【番外編短篇集】
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おはなし箱内全共通のお名前変換「夢語ノ森」では基本、おはなしの中で主人公の娘っこの性格や年齢を書き綴っていく形にしていますが、特別設定がある場合もございます。
そういったおはなしでは説明頁の設置や特記事項がありますので、ご参考までにどうぞ。
当森メインの夢創作を楽しめますよう、先ずは是非、井宿さんにお名前を教えていって下さいませ
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沢井 芳幸、31歳。
朱雀探偵事務所に勤務しておおよそ五年。
28の時に婚約した彼女と目出度くゴールインし、甘い新婚生活を満喫中。
――のはずなのだが…。
「芳幸さん。私、今日は家に行ってこようと思って。書き始めた絵本も進めたいし…。夕方までには戻ってきます」
「部屋数が少なくてすまないのだ」
「専用の置き場所を作ってもらうのは申し訳なくて引っ越さなくていいって望んだのは私だからいいんです。それに、ちょくちょく家に帰った方がお父さんもお母さんも私が元気でいるって分かって安心するみたい」
「そういえば、挙式を終えてからは二人揃って行っていないのだね。オイラもそろそろ芹沢家に顔を出した方がいいのだ?」
「芳幸さんが来てくれたら、きっとお父さんもお母さんも喜びます。お父さんに近い内に都合のいい日があるかどうかも聞いてみる」
「芹沢社長も相変わらず忙しくしているのだ」
「…芳幸さん…。結婚してから私の前でも父に“お父さん”っていう言葉を使わなくなりましたよね…?」
慣れ親しんでいるマンションの部屋の玄関先。
靴を履き終えた芳幸をじっと見つめて、己の妻となった彼女は言葉を続けた。
「もしかして…照れて…ます?」
――たとえばこんな時。
己の中に在る“黒い感情”というものが蠢き始める。
優しいだけではいられない、悪魔的な部分が。
「華音には負けるのだ?」
「…え?」
その感情に突き動かされて彼女へ口付けを送り、最後に一度だけ啄ばむ様にその唇を奪ってから離れた。
少しの間を空けてからみるみる内に顔や耳が真っ赤に染まっていく。
「よ、芳幸さんっ…!」
恥じらいからか、自分の方に突き出すようにして差し出された仕事用の鞄を受け取り、微笑む。
「行ってくるのだ」
「……――いってらっしゃい…」
振り向き様に紡いだ言葉には、扉が閉まる直前に小さく小さく言葉が返された。
**§**
「こんにちはー」
「ちぃわぁー」
午後の二時に差しかかろうとしていた頃。
朱雀探偵事務所のガラス戸を小さい手と身体で一生懸命に押して入ってくる幼い子供と、すぐ後方で幼子に寄り添いながら入ってくる母親の姿が見られた。
「お~、光っ!どうしたっ?パパに会いにきてくれたのかぁ~?」
その姿たちを見るや否や、デスクを素早く離れて二人に駆け寄って行った魏が、開口一番に彼の息子である子供へと尋ねる。
それには、魏と美朱の二歳になった子供――光は首を横に振った。
「…パパ…じゃないんだよね、光?」
「のーたん!」
「「のーたん?」」
幼子から紡がれる誰かの名らしきその言葉に、花娟と翼が揃って首を傾げる。
「……えっと…ね?…井宿…、華音ちゃんって今の時間、マンションに居る…かな?」
「華音さんの事だったんですね」
「うん、何か最近になって覚えちゃったみたいで…」
「華音は今日は家に行くと言っていたのだ」
「そうなんだ。どうりで携帯が繋がらないはず…。光ー、今日は華音ちゃんいないって。また今度ね?」
「…のーたん…やーっ…のーたんっ!」
美朱が子供の視線に合わせて身を屈め、諭すように言い聞かせても光は首を横に振るばかりだった。
仕舞いには大きな瞳に涙をいっぱいに溜めて、今にも泣き出しそうな表情に変わっていく。
「光、ちょっとなら相手してやれるからパパと居ような?」
