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じゅじゅサンドシリーズ
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京都校での交流戦最終日。
探し物をして校舎に戻った彼女は、
「探し物はこれかな?」
何故か自身の探していたスマホを手に持つ京都校の学生と出会った。
偶然とは思えない状況に、まさか待ち構えてた……?なんて不審に思いつつも、彼女は平静を装ってお礼を言いながら自身のスマホに手を伸ばした。
「ところで君、あの2人とどういう関係なの?」
もう少しというところでサッと彼女の手を避けた男は、にんまりと口角を上げて問い掛ける。どうにも不気味に感じる男の雰囲気に彼女の身体が強張った。
「何が聞きたいの?」
「いや? 君に対する彼らの態度がやけに親密な気がしたからさ」
「数少ない同級生だもの。仲良くぐらいするでしょ? それよりスマホを」
「そうそう、丁度見えるか見えないかの襟元部分に、マーキングされてるよね?」
「!!」
慌ててスマホを奪い取り男から勢いよく距離をとった彼女は、首元を手で押さえながら怪訝な表情で男を睨みつけた。しかし男は物怖じしない様子でくつくつと喉を鳴らしながら
「動揺しすぎだよ。可愛いね」
なんて煽るように言葉を発し続けた。
「安心してよ。別に君らのことをどうこう嗅ぎ回りたいわけじゃないんだ。ただ、流されてるだけなら俺にもチャンスあるかなって」
「っ……なに、それ」
怒りで声が震えるとはこういう事かと、彼女は思った。恐らく自分たちの関係に勘づいているのであろうこの男は、たかが数日顔を合わせ、競い合っただけの関係でこれだけの物言いをしてきたのだ。腹が立って仕方なかった彼女は、握り締めた拳に力を込めた。
「怒ってるの? でも、どうせ君だって、最初は彼らに言い寄られたんだよね?」
「っ……ふざけないで! 彼らのこと何も知らないくせに!」
「んー、少なくとも、誰かひとりに固執するタイプには両方とも見えないよね。でもだからこそ、僕は君に興味を持ったんだよ?」
「ッッ、近寄らないで!!」
彼女自身、吃驚するくらい大きな声が出た。男の手を払い除けた彼女は、気付けばすぐ後ろにあった扉から廊下へと飛び出していた。廊下には、丁度帰りの遅い彼女を迎えに来た途中で声を聞いて駆けつけて来た五条と夏油の姿があった。五条は目が合うなり、すぐに距離を詰めて彼女を問い詰めようとした。しかし掴もうとした手を思いきり避けた彼女は
「ごめっ……何でも無いから! 今は放っといて!」
「なっ……おい! ナマエ!」
五条の呼び掛けにも応じずに反対側の廊下を駆け抜けて行った彼女を五条は暫く呆然とした様子で見ていた。やがて、宙を彷徨っていた手をゆっくりと下ろした五条は、チラリと教室の中で佇んでいた男の顔を確認してから、ぼそりと後ろにいた夏油の名を呟いた。
「俺、加減とか知らねぇからよ……後頼むな」
「ああ。くれぐれも優しくな……逃がすなよ」
ポンと肩に手を置いて押された五条は、そのまま窓を開けて外へと飛び出した。
「さて。どう落とし前をつけて貰おうか?」
「ッ……想像以上のイカれ具合だな。お前らみたいな女に苦労しなそうな奴らが、たかが1人の女の為に何マジになってんだよ」
「ああ、成る程。そういう事か。頭の悪い奴はベラベラとひとりで話してくれるから助かるよ」
「はぁ? わざわざひとりを共有してるお前らの方がよっぽど頭悪い、ッ!?」
「悪いね。悟よりかは自制の効く人間だと自負はしてるけど、必要ない気を遣う程、優しくないんだ、私」
強烈な蹴りがヒットし、壁に吹っ飛んだ男をニコリと眺める夏油。苦痛に顔を歪ませながらも、壁伝いに立ち上がろうとした男の顔を夏油は横に蹴り飛ばした。
「君がこちらの人間で良かった。次見たらどうしてしまうか分からないからね」
夏油の細めた目から覗く瞳に男は心の底から恐怖した。
「待てっつってんだろ!」
「ッッそっちこそ放っといてって言ったでしょ! なんで追って来てんのよ馬鹿!」
「あぁ!?」
