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虎杖悠仁
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「いつか私が自分の事で困ってたら、その時には助けてくれる?」
「うん! そん時にはお姉さんの事、絶対助けに行くから待っててね!」
あまりにも悲しそうな顔をしてるから思いつきでした提案に虎杖は真面目な顔をして返した。それから十数年。毎日を時間外労働で忙しく過ごしていた彼女は、社長の息子だという男に執拗に付き纏われて参っていた。口を開けば口説き文句ばかり並べる男に、やり取りと仕事とで身体的にも精神的にも疲弊していた彼女は遂に折れてしまう。
「家まで送らせてよ」
強引に腕を引いて歩く男に、このまま上がり込まれて襲われてしまうんだろうかと働かない脳でぼんやり考える彼女。まあこのまま何の刺激もなく死んでいくよりかはマシか、なんて自暴自棄になっていると、引かれている腕を誰かの大きな手が掴み止めた。
「もしかして、今困ってる?」
「……え?」
顔を上げると、パーカーのフードを深く被った青年が目に映る。チラリとフードから覗かせてきた青年の瞳は、何故か懐かしい色をしていた。
「は? 急に何だよお前、」
「どうなの?」
「おい!」
無視された事に怒った男が、青年の胸ぐらに掴みかかる。直後、反動で外れたフードから露わになった顔を目にした途端、彼女の中で、記憶の奥底にあったある面影が思い起こされた。
「た、すけて欲しい、です……!」
溢れる涙と共に絞り出すようにして吐き出された言葉。青年はチラリと彼女を見るなり、不敵な笑みを浮かべながら「おっけ、任せて」言って、胸ぐらにあった手を素早く捩じり上げた。
「そういう訳だからさ。あんまお姉さんの事、困らせないであげてくんね?」
「ぐぁっ……なっ何だよ、お前みたいなガキに関係なっ、あだだだだ!」
「関係無い事ねぇよ……俺の大事な人泣かせといて、腕一本で済むと思うなよな」
「ひっ……」
殺気にも似た威圧感に圧倒された男は、慌ててその場から逃げ出して行った。
「あの……有難う、悠仁くん」
彼女の言葉に一瞬驚いたような顔をした彼は、照れ臭そうに笑って
「覚えてくれてたんだ」
そう嬉しそうに返した。
「悠仁くんこそ……よく覚えてくれてたね」
「そんなの当然、と……ちょっとここじゃ人目あるから帰りながらでも話さん? タクシー捕まえるから」
言いながらフードを深く被り直した彼の提案を少し不思議に思いながらも素直に受け入れた彼女は、そのまま自宅まで送って貰う事に。連絡先を交換してその日は分かれるのだが、次の日、会社を出た所をまた男に言い寄られる。
「お前みたいな尻軽、親父に言ったらすぐ切られるからね。反省して今度こそ俺のものになるって言うなら大目に見てあげるけど」
脅されているのだと自覚した彼女はもう会社にはいられないと退職を決意する。まさかそっちをとられるとは思わなかった男は焦った様子で彼女の後を追いかけようとしたが、縮まりかけた距離は割って入った人影によって阻止される。急に腰を抱き寄せられた彼女が吃驚して顔を見上げると、やはりフードを深めに被って今度はマスクに眼鏡まで掛けた悠仁と目が合った。悠仁はニコッと笑いかけてから、手に持ったスマホを後ろの男に見せびらかすようにして顔だけを振り返った。
「お前みたいな尻軽女〜」
「!! な、それっ……」
顔面蒼白になる男。悠仁のスマホには、先程の脅しの様子を映した動画が流れていた。
「ぶん殴ってやりたいとこだけど、これ以上この人に嫌な思いさせたくねぇからさ……精々、夜道には気をつけなよ? オニーサン」
冷たく言い放った悠仁はすぐに切り替えて彼女に向き直り歩みを進めだす。遅れてごめんね、と腰に回した手に力を込めた。
「なん、で……そんなに気に掛けてくれるの?」
「え? 分かんない? 俺にとって、お姉さんが大事な人だからだよ」
「っ……そ、そう」
「……あん時から、俺の気持ちは変わんないよ」
「……!」
気恥ずかしさから俯く彼女の鼓膜に低くて落ち着きのある悠仁の話し声が響く。実は悠仁が、今話題の若手アクション俳優だとは知りもしない彼女は、この後告白され、退職後の落ち着いた時間を過ごす中で久々に目にしたテレビ番組を視聴して初めて気付くのだった。
「なっなんで言ってくれなかったの!?」
「んーだって、元々ナマエさんに見つけて貰う為に始めた事だったし。今はやりがいもってやってっけどね」
「……!!」
「あ、それよか、今日早めに終わりそうだからそっちの荷造り手伝うね! 晩飯も俺作ったげるから期待してて!」
「えぇ!? やっあのっ、流石に芸能人の方と同棲は……」
「え? じゃあ辞めるよ俺」
