【はぐれ噺集】
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おはなし箱内全共通のお名前変換「夢語ノ森」では基本、おはなしの中で主人公の娘っこの性格や年齢を書き綴っていく形にしていますが、特別設定がある場合もございます。
そういったおはなしでは説明頁の設置や特記事項がありますので、ご参考までにどうぞ。
当森メインの夢創作を楽しめますよう、先ずは是非、井宿さんにお名前を教えていって下さいませ
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「あ、あの……っ!」
名前は呼ばれていないのに、不思議と自分が呼ばれているのだと感じて振り返る。
「…私と…っ…お茶、してくれませんか…っ?」
とても恥ずかしそうに顔を赤らめさせて懸命に紡がれたその言葉が。
私を通して違う人を見ている事に、気付きたくなかった―――…。
**§**
『華音ちゃーんっ。この前、可愛い子と喫茶店にいたでしょ。偶然見かけたんだけど、あの子、お友達?』
『う、うん。お茶飲み…友達って感じかな』
『すごいね、華音ちゃん!いつの間に友達作ったのっ?』
『相手の子から気になって声かけてくれて…。私の事をすごく慕ってくれてるみたいだから、話しやすいの』
『うん、華音ちゃんもすごく楽しそうだったもんね!唯ちゃーん、あたしたちも仲良くお茶しに行こっ!』
『…何言ってんの。そんなのいつもしてるじゃん』
『むーっ、唯ちゃんつれないーっ。たまには嬉しそうに乗ってよぉ』
『いいよ、行こっか!美朱』
『…やっぱいい。唯ちゃんじゃない…』
『だろうね』
そんなやり取りがあったのは、つい二週間前のことだったはず。
その時の心持ちとは一変して、今は憂鬱な気分がどうにも拭えない。
「…疲れているのだ?大丈夫なのだ?」
「い、いえ…身体は別に何とも…」
バイトの昼食休憩の時間になって声を掛けてくれる芳幸の顔を控えめに見上げる。
「…だ?」
「…大好き…です、芳幸さん…。芳幸さんも私の事――」
「愛している…――のだが、口づけるのはさすがに二人きりの時にしておくのだ」
代わりにと言わんばかりに、ひんやりとよく冷えているミニトマトが華音の唇にそっと宛がわれた。
不安な気持ちからつい口にしてしまった言葉だったが、芳幸はさらりと笑顔で答えてくれて顔が熱くなる。
恥ずかしさを誤魔化す為にも、差し出されたトマトを口に含む。
そんなやり取りをすることで、その時だけでも華音の気持ちは単純ながらもすっかり晴れてしまった。
…そう流す事が、芳幸の思惑だった事を華音は知らない。
「美朱」
「は、はい?」
その日の華音のバイト時間が終わった後、華音の様子が気に掛かった芳幸が美朱の名を呼び、いつになく真剣な声音で名を呼ばれた美朱はというと、まるで学校の先生にでも呼び出される時のような心境で芳幸の方を向いた。
「オイラたちが知っている事は華音には内緒にして欲しいのだが…」
「う、うん?」
「華音のお茶飲み友達、というのは、この子で合っているのだ?」
す…と、美朱の前に一枚の写真が差し出され、それを見た美朱は頷いて答える。
「うん!華音ちゃんの綺麗っていう印象とは対照的にすっごく可愛いっていう印象の子だったから、間違いないよっ――ん?でも、この写真って…」
目敏く写真の違和感に気づいた様子の美朱が首を傾げる。
「あっちはあたしたちが気付いてるって知ってるのかどうかは分かんないけど…。めんどくさいったらないわ。華音が巻き込まれる形が一番、ね」
「…じゃあ、華音ちゃんと仲良くなりたくて声をかけたわけじゃないってこと?」
「さぁ?本心は分からないけど…井宿を目的にしてるのも確かね」
「……そんな…だって華音ちゃん、あんな楽しそうだったのに…」
