潜む闇は、目ざとく住処を見つける。
人の無意識下にも目をつけ、付け入る隙を狙っているのかもしれない。
そんな風に何処かしらで蔓延る闇の存在がある限り、彼〔か〕の世界の扉は開く―――…。
**§**
「…この古い本…芳幸さんの、かな…?」
その日の昼下がりに目に留まった一つの本は、あまりにも印象的過ぎて…。
それまで目にする事がなかったのが不思議なくらいに感じた。
畳部屋に在るローテーブル下に放り忘れられたようにして存在する本を手に取る。
「…四神…天地、書?」
耳にした事があるようなないようなタイトルを指でなぞり、何とはなしに開いた。
その瞬間だった。
ブワッ…と黒色の細長い影のようなものが立ち昇り、
華音の身体に纏わりつく。
《お前が力の源…寄越せ、その力を!》
「……っ?!」
首元に伸びる影は、圧力をかけて強く絡みついてきた。
――
華音が四神天地書を開いた頃と同時刻。
「…美朱?こんな時間に珍しいじゃん。あれ?光は…」
「お兄ちゃんに…見てもらってる…」
「美朱?」
「変、だよね…。なんか急に魏や皆の顔見たくなっちゃうなんて…。ここに来ればすぐに会える、のに…。なんだろう、不安で仕方ないの…。胸騒ぎがしてるみたいで」
「美――」
ピルルルル。
宿南美朱は不意に音を発する、高校の卒業祝いに兄に買ってもらった携帯電話を手に取った。
「もしも――」
『……美、朱っ…ちゃ…っ!助、け…てっ』
「
華音、ちゃん!?」
『…芳…幸さん、の……大切な、も…の…奪われちゃ……っっ』
途切れ途切れの言葉と共に、シャン…と小さな金属音が響く。
「…井宿の…錫杖の音…っ!?
華音ちゃん、今何処にいるのっ?井宿のマンションに居るよねっ?!」
『……や、めてっ……や…め…っ…――』
「
華音ちゃんっ!」
『《…朱雀の巫女か…どこにいる?》』
「…あんた…
華音ちゃんに何したの…?」
『《お前たちの力が邪魔だからな》』
「
華音ちゃんは関係ない。朱雀の巫女はあたしだ…逃げも隠れもしないからそっちも堂々と出てきなさいよ!!」
――ドサッ。
「…
華音!」
「……ぅっ、ケホっ…」
錫杖を腕に抱いて朱色の光に包み込まれた
華音の身体が、事務所の一角に現れた。
《…何処までも働く忌々しい光の力…。だが我まで誘ってくれた事に礼を言うべきか…》
「四神天地書…!どうして
華音ちゃんが…っ」
電話越しに聞こえていた声が目の前で紡がれていくのを耳にしながら、美朱は携帯を持つ手を耳元から離し、宙に浮くその存在と芳幸の腕に抱かれる
華音とを交互に見つめる。
《その娘から闇の気配を感じたからだ。だが、蓋を開けてみれば朱雀の力が煩わしい程に纏わりついているではないか。久々の餌でもあったというのに…食らいそびれた》
「
華音ちゃんに闇なんて…っ」
「……この娘の生命力と精神力の脆弱さに付け入りでもしたか。それが闇の気配だとでも?」
「…井宿…」
《お前たちがどの世界にいようと朱雀の力を主とした光が蔓延し、その光の流れが全てを繋いでいる。我らの闇の勢力がどれ程窮屈な事か…。少しの闇があれば、それを我がものにしない手はない》
「…
華音ちゃんは…弱くなんかない……あんたたちみたいな存在に好き勝手されるほど弱くないんだから…っ!!」
「美朱」
「お前は下がっとれ」
美朱の前に魏と翼が進み出る。
「で?俺らと戦うのか?それとも
華音を諦めて逃げとくか?今ならまだ選ばせてやる」
「久々に腕がなるやないかぁ」
「…鬼宿さん、翼宿さん、待って下さい!」
「張宿?」
「闇の存在だというあなたは、何故わざわざその本を通して僕たちと対峙しているのでしょう?力が弱いからですか?それとも…他に何か理由が…」