「やっ!パパ、やーっ。のーたん~っ!」
「…光~、パパが嫌なら翼宿兄ちゃんが遊んだるでー」
「やーぁッ…っふ…ぅ、ぅわぁーん…!」
「…翼宿…泣かせてどーすんの…」
「俺のせいかいっ」
「…翼宿のその怖い顔のせいなのだ…」
「何やとっ!?」
翼の三白眼が更につり上がる傍らで、光は美朱に縋り付き、ついに大声で泣き始めてしまった。
どうしたものか…と、このくらいの年頃は特に手が焼ける時期なのか、母親である美朱でさえも困惑の表情を浮かべている様子が窺えた、そんな時。
何とも絶妙なタイミングで唯一の救世主が現れる。
「…のーたぁん…っ」
何処か危なっかしい足取りながらも、真っ先に求めていた事務所の入り口に立つその存在へと駆け寄る光。
…何だろうか、このもやもやとしたすっきりしない気持ちは。
「光くん、来てたの?」
今ではもう用事のある時にしか事務所に訪れなくなった華音が、小さな身体を腕に抱き上げる。
「のーたんっ」
「…また大きくなったね、光くん」
「華音ちゃん、重かったら下ろしてくれていいからね」
「大丈夫。美朱ちゃんも毎日じゃ大変でしょ?」
「あははー…まぁ、ね」
「…のーたん…♪」
今までの機嫌の悪さは何処へやら…華音の腕の中ですっかり笑顔に変わってしまった二歳児の姿に、芳幸は面白くない気持ちを抱く。
そんな自分に向けてはぁ…と、小さく溜息を漏らした。
(…子供に妬いてどうするのだ…)
こんな時にも黒い感情がどろどろと渦を巻き、我ながら大人気ないと胸の内で自身を叱咤する。
しかし。
「まーま、パッパ…めーたんっ。のーたん、ひー、めーたんッ!」
「何か一生懸命主張してるけど…何て言ってんの、美朱?」
「……あー…っと…その…」
花娟が美朱へ通訳を求めるも、美朱は口篭るばかりで、仕舞いには芳幸の顔色を窺うかのように視線を投げかけてくる。
「のーたん、ひー、めーたん♪めーたん~」
「光っ、駄目だって言ったろ?華音は井宿の嫁さんだって…――あっ」
「た、魏…っ」
それだけ聞けば十分だった。
ガタンッ。
言葉の真相を理解し、大きく椅子から立ち上がる音を事務所内に響かせると共に、芳幸の中でも何かが壊れた音がした。
「…どっちがそんなませた言葉を教えたのだ。美朱ちゃんなのだ?それとも…鬼宿か?」
普段の穏やかな仮面が剥がれて、心に住む悪魔がひょっこりと顔を出す。
「か、勝手に覚えちまったんだって!」
「周りでそういう言葉が飛び交わなければ、覚える事もしないのだ?」
「…うっ」
「魏のバカっ。あれだけ井宿の前では口滑らせたら駄目って言ったのに…っ」
「俺だけかよっ、お前だって口篭ってただろっ?」
すたすたと足早に四人の――否、五人の元まで歩み寄り、華音の首元に抱きついている幼子を見下ろす。
「ひ、光、おいで?ママが抱っこしてあげるから、ねっ?」
「やーっ。のーたん、ひー、のっ!」
「光…。華音は、君の、ではないのだ。大人しくママのところへお戻り?」
さすがに子供への接し方が配慮出来なくなる程までに黒い感情に支配されているわけではない。
華音の腕の中に居座り続けている子供を芳幸が自分の腕へと抱き上げると、光は案外素直に芳幸にされるがままにしていた。
じーっと、光の瞳が芳幸の顔を食い入るように見つめる。
「…だ…?」〔※注:芳幸〕
「だっ…」〔※注:光〕
「だ…」
「だ、だー♪だぁっ!」
「真似されとるで…」
「でーっ…だ、だ、で、で!…っきゃーい♪」
「…翼宿もなのだ…?」
「華音やなくてもすっかりご機嫌やん」
芳幸の隣から翼が光に手を伸ばしても、今度は怖がる様子はなかった。
それどころか、口真似が面白くなったのか、芳幸と翼に交互に触れては光なりに楽しんでいるようだった。
「…あ、そういえば忘れないうちに。本当は魏さんから光くんに渡して貰おうと思って事務所に寄ったんですけど、光くんが居るなら――はい、どうぞ?光くん」
