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Vestige

世界が壊れる音がした。

そんな夢を見た。

…夢?

私の理想郷。

そう私の理想郷だ。

コワレテコワレテコワレテゆく。

崩され潰れる。

壁が剥がれるように。

貴方と過ごした毎日が剥がれる。

私は耳を塞いだ。

縋りが消えてゆく。

貴方も諦めた?

私が諦めたから?

「この手を…掴んで」

微かによぎる声。

貴方だ。

ユリと名付けた貴方。

でも弱々しい。

そう。貴方も私も心の奥底で諦めきれなかった。

私の理想郷を。

まだ信じて仕舞い込んで。

鎖で繋がれた理想郷。

「ねぇ、もういいかなって」

不意に言葉が漏れる。

溢れて涙に変わる。

貴方の泣き顔が見える。

見えてしまった。

「もう解放してもいいかなって。貴方も私も」

「いつしか世界が終わる。そしてユリ。君は独りになる」

愛してる。

私は理想郷を剥がした。

人も消えた。

不思議な雰囲気。

最後に私を包み込む。
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