《ほう?懸命な判断ではないか。そこまで勘づいているならば教えてやってもいい。我をこの本ごと消し去っても良いが、お前たちの根源ともなるこれを失えば、巫女以外のお前たちは消えるだろう》
「……っ…!」
胸騒ぎが意味をしていたものはこの事実に繋がるのだという事を察した美朱は、くっと唇を噛み締めた。
**§**
――…
華音ちゃんは…弱くなんかない……あんたたちみたいな存在に好き勝手されるほど弱くないんだから…っ!!――
――我をこの本ごと消し去っても良いが、お前たちの根源ともなるこれを失えば、巫女以外のお前たちは消えるだろう」
首元を締め付けられる苦しみから解放され、少しの間朧気だった
華音の意識は、聞こえてきたその言葉たちに反応して覚醒する。
「……私が…本を…開いた、から…?」
「
華音……違うのだ。おそらくあちらが勝手に…君の存在を求めて現れたのだ」
「芳幸…さん。でも…どうにかしないと…ですよね?」
「
華音?」
包まれる温もりの中、
華音は少しだけ身体を動かし、芳幸の耳元へ唇を寄せた。
「――…
華音、本気で言っているのか、その考えを」
「はい…」
耳元を通して口にした言葉を聞いた芳幸の表情は、心なしか怒りの感情も伴っているかのように顰められる。
「私…とても我がままなんです…。それを…芳幸さんは叶えてくれますか…?」
「………君は…ずるいのだね…。そんな風に頼まれたら…意地でも叶えるしかないのだ…」
「ありがとうございます」
微笑みを浮かべると、芳幸の腕の力が弱められた。
「…軫宿…張宿…柳宿…星宿様…」
低音で小さく紡がれていく名前たちを耳にしながら、手の内にあったそれを携えたまま芳幸から離れて歩き出す。
「美朱ちゃん…」
「
華音ちゃ――…え?…井宿、それで納得した…の?」
芳幸にも伝えた言葉から、少し変えた言葉で美朱へと耳打ちした
華音を、驚きと戸惑いの表情で見つめてくる。
それにはやはり、笑んで答えた。
「…
華音?」
「おい、何する気や
華音」
魏と翼には声を掛けずに二人の横を通り過ぎ、宙に浮かぶ本を見据えて口を開く。
「…芳幸さんたちが消えずに済むのなら…私一人で大丈夫です。でも…どうしても怖さはあるので…芳幸さんの大切な“これ”と一緒にお願いしたいです」
「
華音、何言ってんだお前っ!!」
「
華音も…井宿も…お前ら阿保かぁっ!何考えとんねんっっ。自分らの事も考えぃッッ!!」
「……
華音。最後に一つ聞いてもいいか?」
「…はい?」
絞り出すようにして紡がれた声が、魏と翼が
華音へと伸ばしかけた手の動きを止めた。
華音は振り返る事もせず、言葉だけでその声に応える。
「俺を…愛しているか?」
「はい、大好きです、芳幸さん」
「…信じていていいんだな?」
「はい、挙式で誓った時の想いそのままです」
「…分かった…」
「――やめぃ、
華音っ。井宿が許しても俺は許さへんぞっっ!」
《最初からそうしていればいいものを…手こずらせてくれる》
華音の足が更に前へ数歩踏み出すのを見届けてから、マンションの部屋で本を開いた時と同じく、闇の存在は
華音の身体を錫杖と共に絡め取った。
ぎゅっ…と、力の限りに錫杖を抱き込む。
「…芳幸さんを…愛しているから……私は…っ」
――…芳幸さん、私が囮になります。でもそんな事、簡単にはきっと許してもらえないと思うから…。だから、約束します。芳幸さんが全力で私を護ろうとしてくれる限り、私は私の命を諦めません。
どんなに苦しくても絶対に…芳幸さんの所へ戻ってきます。私は芳幸さんや皆さんと居たい、ですから……美朱ちゃんも…そうでしょ?――
「……我がままでもっ…ぅ…っ」