華音に差し出される一枚の画用紙を、光は一度見つめてから手に取り、それに視線を注ぎ続ける。
そうしていてしばらくしてから、声が上がった。
「まーま…?」
「光くんには分かるんだね。そう、その絵、私がイメージする光くんのママの絵」
「えっ?な、何描いたの?華音ちゃん…」
「……華音。君はこれを本当に想像力だけで描いたのだ…?」
「…何や見たことあるで、美朱のこないな格好…」
光が手にする絵を翼と二人でついまじまじと見つめてしまった。
花娟ではないが、本当に彼女の感性には驚かずにはいられない。
芳幸と翼の反応に興味を示したのか、賁絽をも伴って皆も光の手元を覗き込んでくる。
「…朱雀召喚の儀式の時の衣装が、こんなのじゃなかった?」
「僕はほんの少ししかお目にかかれませんでしたが、こんなような衣装だったと思います」
「あの時の美朱はとても巫女らしかった。そっくりではないか」
「……いえ、星宿様…反論するようで申し訳ありませんが、自分には少し美化されているように思います」
「そうなのだ、美朱ちゃんはここまで大人っぽくは……」
「せやなぁ、美人って感じやないもんなぁ」
「…軫宿、井宿、翼宿…っ、失礼ね、あなたたち!」
「まぁまぁ。美朱はいつでも可愛いって。俺が言うんだから間違いねぇよ」
皆が絵についての感想を語る中、芳幸の腕に抱かれていた光がもぞもぞと動き出す。
下に降りたいのだろうという事を予想して、そっと身体を下ろしてやると、たたっと絵を嬉しそうに小さな手に掲げながら美朱の方へと歩んでいった。
「まーま、まーまっ♪」
美朱と絵とを見やり、光は嬉しそうに笑む。
そんな自分の子供を抱き上げながら、美朱は華音の隣に立った。
「華音ちゃん、ありがとね。光、すっごく気に入ったみたい」
「のーたんっ、あーと!」
「ふふっ、どう致しまして。光くんはきっと…朱雀の巫女様と七星士様の宝なんだね。どの世界に居ても、七星士様の世界を護っている宝」
「…それって…光が紅南国の神座宝って事…?」
華音から紡がれた言葉に、美朱が答えを求めるように芳幸たちに視線を向ける。
だが、真実は誰にも分かるはずなく、皆で顔を見合わせた。
その中、華音だけが光の存在を微笑んで見つめ続ける姿に、誰からともなく、芳幸たちも仲間と微笑み合った。
**§**
「…芳幸さん…私たちの子供…欲しいって思いますか?」
今日という一日が、あと数時間で終わろうという時間帯。
ベットの中で芳幸に背を向けていた彼女は、不意にそうぽつりと呟いた。
「どうしたのだ?急に」
「光くんと触れ合ってる時の芳幸さん…楽しそうにしているから…子供、好きなのかなって…」
「光の存在は特別なのだ。苦境を乗り越えてきた魏と美朱がやっと辿り着いた、二人の“幸せのカタチ”だし。子供が好きかと聞かれたら、正直、自分でもよく分からないのだ」
何処か寂しそうにも見える華音の背中を、後ろからそっと抱きしめる。
華音は芳幸の左手と自身の左手とを重ね合わせながら、お互いの薬指に存在する結婚指輪を撫で、言葉を紡いだ。
「…私は…芳幸さんと二人だけでいいって思っています。……私…一つの命を産んで育てる自信ない、から…。美朱ちゃんを見ててそう思うんです…」
「この前…寿一に言われた。華音との子供を考えるなら、多方面からの心構えは必要だと。他の者より何かしらのリスクを背負う可能性は大きいと。そう言われて…ふと考えたのだ。
もし万が一、華音の命か子供の命かを選択しなければならない局面に立たされる事があったとしたら…俺はきっと選べない」
「…芳幸さん…」
ゆっくりとこちらへ身体の向きを変えた華音の額へ口付けてから、最初に答えを求められていた問いに、自分の思いをのせて答える。
「ずっと華音と二人でもいいのだ。華音が居てくれれば、オイラは多くを求めない」
「…芳幸さん……大好き、です。…大好き…芳幸さん」
「華音…オイラも――」
言いながら、横になりながら華音を抱きしめていた形から、素早く華音を仰向けにさせてそこに自分が覆い被さる体勢へと移り変わる。