校舎を出てすぐのところで走る彼女を見つけた五条は、すぐさま追いついて彼女の掴み損ねた腕を掴んだ。逃げようと本気で抵抗する彼女に苛立ちを覚えながらも、その瞳が涙で揺らめいている事に気付いた五条は、咄嗟に彼女を抱き締めた。離してと繰り返す彼女をただ黙って抱き締めていれば、暴れ疲れたのか、やがて彼女の抵抗も小さくなってきて。徐々に興奮も冷め、腕の中で少しずつ嗚咽を漏らし出した彼女は、暫くして「ううう」と泣きながら五条の腰に手を回した。
こういう時、傑なら気の利いた言葉のひとつ出てくんだろうな。
黙って背中を撫でてやる事しか出来ない自分にもどかしさを感じながらも、五条はただひたすら、彼女が落ち着くまで待っていた。
直に落ち着きを取り戻した彼女は、休憩スペースでベンチに腰を下ろしながら、五条の差し出した水を受け取り飲んでいた。ぽつぽつと出来事について五条に話した彼女は、顔に悔しさを滲ませ、持っていたペットボトルを凹ませた。
「気にしなきゃ良いのに真面目に傷付いてる私が一番腹立つ……!」
「…………まあ、俺も傑も、誠実な人間ってタイプではねぇからな」
「ッ……じゃあ五条君は、私が流されただけだって言われても傷つかないの?」
「俺らの事想って本気で泣いてる奴がんなわけねぇだろ。お前が思ってる以上に、俺たちは俺たちでお前のこと見てるし考えてんだよ。……って、小っ恥ずかしいこと言わせんな、馬鹿」
「痛ッ」
デコピンされた額を撫でながら、彼女は思わずムッとなる。しかし、普段あまり言葉にしてくれない五条の、珍しい本音を聞けた気がして、彼女の口元は自然と綻んだ。
「そういえば夏油君は?」
「さあな。終わったら戻って来んだろ」
「え? 終わったらって何が?」
「……聞きてぇか?」
ニヤリと歯を見せて笑った五条に彼女は黙って首を振るのだった。
「今どこ?」
「校舎外の休憩スペース」
「ナマエは?」
「今は落ち着いて隣で休んでる」「そっちは?」
「写真の通りて感じかな。すぐ向かうよ」
「加減も容赦もあったもんじゃねぇなw」「おう」
スマホを閉じた五条は、不意にこてんと肩に倒れてきた彼女に視線を移す。疲れたのだろうか、小さく寝息を立てながら彼女は眠りについていた。少し赤くなった目元を指先で撫でながら、五条はひとつ、深呼吸をするのだった。
(時代的に携帯ですが、あえてスマホにしてます)
探し物をして校舎に戻った彼女は、
「探し物はこれかな?」
何故か自身の探していたスマホを手に持つ京都校の学生と出会った。
偶然とは思えない状況に、まさか待ち構えてた……?なんて不審に思いつつも、彼女は平静を装ってお礼を言いながら自身のスマホに手を伸ばした。
「ところで君、あの2人とどういう関係なの?」
もう少しというところでサッと彼女の手を避けた男は、にんまりと口角を上げて問い掛ける。どうにも不気味に感じる男の雰囲気に彼女の身体が強張った。
「何が聞きたいの?」
「いや? 君に対する彼らの態度がやけに親密な気がしたからさ」
「数少ない同級生だもの。仲良くぐらいするでしょ? それよりスマホを」
「そうそう、丁度見えるか見えないかの襟元部分に、マーキングされてるよね?」
「!!」
慌ててスマホを奪い取り男から勢いよく距離をとった彼女は、首元を手で押さえながら怪訝な表情で男を睨みつけた。しかし男は物怖じしない様子でくつくつと喉を鳴らしながら
「動揺しすぎだよ。可愛いね」
なんて煽るように言葉を発し続けた。
「安心してよ。別に君らのことをどうこう嗅ぎ回りたいわけじゃないんだ。ただ、流されてるだけなら俺にもチャンスあるかなって」
「っ……なに、それ」
怒りで声が震えるとはこういう事かと、彼女は思った。恐らく自分たちの関係に勘づいているのであろうこの男は、たかが数日顔を合わせ、競い合っただけの関係でこれだけの物言いをしてきたのだ。腹が立って仕方なかった彼女は、握り締めた拳に力を込めた。
「怒ってるの? でも、どうせ君だって、最初は彼らに言い寄られたんだよね?」
「っ……ふざけないで! 彼らのこと何も知らないくせに!」
「んー、少なくとも、誰かひとりに固執するタイプには両方とも見えないよね。でもだからこそ、僕は君に興味を持ったんだよ?」
「ッッ、近寄らないで!!」
