような口調は間違いなく彼だった
「…………してますけど」
まさかそんなくだらないことで電話してきたんじゃ?そんな声色を彼はすぐに察したんだと思う
電話口で冗談ですよ、と笑う声が聞こえた
本当に失礼な男だ
「今どこですか?」
「会社です。今から帰りますが」
「なら良かった。ちょうど近くまで来てるんで、これからメシでも行きませんか?」
「…………え?なんでですか?」
我ながらご飯に誘われてなんでですかと返すなんて最高に可愛くない女だと思う
でも相手はあの失礼男だ
初対面の最悪な印象はなかなか塗り替えられないし私にも変な意地がある
初対面の時は確かに腹が立ったけど別に未だに彼に怒っているわけではない
それでも彼と話す時はいつも、私はいつも以上にぶっきらぼうな返しをしてしまうのだ
「都合悪いんですか?」
彼の声はいつも通りで、特に私の言葉で気分を害した感じもない
別に気にしてないんだと思う
「いや、都合悪いとかではなくて…」
「なら、暇ですよね?」
「暇ですよねって言われると暇ではないですって言いたくなります」
「美味しい焼き鳥の店があるんです」
「……はぁ、なるほど…?」
「もう二人で予約取ったんですけど、すっぽかしますか?」
ほらまたそんな自分勝手なことを言う、って私も電話口で思わず笑ってしまう
「えぇ〜。決定事項じゃないですか」
「20時にヨリトミで。場所は後からスマホに地図送っておきますね」
言いたいことだけ言って彼はすぐ電話を切った
そんな友達みたいなノリでご飯に誘われると思ってなかった
今の時刻は19時半
その後すぐ、彼が送ってくれた焼き鳥屋さんの地図は普通に分かりやすくて場所も会社から近かった
相手が失礼男でないならこれはなかなかスマートなお誘いだと思う
すでにお店の予約も取ってくれていてご丁寧に場所の案内までしてくれるのだ
性格と口は悪いけど、彼は意外とマメなところもあるのかもしれない
「まぁお腹は空いてるしいいか。」
なんて呟きながら私は会社を出てスマートフォンの地図を頼りに店へと歩いた
今日も何事なく仕事を終えて、帰りの電車の時刻まで自分のデスク周りや鞄の整頓をしながら時間を潰す
特にあれ以来、上司から見合いの件をせっつかれることもなかったので、多分彼がうまいこと立ち回って「後は自分達で〜」とかなんとか上手く時間稼ぎをしてくれているんだと思う
時間稼ぎといっても一般庶民の私が出来ることなんて多分何も無い
彼の事務所に行った時に、とりあえず連絡先くらい交換しときましょうか、と言われて連絡先は交換した
私の携帯に入った<鷹見啓悟>の文字になんだか少しむず痒い気持ちになる
まだ彼から着信が来たことも私から電話をかけたこともないのでこれが本当に彼に繋がる番号なのかは分からない
それでも、ミーハー気分になりたいわけじゃないけどNO.2ヒーローの連絡先をこんな一般人の携帯に易々と入れてて大丈夫なのかなっていらぬ心配はしてしまう
鞄の中に入ったスマートフォンを手に取るといつもの見慣れた待ち受け画面が見えた
するとタイミングよく電話の着信音が鳴る
携帯画面に<鷹見啓悟>の文字
何か進展があったのかもしれない
「も、もしもし!」
「あ、俺です。ちゃんと登録してますか。」
彼の声は電話越しで聞くとまた違った声に聞こえたけど、出て早々にこちらをからかうような口調は間違いなく彼だった
「…………してますけど」
まさかそんなくだらないことで電話してきたんじゃ?そんな声色を彼はすぐに察したんだと思う
電話口で冗談ですよ、と笑う声が聞こえた
本当に失礼な男だ
「今どこですか?」
「会社です。今から帰りますが」
「なら良かった。ちょうど近くまで来てるんで、これからメシでも行きませんか?」
「…………え?なんでですか?」
我ながらご飯に誘われてなんでですかと返すなんて最高に可愛くない女だと思う
でも相手はあの失礼男だ
初対面の最悪な印象はなかなか塗り替えられないし私にも変な意地がある
初対面の時は確かに腹が立ったけど別に未だに彼に怒っているわけではない
それでも彼と話す時はいつも、私はいつも以上にぶっきらぼうな返しをしてしまうのだ
「都合悪いんですか?」
彼の声はいつも通りで、特に私の言葉で気分を害した感じもない
別に気にしてないんだと思う
「いや、都合悪いとかではなくて…」
「なら、暇ですよね?」
「暇ですよねって言われると暇ではないですって言いたくなります」
「美味しい焼き鳥の店があるんです」
「……はぁ、なるほど…?」
「もう二人で予約取ったんですけど、すっぽかしますか?」
ほらまたそんな自分勝手なことを言う、って私も電話口で思わず笑ってしまう
「えぇ〜。決定事項じゃないですか」
「20時にヨリトミで。場所は後からスマホに地図送っておきますね」
言いたいことだけ言って彼はすぐ電話を切った
そんな友達みたいなノリでご飯に誘われると思ってなかった
今の時刻は19時半
その後すぐ、彼が送ってくれた焼き鳥屋さんの地図は普通に分かりやすくて場所も会社から近かった
相手が失礼男でないならこれはなかなかスマートなお誘いだと思う
すでにお店の予約も取ってくれていてご丁寧に場所の案内までしてくれるのだ
性格と口は悪いけど、彼は意外とマメなところもあるのかもしれない
「まぁお腹は空いてるしいいか。」
なんて呟きながら私は会社を出てスマートフォンの地図を頼りに店へと歩いた
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