――悪魔に成り代わるスイッチとは、どんな些細な事にでも反映されてしまうものらしい。
「大好きなのだよ?」
彼女の白い首筋へ唇で触れ、自分のものだという証を鮮やかに赤く散らす。
「よ、芳幸さん…?あ、あの?」
「華音だから教えてあげるのだ。オイラ、昼間、光に妬いていたのだが」
「いつもとちょっと雰囲気が違ったので、何となく…そうなのかなとは思っていましたけど…」
「分かっているのなら話は早い。さて、何をしてもらおうか」
「わ、分かりましたっ。十分ほど待っていて下さいっ!すぐに仕上げますっ」
「…華音?」
彼女に覆い被さっていたとはいえ、華音の自由を奪っていたわけでもない。
見下ろしていたはずの彼女の姿が、瞬く間にベット上から消えてリビングの方へと去っていく。
明かりを灯したのか、僅かに寝室にもその明かりが漏れてくる中、彼女に言われたとおりに芳幸はその場で待つ事にした。
――そうして待つ事、十数分。
寝室に戻ってくる際に、入り口で部屋内に電気を灯してから華音がおずおずと芳幸の処へ歩んでくる。
「わ、私がイメージする、七星士様としての芳幸さんです…。綺麗事ではないって頭では分かってはいるんですけど、戦っている所とか、どんなにかっこいいんだろうとか想像したら、こんな感じになってしまいましたっ」
どうぞ!と、朝方と同様に半ば突きつけるような勢いで差し出される一冊のスケッチブックを受け取り、華音が今仕上げたばかりの作品に目を落とす。
「……!」
言葉に…ならなかった。
彼女がイメージする己の“戦う場面”とやらは…。
あまりにも現実味を帯び過ぎていて。
思わず、涙が零れ落ちていった。
「…ごめんな…さい…。…私の勝手な想像で芳幸さんを傷つけてしまっ――」
「勿忘草の花を手向けてくれた時もそうだった…っ」
華音に手渡されたスケッチブックごと華音の身体を腕に抱いて、涙を流し続ける。
「悲しいわけじゃない…。君の中にも…俺の大切な人たちの存在が確かに在る事が嬉しいんだ…」
あちらの世界で、常に自分のものとして傍に在った“錫杖”。
彼女が描く絵の中でそれを向けている相手は、“彼”だった。
そっくりかといえば、似ていないと言えるだろう。
しかし、己だからこそ分かる、絵として描かれた大切な存在。
「…飛皋…香蘭…」
華音の前で初めて口にした、自分の中に存在する者たちの名。
彼女にはどう響くのだろう。
…不安を煽ってしまうだろうか?
「……芳幸さん…私も嬉しいって言ったら変ですか…?」
華音の手が芳幸の頬を包み、彼女もまた瞳から涙を溢しながら口を開く。
「初めて…口にしてくれました。芳幸さんの心の中の声を初めて、芳幸さんの口から聞く事が出来たような気がして…これが、ほんの僅かな一部分でも…凄く凄く嬉しいんです、私」
あぁ、所詮、自分も華音という存在にずっと甘えていたのだ。
言葉にしなくても、彼女なら何となくでも分かってくれると、安心してしまっていた。
原因が分からない悲しみほど、傍から見ていたらもどかしくて辛くて、とてつもなく苦しい事かもしれないのに。
彼女は弱くなどない。
自分よりも遥かに強く、芯の通った女性なのだと、此の瞬間に改めて気付かされたような気がした。
「華音…ありがとう。俺を支えてくれて。華音が支えてくれたから…今の俺が在る」
「いえ、芳幸さんだって私の事をいつもいつも支えてくれています。私なんて芳幸さんには到底及ばないかもしれないけど…でも、そう言ってもらえて嬉しいです」
「愛してる、華音。やっぱり、君と二人きりで居たいのだ、ずっと」
「私も芳幸さんの事…愛…しています。どれだけ皺くちゃのおばあちゃんになっても…嫌いにならないで下さいね?」
「君がおばあさんになっている頃には、オイラはもっと歳のいったおじいさんになっているのだ」
「…そういえば…そうでした」
くすくす…。