《…そうだ、これだ。この力、余すことなく存分に食らい尽くしてやろう》
闇の存在が一層より濃く、
華音を覆い込んでいく。
「――今だ!気を二つに分かて…!!」
四神天地書から闇の存在が完全に離れて
華音を襲う、一瞬の時だった。
賁絽から指示が飛ぶ。
《な…にっ!?》
錫杖を通じて
華音の身に与えられる、護る為の芳幸、寿一、素煇、美朱の気。
闇を消し去ろうと攻め込む、魏、翼、賁絽、花娟の気。
相反する二つの気は、寸分の時を違える事なく同時に揺らめき立つ。
《…ここまで…強大な力……この娘に…耐えられるはず、がっ…》
「…芳幸さんの愛なら…どんなものでも…耐えられます…」
《……くっ…我…だけ……消され……っ―――!!》
気は一つの眩い朱色の光となり、闇の存在と
華音とを呑み込んだ。
**§**
「…無茶、やろ……こないな事、無茶苦茶や…ッ」
芳幸の腕の中で肩呼吸を繰り返す
華音を見下ろし、翼がそう吐き捨てるように言葉を漏らした。
「いつも無茶苦茶な事してるあんたがそれ言う?」
「せやかて…俺とたまの身にもなってみぃ!!美朱にこそーっと教えてもらうまでマジのマジやと思うとったで…!張ったり入っとるなんぞ誰も思わんて…!」
「…
華音、演技上手いよな…すっかり騙されちまった…」
「………今だから言えます、けど…。…私一人でって言葉は…嘘でもなかったです…。過去に…そう思っていた事もありますし……」
「…
華音」
「でも今は…一人じゃないから…。…芳幸さんを信じて…我がまま…言ってみました…。……――このまま…眠ってもいいですか…?身体が…いうこと…きかなくて……」
「ゆっくりお休み」
「……芳幸さんの…これ……あったかくて……落ち着…く……」
ずっと腕に抱える錫杖に頬を寄せて、息遣いが多少荒いながらも
華音は穏やかな眠りにつく。
「…それにしても、
華音は一体何処から井宿の錫杖を手にしたのか…」
「無意識に…井宿の力を求めたんじゃないかな、
華音ちゃん…。危険を感じて“朱雀七星士の井宿に”助けを求めたんだよ、きっと」
「それが錫杖として
華音さんの元に現れた、といったところでしょうか?」
「うん。…井宿の為に
華音ちゃん自身の事を護って、魏たち皆の事も護ってくれた。
華音ちゃんはやっぱり弱くなんてないよ」
「…井宿。お前も
華音と一緒にあっちで休んでこい」
賁絽、美朱、素煇の三人からそれぞれの思う事が語られる傍ら、寿一が芳幸の肩に手を置き、静かにそう促す。
「ありがとうなのだ…。皆が居なかったら、オイラ一人では
華音を護りきる事は出来なかった」
華音を腕に抱き、芳幸は皆に背を向けた。
「…井宿、わずかな時間でよく思い切ったよな…」
「
華音本人に頼まれちゃったらねぇ?思い切るしかないでしょうよ」
「……
華音ちゃんを失っちゃうかもしれないって…少しでも思ったりした、のかな…」
「…気を送る為に印を結んでいた手は…微かに震えていたな…」
「……
華音も…足元震えとった…」
「怖くても…お互いの想いを信じ合ったんですね、
華音さんも井宿さんも」
「…だからこそ、闇に勝てたんだ」
美朱もまた、その場に居る仲間たちと思いを語り合う中、事務所の片隅に落ちた四神天地書をそっと抱きしめた。
**§**
華音はちゃんと目の前に居るというのに、芳幸の身体の震えはまだ止まっていなかった。
華音が囮を担うからと自ら提案を掲げた時。
その案を、芳幸の口から仲間へ共有する時。
提案を口にする事さえも怖くて仕方がなかった。
だから確認せずには居られなかった。
自分を愛してくれているか、
華音を信じていいのか、と。