「今週のバイトの時の様子からして、華音ももう気付いているのだ、彼女の心に…」
「…だから…食事の時に積極的だったんだ…」
し…んと、言葉のない空気が事務所内に漂う。
その中で、事務所内から事務所の外の様子を密かに撮ってある写真の中で小さく映る一人の少女の姿が、やけにはっきりと主張されて見えるようだった。
**§**
「…華音さん!ごめんなさい、待たせちゃいましたか?」
「ううん、私も今来たところ」
月曜日と木曜日。
一週間の中のその二日間は、大抵彼女と過ごす時間になっていた。
華音の身体の事情がある事は分かってくれているようで、長くても小一時間ほどで彼女と過ごす時間は終わる。
だが、この日だけは違った。
「華音さん…あの、もし良かったら、華音さんの家にお邪魔しても良いですか?そうすれば、少しでも長くお話出来るかなーなんて。駄目…ですかね?」
一時間にも満たない頃合いで彼女からの申し出があった。
迷いはしたものの、嘘でも断固として拒む理由も見つけられなかった為、結局頷く事にしてしまった。
喫茶店から芹沢家へと場所を移し、母親が友人を連れてきた事に気分を良くしてお茶菓子の用意も豪華に整う中。
彼女はとても嬉しそうにしていた。
「わぁ、華音さんの雰囲気にぴったり!部屋もティータイムもすごく素敵…!」
夢見るようにはしゃぐ姿は本当に可愛らしい。
華音は家の中では一番下だし、事務所でも面倒を見てもらう立場にあるし、自分に全面的に甘えてきてくれるという存在はとても新鮮に感じていたのだ。
…少し前に、彼女の手帳の中に芳幸の写真を見つけてしまうまでは…。
その写真を華音が見つけるように仕向けたのも、実は彼女自身の策だったのではないだろうか…。
そう思うようになってしまったのは―――…。
「…ねぇ、華音さん。もちろん、彼も此処に来た事ありますよね?彼、どんなふうに華音さんのことを愛してくれるんですか?華音さんは、彼にどんなふうに甘えるんですか?教えて下さい。私、頑張って華音さんの真似をするので」
彼女の雰囲気ががらりと変化した。
華音の事を慕ってくれる少女から、何が何でも愛を得ようと奔走する少女へと。
「…砂姫〔さき〕さん…もう、終わりにしましょう…?芳幸さんが芳幸さんの意思で砂姫さんの事を選ぶのなら、私は身を引きます…。芳幸さんの幸せを願いたいから…。でも、芳幸さんが私を想ってくれている限りは、私も自分の想いに縋っていたいの」
「…そんな辛そうな顔をしないで、華音さん。せっかくの綺麗な顔が台無し…。分かった…じゃあ、華音さんが彼の代わりに私の事を愛してくれたらいいよ。ね?それならいいでしょう?」
向かい合って座っていた彼女が華音の前まで歩み寄ってくる。
「……砂姫…さん?」
「彼とのキスがどんなのか…教えてよ、華音さん」
「……っい、や―――…!!」
彼女の顔がぐんっと近づいてきて、思わず手が出てしまった。
「…あ…っ」
同性から迫られた事に嫌悪を感じたわけでもなかった。
ただ、芳幸以外の人に唇に触れられる事を…気持ちを許す事が出来なかった。
赤い頬を抑えて俯く彼女へと伸ばしかけた華音の手は、彼女に触れる事はなかった。
彼女は肩を震わせ、わっとその場にしゃがみ込む。
「ごめんなさい…っ。ごめんなさい…!華音さん、謝るから私を許して…っ。華音さんにまで嫌われたら…私…!!」
「嫌い…とかじゃない、から…。その…そういう行為は…やっぱり芳幸さんにしか…許せなくて……びっくり…して…」
泣きじゃくって許しを乞うてくる彼女にはやはり触れられない。
彼女へと真剣な想いというものが向かないままに容易に触れてはいけない気がしたのだ。
何だろうか…このちぐはぐさは。
彼女は芳幸の事を本気で好いているのかとも思ったが、違う部分もある気がしてならない。
それでなければ、こんなにも華音にも迫ってくる事があるのだろうか…?