「わー! 待ってごめんなさい! 言ってみただけだから!!」
「ふはっ……じゃあ仕事戻るわ! また夜にね!」
真っ直ぐ過ぎる悠仁にたじたじになる彼女なのだった。
「うん! そん時にはお姉さんの事、絶対助けに行くから待っててね!」
あまりにも悲しそうな顔をしてるから思いつきでした提案に虎杖は真面目な顔をして返した。それから十数年。毎日を時間外労働で忙しく過ごしていた彼女は、社長の息子だという男に執拗に付き纏われて参っていた。口を開けば口説き文句ばかり並べる男に、やり取りと仕事とで身体的にも精神的にも疲弊していた彼女は遂に折れてしまう。
「家まで送らせてよ」
強引に腕を引いて歩く男に、このまま上がり込まれて襲われてしまうんだろうかと働かない脳でぼんやり考える彼女。まあこのまま何の刺激もなく死んでいくよりかはマシか、なんて自暴自棄になっていると、引かれている腕を誰かの大きな手が掴み止めた。
「もしかして、今困ってる?」
「……え?」
顔を上げると、パーカーのフードを深く被った青年が目に映る。チラリとフードから覗かせてきた青年の瞳は、何故か懐かしい色をしていた。
「は? 急に何だよお前、」
「どうなの?」
「おい!」
無視された事に怒った男が、青年の胸ぐらに掴みかかる。直後、反動で外れたフードから露わになった顔を目にした途端、彼女の中で、記憶の奥底にあったある面影が思い起こされた。
「た、すけて欲しい、です……!」
溢れる涙と共に絞り出すようにして吐き出された言葉。青年はチラリと彼女を見るなり、不敵な笑みを浮かべながら「おっけ、任せて」言って、胸ぐらにあった手を素早く捩じり上げた。
「そういう訳だからさ。あんまお姉さんの事、困らせないであげてくんね?」
「ぐぁっ……なっ何だよ、お前みたいなガキに関係なっ、あだだだだ!」
「関係無い事ねぇよ……俺の大事な人泣かせといて、腕一本で済むと思うなよな」
「ひっ……」
殺気にも似た威圧感に圧倒された男は、慌ててその場から逃げ出して行った。
「あの……有難う、悠仁くん」
彼女の言葉に一瞬驚いたような顔をした彼は、照れ臭そうに笑って
「覚えてくれてたんだ」
そう嬉しそうに返した。
「悠仁くんこそ……よく覚えてくれてたね」
「そんなの当然、と……ちょっとここじゃ人目あるから帰りながらでも話さん? タクシー捕まえるから」
言いながらフードを深く被り直した彼の提案を少し不思議に思いながらも素直に受け入れた彼女は、そのまま自宅まで送って貰う事に。連絡先を交換してその日は分かれるのだが、次の日、会社を出た所をまた男に言い寄られる。
「お前みたいな尻軽、親父に言ったらすぐ切られるからね。反省して今度こそ俺のものになるって言うなら大目に見てあげるけど」
脅されているのだと自覚した彼女はもう会社にはいられないと退職を決意する。まさかそっちをとられるとは思わなかった男は焦った様子で彼女の後を追いかけようとしたが、縮まりかけた距離は割って入った人影によって阻止される。急に腰を抱き寄せられた彼女が吃驚して顔を見上げると、やはりフードを深めに被って今度はマスクに眼鏡まで掛けた悠仁と目が合った。悠仁はニコッと笑いかけてから、手に持ったスマホを後ろの男に見せびらかすようにして顔だけを振り返った。
「お前みたいな尻軽女〜」
「!! な、それっ……」
顔面蒼白になる男。悠仁のスマホには、先程の脅しの様子を映した動画が流れていた。
「ぶん殴ってやりたいとこだけど、これ以上この人に嫌な思いさせたくねぇからさ……精々、夜道には気をつけなよ? オニーサン」
冷たく言い放った悠仁はすぐに切り替えて彼女に向き直り歩みを進めだす。遅れてごめんね、と腰に回した手に力を込めた。
「なん、で……そんなに気に掛けてくれるの?」
「え? 分かんない? 俺にとって、お姉さんが大事な人だからだよ」
「っ……そ、そう」
「……あん時から、俺の気持ちは変わんないよ」
「……!」
気恥ずかしさから俯く彼女の鼓膜に低くて落ち着きのある悠仁の話し声が響く。実は悠仁が、今話題の若手アクション俳優だとは知りもしない彼女は、この後告白され、退職後の落ち着いた時間を過ごす中で久々に目にしたテレビ番組を視聴して初めて気付くのだった。
「なっなんで言ってくれなかったの!?」
「んーだって、元々ナマエさんに見つけて貰う為に始めた事だったし。今はやりがいもってやってっけどね」
「……!!」
「あ、それよか、今日早めに終わりそうだからそっちの荷造り手伝うね! 晩飯も俺作ったげるから期待してて!」
「えぇ!? やっあのっ、流石に芸能人の方と同棲は……」
「え? じゃあ辞めるよ俺」
「わー! 待ってごめんなさい! 言ってみただけだから!!」
「ふはっ……じゃあ仕事戻るわ! また夜にね!」
真っ直ぐ過ぎる悠仁にたじたじになる彼女なのだった。