涙もいつの間にか乾いて、華音と二人で笑いあう。
ココロに住む悪魔は、顔を出すのもココロの中に戻っていくのも突然で。
でもそれは、全て彼女に繋がっているのだ。
あちらの世界のように、仮面はないけれど。
在りのままでいよう。
華音がそうしているように、芳幸もまた華音と一緒に、在りのままの自分で時を刻んでいく―――…。
**§**
「井宿…聞いた?」
「何の事なのだ?」
「華音が告白されたっていう話」
「……聞いていないのだ。いつ、何処で、誰にそのような事…」
「光が、最近、のーたん、しゅきーって。また言葉を覚えたみたいで、諦めてないみたいよ~?」
「…鬼宿…君、まさか美朱と二人で光の前で色々とやっているのではないのだ?」
「そんな事はある…あ、ないっ、断じてないです!だから、静かに怒るのやめてーっ、井宿様…!」
「教育上に悪い事この上ないのだ…」
今日もまた、黒色の感情を持ち合わせた悪魔は、悪戯に芳幸の心から出現する。
そんな感情と共に、己はささやかなささやかな悪戯をする。
仲間の目にどう見えているかは知らないが、こんなもの可愛いものだと思うのは自己満足だろうか。
沢井芳幸、31歳。
何だかんだで、こんな新婚生活を愉しんでいたりするのだ。
◇あとがき◇
コミカルタッチなのかシリアスなのか…よく分からない展開になりましたが、芳幸視点で語る、主人公や皆とのその後(唯ちゃんは出せませんでしたが)のエピソードはいかがでしたでしょうか?
読んでの通り、原作ふしぎ遊戯の外伝シリーズ「永光伝」の流れを無視していながらも、“光くん”はちゃっかり出しているという(笑)
二歳児となって登場させた美朱と魏の子供ですが、“二歳児”がどのような成長過程にあるのか…
管理人も未知の領域の為、リアルでの我が息子の成長過程から想像して光くんを書いてみました。
なので、二歳児の成長度合いが異なっていても、どうか目を瞑ってやってください…っ。
そして何気に、朱雀・青龍戦に関わっていないはずの主人公に“光=神座宝”だという事を語らせてますが、でも、それもあってか、本来の神座宝が意味するところとは、ちょっと解釈が違っていたりもします。
…さて。
沢井芳幸という人物ですが、井宿が仮面をしてにこにこ笑顔ならば、芳幸は素顔のままで優しく微笑んでいる事が多いという感じでしょうか。
でも、その心の内では実は何を考えているか分からない。
“優しい男の顔”こそが、沢井芳幸にとっての“仮面”なのかもしれません。
本編(出逢い編・事件編合わせて)では、主人公が学業に励んでいたという事もあり、一緒に居る時間が少なくとも主人公との関係をちゃんと築けていたわけですが、いざ、一緒になり(結婚し)、一度多くの時間を共有してしまってからは、抑えがきかなくなってしまった芳幸さんが、きっとこのお話の彼です(笑)
魏を“鬼宿”と、敢えて呼んでいるのも、芳幸のささやかな対抗心です。
主人公は、そんな想いさえも、芳幸に愛されている証拠だと感じているので、実は大して気にしていなかったりします。
ですが、事件編File1の―紅き炎のように―で、事件がどう解決されたのかは知らないながらも、芳幸のただならぬ“微笑”は少なからず知っているので、防衛心もちゃんと働きます。
必死にどうにか、有り余ってしまう芳幸の感情を治めようと行動するものの、芳幸にとって主人公の行動は“意外”過ぎて、芳幸の罪の意識さえも溶かしてしまう…
それが今回のお話の一場面ともなっている、主人公が“絵”に想いを込めるシーン。
そう考えると、どういうわけか…
管理人が書く主人公って、第六感的なものがずば抜けている娘っこばかりですね…。
何かこういうオーラがあった方が、井宿さんの心に寄り添いやすいような気がして…(←あくまで管理人の想像です!)
新たに更新を開始した長編もそんな感じの娘っこになると思いますが、少しでも違う“夢語ノ森”を、見出して頂けたらなと思います。
―管理人*響夜月華音―