何も出来ずに、ただただ彼女の様子を見守る時間がしばらく続いた。
そんな中、不意に誰かが階段を駆け上がってくる足音がした。
ノックもなしに部屋の扉が開かれ、息を切らした芳幸が入ってくる。
「…芳幸…さ…」
「華音」
一旦呼吸を落ち着けると、芳幸は華音の名を呼び、華音の事を見つめる。
そうしてから、やがて、静かに口を開いた。
「来い、華音」
こっちへ、と、芳幸の指先が芳幸の後方を指し示す。
「……でも……」
ちら…と横目で彼女の様子を窺うと、紡ぐ言葉はなくなったものの、泣きじゃくっている様子は続いていた。
「いいから来い、華音」
華音がそっと離れかけても、彼女は反応しなかった。
ゆっくりゆっくり…彼女の様子を気に掛けながらも、芳幸の方へ移動する。
すぐ傍までいったところで、ぐいっと手を引かれ、芳幸の背中側へと身体を押しやられる。
「…華音、愛している。俺のその想いを信じていて欲しい…」
その言葉と共に更に身体を押されて、部屋の中に彼女と芳幸を残したまま、扉を閉められた。
「…芳幸…さんっ?芳幸さん…!」
内鍵をかけたのか、ノブを回しながら扉を押しても扉は開かない。
「華音…」
「…っお母さん…っ」
「私が呼んだの。あなたたちの様子が途中からおかしいと思ったから」
「……せっかく…色々用意してくれたのに…ごめんなさい…」
「私も大人げなくはしゃいでしまったわ…ごめんね」
華音と母親は、どちらからともなく扉の方へと視線を向けた。
**§**
華音を部屋から出した事に気づいているのか否か。
その場から動こうともしない少女に、声を掛ける。
「悪いのだが…勝手に君の事を調べさせてもらったのだ。華音との関係が良好なら下手に世話を焼くつもりもなかった。だが、いささか華音の様子の変化が見過ごせなくて、依頼でもなんでもないのに探ってしまった…すまない」
芳幸の声音にか言葉にか…少女の肩がビクっと大きく揺れ、ようやく何かしらの反応を見せる様子があった。
「……君、オイラには何の気持ちもないだろう。なのに何故、事務所の様子を窺いにくる事をしたのだ。華音とだけの関わり合いを持っていれば、もっと普通に関係を続ける事も出来たろうに」
「あなたの事を好きなんだって…自分でも勘違いしていたんです…。華音さんにそんな顔して欲しくないのにっていう自分の気持ちに気づきながらも…私の本当の気持ちを知られる事の方が怖くて…あなたを好きな私を演じ続けたんです…」
「それが華音を苦しめる事になっても、か?」
「だって…!普通はこんな気持ち、受け入れられないでしょう?!普通じゃだめなら、少し遠回りしてでも華音さんの気持ちを私に向けられるならって必死だった…!