自分自身の存在に不安な気持ちを大きく抱えている彼女だからこそ、ふとした拍子に芳幸の手が届かぬ場所へ自ら行くことを望むのではないかと、
不安を拭いきれなかった。
「……
華音…っ…」
大分穏やかな呼吸を繰り返すようになった
華音の頬を撫でる。
掌に伝わる温もりに…唇から絶えず漏れる吐息に漸く安堵出来る気持ちが生まれた。
同時に、芳幸の瞳から涙が滑り落ち、己と対の結婚指輪を嵌める
華音の左薬指が添えられている錫杖の柄の部分へと、雫がその身を宿すと、錫杖が淡い朱色の光を放つ。
「……芳…幸…さ……」
大事に抱え込んでいたものが消えゆく感覚に意識が集中したのか、薄らと
華音の瞳が開かれる。
「…泣いて…いるんですか…?」
「…信じたくても…不安で仕方なかった…」
芳幸の頬にも添えられる
華音の温もりに身を委ねるように瞳を閉じる。
「…我がまま聞いてくれて…ありがとう…。…それと…ごめんなさい……不安にさせてしまって…」
「……
華音の温もりを…もう少し感じていてもいいのだ…?」
「…はい」
頷く
華音は、芳幸の頭を自身の腹部上部辺りへと引き寄せ、錫杖の代わりと言わんばかりに抱き込んだ。
「…不安にさせてしまった…お詫びです…」
「…たまにはいいのだ…こういう形も…」
涙は乾ききらないながらも、ふ…と笑む。
「…井宿ー?あんたはそろそろ戻――」
――ってきなさいよ、というお小言の言葉尻は、花娟の口の中へ押し戻る。
「…ったく。どっちが年上なんだか…」
溜め息混じりの言葉とは裏腹に、
華音と芳幸の身体に薄手のタオルケットを掛ける花娟の手つきは優しかった。
「お疲れ様、井宿」
ポンポン…。
まるでお気に入りのおもちゃを誰かに取られまいとする子どもの如く、
華音へ必死にしがみつく様に抱きつく芳幸の頭を撫でやる花娟。
二人から離れる間際に垣間見えてしまった、薄く赤みを帯びた芳幸の目元。
そんな光景を忘れまいと、密かに胸に刻む花娟はふわりと微笑む。
再び事務所へ一人で戻ってきた花娟を見やる視線たち。
それには首を横に振って答える。
「…まだ当分戻ってこないわ、あれじゃあ」
「じゃあ、あたしはそろそろ光を迎えに行って一緒におやつでも食べようかな。ひと頑張りしたらお腹空いちゃった~!」
「今回、あんたは気苦労しただけだけどねぇ?」
「そうだね、だって――」
「「これは井宿の愛の物語だから」」
「…ね?太一君」
意見がかち合った花娟と顔を見合わせた後、朱雀の巫女――宿南美朱は、事務所の外に広がる空を仰いだ。
――是は、朱雀七星士井宿が一心に愛する者への愛を護る物語である。
愛は結界となりて、愛しき者を闇より救う。
井宿を愛する者もまた、愛を以って闇を制す。
役目を終えし錫杖、四神天地の書、巫女の世界より消え失せて、在るべき処へ還らん――
「なーにが、“ね、太一君”じゃ。鬼宿ならず、他の朱雀七星士も全員そちらへ連れて行きおって」
光を伴って現れる書物と錫杖を手にした老婆は一人、呟く。
「まぁ、これもあやつらの存在が許されている限り一つの物語じゃな。見事に闇の力も消失させたし、良しとしてやろう」
大きな鏡の前から立ち去ろうとしていた老婆だったが、鏡に映り込んだ光景を改めて確認するように振り返った。
「…強くなったもんじゃの、井宿。いや、“沢井芳幸”か」
世界が何処から何処まででも繋がっている証がそこにあるかのように―――…
不意に名を呼ばれたような気がした芳幸は、眠りから覚める。
「……今のは…」
「…ん……ぅー…ぅん…」
「…
華音?」
頭上から降り落ちてくる声が、可愛らしさも残るある種の呻きに捉えられて、己の身体を起こしてから彼女の身体を軽く揺する。
「…ーんぅぅ?……芳幸…さん…?」
「悪い夢でも見たのだ?」
