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虎杖悠仁
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人には見えないものが見えた私の居場所は、家族とは遮断された街外れの別邸だけだった。
物心ついた時から理解不能な事を言う私の事を家族は気味悪がった。
私としてはただ、助けて欲しい一心での言動だったのだけれど。
16歳になり、義務教育も終えた私は、いよいよ別邸にと閉じ込められた。
元々、世間体が第一の家柄だったから、本人たちとしては、これで親としての役目は果たせたとでも思っているのだろう。
1人にしては大きすぎる鳥かごの中で、お世話役の執事が1人だけ。
生きる上では何の支障も無い今の生活を約束された代わりに、私は自由を失った。
私の人生このまま終わるのかと毎日退屈な日々を過ごしていたある日。
体調不良で暫く休む事になった執事の代わりとして新しい執事がやってきた。
てっきり前の執事と同じで御爺ちゃん執事が来るのかと思ったら、まさか同い年程の執事が来るとは予想だにしていなかった。
「ちわーっす! 新しく臨時でお世話させて貰う虎杖悠仁って言います! 宜しく!」
随分と笑顔の眩しい彼からはとても執事らしさを感じなかったけれど、その気さくさが退屈な毎日をすぐに変化させてくれた。悠仁はとにかく、話が面白くて。お嬢様扱いせずに自然体でお喋りをしてくれる彼との日々がいつしかずっと続けば良いのにと願うようになっていた。
そんなある日、庭を散策していた私に悠仁は忘れ物をしたと言って急いで邸内へと取りに戻った。大人しくその辺の植物等を見て待っていると、不意に寒気がして辺りを見渡す。すると、久しく見る事の無かった、あの怖い何かが、目の前数メートル先に佇んでいた。今まで見たどの何かよりも大きい、岩みたいなソレは、暫く忙しなく動かしていた無数にある目のような物体を、やがて一斉に私の方へと向けた。
あ……助けて、悠仁!
あまりの恐怖に腰が抜けて立てなくなった私は、死を覚悟しながら、咄嗟に悠仁の事を想った。その直後だった。私の名前を叫んだ彼が、ソレからの攻撃から身を挺して守ってくれたのは。咄嗟に彼の身を心配した私に、悠仁は何故か驚いたような顔をしてから、ふっと眉を下げて微笑み抱き締めてきた。
「怖い思いさせてごめんな。もう大丈夫だから」
「っ……ゆう、じ?」
「ごめんナマエ……おやすみ」
不意に意識が遠のく感覚がして私はそのまま気を失ってしまう。起きたら高専と呼ばれる場所に居た私は、目隠しをした先生と呼ばれる変な男性に事の経緯を聞いた。どうやら、何かと良くしてくれていた前の執事が、私の事を高専に依頼してくれたらしかった。
「あの子は不思議な力を持っている子だからきっと素質があると思う。だから助けてやってくれってさ。うーん、良い人に恵まれたね、君」
「……話は分かりましたが、私はこれからどうなるんですか?」
「それは君次第かなぁ……。これから君には色んな事を学んで貰うわけだけど、中には命がけになる事もざらにある。だから、あの屋敷に戻って安全に暮らすってのも一つだし、自分が恐れていたものに勇気を出して立ち向かっていくのもまた一つ。まあ、どっちも君にとったら地獄だろうけど」
君の好きな地獄を選んでよ。
そう述べた彼の話し方は、何だかとても軽く思えて。
でも話を聞いている限り、退屈な人生だけで終えそうだった私にとっては、もしかするとこれが最後のチャンスなのかもしれないとも思ったり。
「あ! そういえば、悠仁はどこに?」
「んふふ、やっぱり気になっちゃう? 気になっちゃうよねー! 大丈夫、悠仁なら今日も元気に生徒してるよ!」
「!」
数日後、晴れて家族との縁が切れた私は、今度は同級生として悠仁と再会を果たす事になるのだった。
物心ついた時から理解不能な事を言う私の事を家族は気味悪がった。
私としてはただ、助けて欲しい一心での言動だったのだけれど。
16歳になり、義務教育も終えた私は、いよいよ別邸にと閉じ込められた。
元々、世間体が第一の家柄だったから、本人たちとしては、これで親としての役目は果たせたとでも思っているのだろう。
1人にしては大きすぎる鳥かごの中で、お世話役の執事が1人だけ。
生きる上では何の支障も無い今の生活を約束された代わりに、私は自由を失った。
私の人生このまま終わるのかと毎日退屈な日々を過ごしていたある日。
体調不良で暫く休む事になった執事の代わりとして新しい執事がやってきた。
てっきり前の執事と同じで御爺ちゃん執事が来るのかと思ったら、まさか同い年程の執事が来るとは予想だにしていなかった。
「ちわーっす! 新しく臨時でお世話させて貰う虎杖悠仁って言います! 宜しく!」
随分と笑顔の眩しい彼からはとても執事らしさを感じなかったけれど、その気さくさが退屈な毎日をすぐに変化させてくれた。悠仁はとにかく、話が面白くて。お嬢様扱いせずに自然体でお喋りをしてくれる彼との日々がいつしかずっと続けば良いのにと願うようになっていた。
そんなある日、庭を散策していた私に悠仁は忘れ物をしたと言って急いで邸内へと取りに戻った。大人しくその辺の植物等を見て待っていると、不意に寒気がして辺りを見渡す。すると、久しく見る事の無かった、あの怖い何かが、目の前数メートル先に佇んでいた。今まで見たどの何かよりも大きい、岩みたいなソレは、暫く忙しなく動かしていた無数にある目のような物体を、やがて一斉に私の方へと向けた。
あ……助けて、悠仁!
あまりの恐怖に腰が抜けて立てなくなった私は、死を覚悟しながら、咄嗟に悠仁の事を想った。その直後だった。私の名前を叫んだ彼が、ソレからの攻撃から身を挺して守ってくれたのは。咄嗟に彼の身を心配した私に、悠仁は何故か驚いたような顔をしてから、ふっと眉を下げて微笑み抱き締めてきた。
「怖い思いさせてごめんな。もう大丈夫だから」
「っ……ゆう、じ?」
「ごめんナマエ……おやすみ」
不意に意識が遠のく感覚がして私はそのまま気を失ってしまう。起きたら高専と呼ばれる場所に居た私は、目隠しをした先生と呼ばれる変な男性に事の経緯を聞いた。どうやら、何かと良くしてくれていた前の執事が、私の事を高専に依頼してくれたらしかった。
「あの子は不思議な力を持っている子だからきっと素質があると思う。だから助けてやってくれってさ。うーん、良い人に恵まれたね、君」
「……話は分かりましたが、私はこれからどうなるんですか?」
「それは君次第かなぁ……。これから君には色んな事を学んで貰うわけだけど、中には命がけになる事もざらにある。だから、あの屋敷に戻って安全に暮らすってのも一つだし、自分が恐れていたものに勇気を出して立ち向かっていくのもまた一つ。まあ、どっちも君にとったら地獄だろうけど」
君の好きな地獄を選んでよ。
そう述べた彼の話し方は、何だかとても軽く思えて。
でも話を聞いている限り、退屈な人生だけで終えそうだった私にとっては、もしかするとこれが最後のチャンスなのかもしれないとも思ったり。
「あ! そういえば、悠仁はどこに?」
「んふふ、やっぱり気になっちゃう? 気になっちゃうよねー! 大丈夫、悠仁なら今日も元気に生徒してるよ!」
「!」
数日後、晴れて家族との縁が切れた私は、今度は同級生として悠仁と再会を果たす事になるのだった。