華音さんは、私に優しくしてくれた…っ。初めての人なの…!あんなふうに優しく笑って手を差し伸べてくれた人なんて…初めて…っ」
途中から立ち上がり、芳幸の方を振り向き、自分の思いを芳幸にぶつけてきた少女。
だが、芳幸の視線は、振り向いた少女の頬に引きつけられた。
「…何をしたのだ…。華音が手を上げるなんてよっぽどの事だろう…!」
「あなたへの気持ちが大切だからじゃない…!責めないでよ…!私だって傷ついて――」
自分は最低だ、と思う。
感情を押し込めるよりもとにかく、何よりも華音への自分の想いを優先して身体を動かしたのだから。
少女の腕を掴み、怯える様子の少女には構わず、少女の近くへと一息に踏み込む。
瞬間、予想していた通りに左頬に少女の平手打ちが飛んできた。
肩で息をして、必死の抵抗をする少女を見下ろし、言葉を放つ。
「華音の気持ちが分かったか…?」
「……ッ…!」
はっと息を呑み、芳幸の顔を見、少女自身の掌を見つめ……少女の瞳は虚ろなものになった。
少女から離れて扉の方に戻る芳幸の後を、一定の距離を空けてついてくる少女の気配があった。
かけていた鍵を開け、廊下へと出ると、華音が待っていたかのように駆け寄ってくる。
同時に芳幸の頬の状態に気付いたのか、泣きそうな顔になった。
「…男性を嫌悪している彼女に、俺が華音の気持ちを分からせようとわざと迫る振りをしたのがいけないのだ」
「………帰ります……。…華音さん……ごめんなさい…」
芳幸の後方からさっと抜け、ふらっと心許なく階段の方に向かう少女の方へと華音の視線が移り、芳幸から離れた華音は、今度は少女の方へと駆け寄る。
そして―――…。
少女の身体を後方から抱きしめた。
「芳幸さんと出逢う前だったら……もしかしたら、砂姫さんの想いを受け入れていたかもしれないし、そうじゃなかったかもしれない…。芳幸さんの事を好きな今の私に、砂姫さんと同じ想いは返せないけど…。
それでも、こんな私を頼って甘えてくれてありがとう。すごくすごく嬉しかったよ…砂姫」
「……傷つけたのに……っ…何で……っ。……一度だけ…特別な呼び方で呼んでもいいですか…?」
「うん」
「…お姉ちゃん……ありがとう…元気でね…」
少女の方から華音の腕を解く。
ぺこり…と、芳幸と華音の母親の方に向けて一度だけ深くお辞儀をしてから、少女は芹沢家を後にしていった。
――パタン…。
玄関の扉を閉める音が静かに響くのを待ち、華音が再び芳幸の方へ戻ってくる。
そっと芳幸の両頬を掌で包みながら、華音は芳幸に尋ねる。
「触れ合っていないって…信じていていいですか?」
「あぁ」
「私なら…いいですか?」
「君にしか許せない」
「私も…芳幸さんにしか許したくないです」
母親の前で申し訳ないと思いつつも。
触れようとしてくる華音の唇を拒む事など出来なくて…。
素直に嬉しいと感じる華音からの想いを、己の唇で受け取った。
**§**
学校帰りに喫茶店を通りがかる癖が抜けきらない。
月曜日と木曜日は特に、彼女と過ごしていたテラス席に目が行きがちになってしまう。
彼女は―――…。
テラス席に一人でぽつんと座っていた。
相手が居ない事を紛らわすかのように、読書を大抵している。
(気持ちに応えられないのに……気になってつい来ちゃう…)
甘い考えだな、と、自嘲気味にため息を一つ吐く。
「……華音お姉ちゃん……会いたい、な…」
読書に集中していたと思った彼女の唇から不意にそんな言葉が零れ落ち、頬には涙が伝った。
自分を求める彼女の姿に、最初で最後となってしまった自宅に招いた時のように、抱きしめてあげたい気持ちに駆られる。
優しくしても、彼女と華音の想いが一点で交わらない以上、苦しい思いは生まれてしまう。
それを言い聞かせるように胸の内に戒めて、華音は足を動かす為に一歩後ろへと退く。
「…大好きよ、砂姫」
華音が送れる、精一杯の気持ちをその場に残して、喫茶店の傍から離れた。
――大好きよ、砂姫。
聞きたかった声が耳に響いたような気がして、はっと顔を上げる。
喫茶店のテラス席から見える歩道に佇む木の陰に、真っ直ぐな黒い髪が靡くのがちらついた。
大好きな大好きな、その黒髪の持ち主には…。
既に想い合っている人がいた。
家庭事情から、男性に嫌悪感を持つ自分にとっては、とても遠い世界の事のような、でも“普通に恋愛が出来る”憧れのようなものもあるような、そんな感覚を抱いた。
恋焦がれた彼女を通して…。
初めて彼女の姿を見た時、なんて綺麗な人なんだろうって思った。
凛とした立ち居振る舞いに、時折何処か影の在る表情も浮かべる事もあって…。
一度目にしてしまったら目が離せなかった。
彼女に引き寄せられるように、後姿を遠くから追って、辿り着いたのは、“朱雀探偵事務所”と書かれた木製の看板が掲げられる、建物。
ガラス張りで作られている壁から、中の様子が少しだけ見えた。
そこには男性がいっぱいいた。
衝撃的で…でも、一人の人の前で特によく笑う横顔は、やっぱりとても綺麗だった。
私の前でも、ああやって笑ってくれないかな?