彼女自身、吃驚するくらい大きな声が出た。男の手を払い除けた彼女は、気付けばすぐ後ろにあった扉から廊下へと飛び出していた。廊下には、丁度帰りの遅い彼女を迎えに来た途中で声を聞いて駆けつけて来た五条と夏油の姿があった。五条は目が合うなり、すぐに距離を詰めて彼女を問い詰めようとした。しかし掴もうとした手を思いきり避けた彼女は
「ごめっ……何でも無いから! 今は放っといて!」
「なっ……おい! ナマエ!」
五条の呼び掛けにも応じずに反対側の廊下を駆け抜けて行った彼女を五条は暫く呆然とした様子で見ていた。やがて、宙を彷徨っていた手をゆっくりと下ろした五条は、チラリと教室の中で佇んでいた男の顔を確認してから、ぼそりと後ろにいた夏油の名を呟いた。
「俺、加減とか知らねぇからよ……後頼むな」
「ああ。くれぐれも優しくな……逃がすなよ」
ポンと肩に手を置いて押された五条は、そのまま窓を開けて外へと飛び出した。
「さて。どう落とし前をつけて貰おうか?」
「ッ……想像以上のイカれ具合だな。お前らみたいな女に苦労しなそうな奴らが、たかが1人の女の為に何マジになってんだよ」
「ああ、成る程。そういう事か。頭の悪い奴はベラベラとひとりで話してくれるから助かるよ」
「はぁ? わざわざひとりを共有してるお前らの方がよっぽど頭悪い、ッ!?」
「悪いね。悟よりかは自制の効く人間だと自負はしてるけど、必要ない気を遣う程、優しくないんだ、私」
強烈な蹴りがヒットし、壁に吹っ飛んだ男をニコリと眺める夏油。苦痛に顔を歪ませながらも、壁伝いに立ち上がろうとした男の顔を夏油は横に蹴り飛ばした。
「君がこちらの人間で良かった。次見たらどうしてしまうか分からないからね」
夏油の細めた目から覗く瞳に男は心の底から恐怖した。
「待てっつってんだろ!」
「ッッそっちこそ放っといてって言ったでしょ! なんで追って来てんのよ馬鹿!」
「あぁ!?」
校舎を出てすぐのところで走る彼女を見つけた五条は、すぐさま追いついて彼女の掴み損ねた腕を掴んだ。逃げようと本気で抵抗する彼女に苛立ちを覚えながらも、その瞳が涙で揺らめいている事に気付いた五条は、咄嗟に彼女を抱き締めた。離してと繰り返す彼女をただ黙って抱き締めていれば、暴れ疲れたのか、やがて彼女の抵抗も小さくなってきて。徐々に興奮も冷め、腕の中で少しずつ嗚咽を漏らし出した彼女は、暫くして「ううう」と泣きながら五条の腰に手を回した。
こういう時、傑なら気の利いた言葉のひとつ出てくんだろうな。
黙って背中を撫でてやる事しか出来ない自分にもどかしさを感じながらも、五条はただひたすら、彼女が落ち着くまで待っていた。
直に落ち着きを取り戻した彼女は、休憩スペースでベンチに腰を下ろしながら、五条の差し出した水を受け取り飲んでいた。ぽつぽつと出来事について五条に話した彼女は、顔に悔しさを滲ませ、持っていたペットボトルを凹ませた。
「気にしなきゃ良いのに真面目に傷付いてる私が一番腹立つ……!」
「…………まあ、俺も傑も、誠実な人間ってタイプではねぇからな」
「ッ……じゃあ五条君は、私が流されただけだって言われても傷つかないの?」
「俺らの事想って本気で泣いてる奴がんなわけねぇだろ。お前が思ってる以上に、俺たちは俺たちでお前のこと見てるし考えてんだよ。……って、小っ恥ずかしいこと言わせんな、馬鹿」
「痛ッ」
デコピンされた額を撫でながら、彼女は思わずムッとなる。しかし、普段あまり言葉にしてくれない五条の、珍しい本音を聞けた気がして、彼女の口元は自然と綻んだ。
「そういえば夏油君は?」
「さあな。終わったら戻って来んだろ」
「え? 終わったらって何が?」
「……聞きてぇか?」
ニヤリと歯を見せて笑った五条に彼女は黙って首を振るのだった。
「今どこ?」
「校舎外の休憩スペース」
「ナマエは?」
「今は落ち着いて隣で休んでる」「そっちは?」
「写真の通りて感じかな。すぐ向かうよ」
「加減も容赦もあったもんじゃねぇなw」「おう」
スマホを閉じた五条は、不意にこてんと肩に倒れてきた彼女に視線を移す。疲れたのだろうか、小さく寝息を立てながら彼女は眠りについていた。少し赤くなった目元を指先で撫でながら、五条はひとつ、深呼吸をするのだった。
(時代的に携帯ですが、あえてスマホにしてます)
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