「…夢…。夢?…どうしてこんなにもやもやするの…」
ひと眠りして身体の調子も戻ったのか、元気そうな様子はあるものの…。
ただ、芳幸でさえもまだ見た事のない不機嫌そうな
華音の表情に心配になる。
「…どうしたのだ?」
「……芳幸さんの大切な錫杖…。しわしわのお婆さんが手に持って、何だか得意そうにこっちを見て笑ってたの。…夢でもなんか気分良くない…」
「…………」
「…芳幸さん?」
「…っっ…っく……くくっ…」
あぁ、敵わないなと思った。
“あの方”は、本当に全てを見ておられるのだと。
それに、だ。
芳幸とタイミングを同じくして
華音もまた、彼〔か〕の者の存在を感じ取ったというのも妙な話で…。
可笑しくて…でもあの方らしいとも思いながら、文字の通り、腹を抱えて笑う。
「……星宿…様に…っ…」
「……?」
「賁絽所長に…
華音の夢の話をすれば、きっと同情して怒ってくれるのだ…」
「賁絽さん、ですか?」
芳幸が笑う事で呆気に取られでもしたのか、普段の表情になっている
華音に頷いてみせる。
「……芳幸さん…」
芳幸の笑いにも無事に収拾がついた頃合いで、
華音にその名を呼ばれた。
「…好きです、大好きです」
いきなりの彼女からのストレートな告白に面食らうも、まだ続きがありそうな
華音の言葉を待つ。
「悲しそうな姿は出来れば見たくはないですけど…。笑っている芳幸さんはもちろん、涙する芳幸さんも、怒っている芳幸さんも…芳幸さんの全部を愛してます」
恥じらいをも捨てて、全身全霊で言葉をぶつけてくる彼女が、堪らなく愛しく感じられた。
だから。
芳幸も…。
華音が傍に居てくれる幸せを噛み締めて、答える。
「嬉しいのだ。俺も愛してる、
華音」
互いに互いへの愛を伝え、互いの存在を抱きしめて―――…。
「…皆の所へ行くのだ?」
「はいっ」
喜びの笑みを浮かべる彼女の手を取り、仲間の元へと歩き出す。
…ふわり…。
芳幸の手によって丁寧に畳まれて元の場所へ納まった、花娟が二人にかけたタオルケットの上に。
何処からともなく現れ、鮮やかに朱く色付く一枚のその羽根が軽やかに舞い降りた。
芳幸と
華音の姿が廊下へと消えていくと、朱色の羽根もまた、キラキラっと輝きを放ちながら消えていった。
―おわり―
**§****§**
↓おまけ話&さらりとあとがき↓
◆シーン的に話の中で入れきれなかった、「夢の話を賁絽所長にするとこうなる」件◆
(ふしぎ悪戯的なノリでどうぞ)
「――というような夢を見たんですけど…」
「あの者…あんなに酷く醜い顔で
華音の事を見下し嘲笑うとは…井宿が許しても私が許さない…!!」
「…芳幸さんが言った通り…大分本気で怒って下さるんですね」
「醜いものには容赦ないから、星宿様」
「……星宿様、俺の台詞、取らんといてくれます?」
「オイラ…ネタにされているのだ?」
「井宿が許しても俺は許さない」
「井宿さんが許しても僕が許しません」
「っへぇ~、やっぱそれぞれ微妙に台詞の言い回しが違ってくんのな~」
◆◆おまけおわり◆◆
**§****§****§**
◇~あとがき~◇
書き出した当初は、またこんながっつりと書くつもりはなかったのに…。
井宿さんの弱さ(?)も引き出したくて。
最後の方が伸びに伸びてこうなりました。
さて、そんなこんなで管理人。
この舞台で書くのがどうしても楽しくて、見切りをつけられず…
ネタがあれば番外編もどんどん書きたいくらいです。
事件簿関連ネタはとりあえずあそこの書庫にでも置こうかと←
結局、この特別編であっちの世界とリンクさせた事で、
場面転換が妙に多いお話となりましたが…
このお話にもお付き合い下さった方、ありがとうございました!