どうやったら仲良くなれる?
そんな事ばかり考えるようになって。
“あの人を知ったら…あの人の話をしたら、自分とも話をしてくれる?”
自分の中で答えが出たと思ったら、その後はもう必死になった。
話を共有する為に“彼”の情報を集めて、準備を整えてようやく彼女に声を掛けた。
『…私と…っ…お茶、してくれませんか…っ?』
突然の事にも関わらず、彼女は私を綺麗な微笑みで受け入れてくれた。
そういう風に私の事を優しく受け入れてくれる人なんて初めてで。
嬉しくて舞い上がって、“彼”の事はすっかり頭から消えてしまっていて。
でも話の流れで“彼”の話になったのをきっかけに、さり気なく知っている事を話しに織り交ぜた。
密かに用意していた写真も使って、“彼に向けるあの笑顔”を引き出そうとした。
…けれど。
彼女の笑顔は翳りを見せる一方だった。
どうして?
何で悲しそうな顔をするの?
そんな顔じゃなくて…一番綺麗で素敵なあの笑顔を私にも見せてよ…!
意地になった私は、“彼”の事をもっと探った。
私の情報に何か間違いがあるの?
私が嘘を言っていると思われている?
そんな事ない…私はちゃんと彼の事を見て……。
――じっくり観察しているうちに、ふと混乱した。
彼にも時折、彼女と似た笑顔が浮かぶ事に気が付いたから。
…私は恋なんて出来ないって思っていたけど。
彼女とよく似た笑顔を浮かべる彼の事ならば…。
もしかすると好きになれるんじゃあ―――…。
そうやって途中で彼の事に興味も沸いたけど…。
やっぱりだめだった。
結局、自分の想いが辿り着くのは“彼女”だった。
これまでとは何か違う関わり方が欲しくて。
断られるのも覚悟で“家にお邪魔しても良いか”とお願いした。
意外にもあっさりとOKをもらえて、気持ちも浮かれていたかも。
こんな機会は最初で最後かもしれないと、ここぞとばかりに彼女へと踏み込んでみた。
――…でも、そうして得たものは喪失感に過ぎなかった。
「私も…大好きだよ、華音お姉ちゃん」
私たちの“想い”が交わる事はない。
一番大きく得たものは喪失感でもあったけれど、彼女の優しさと、私を可愛がってくれる彼女の思いはちゃんと伝わってきた。
妹として。
生きる事ならば許されるだろうか。
“本当の姉”ではなく、“理想の姉”を慕う妹としてならば…。
私の存在は許されますか…?
私の“本当の姉”は…。
血が繋がっていて家族のはずの姉は―――…。
兄や両親と共に私の存在を疎ましく思っているから。
それでも。
私は、あなたが存在しているこの地上で。
あなたの存在を生き甲斐に、まだ頑張ってみようと思う。
ね?きっと何処かで見ててくれるよね、華音お姉ちゃん
―おわり―
**§****§****§**
このお話で一番書きたかったのは…
芹沢嬢本人も言っているように“(芹沢嬢に)頼って甘えてくれてくれる存在”でしょうか。
あとは、命令口調の井宿――こと、芳幸さんも盛り込めて尚良かった♪ということで…!
それにしても…。
今回の芳幸さん、なかなかに踏み入りましたね。
まぁ、制裁は食らっているので、それぞれにお互い様…になる、かな……?(汗)