名前変換が無い場合は、ミョウジ ナマエになります。
夏油傑
名前変換処
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
バレンタイン前夜。
いそいそと1人台所で"家族"の分のチョコと夏油の分とを手作りしていた彼女。
甘ったるい匂いであふれ返った空間に、反応した双子達が味見と称して遊びに来たのを彼女は仕方無いなぁと笑いながらいくつかの半端になっていたものを提供してあげた。
「こっちのは夏油様の?」
「そうだよ。甘さ控えめにしてるの」
「ふーん。なんかやっぱり、私達のより力入ってるね」
ププッと揶揄うように言った菜々子に
「ちゃ、ちゃんと皆の分にも同じくらい気持ち込めてます!」
照れ隠しからつい勢いよく応答してしまう彼女。
ふと時計を見て、もうすぐ日付が変わる事に気付けば
「ほら、2人とも歯磨きしてもう寝る!」
「えーまだ早いってば」
「だーめっ。 育ち盛りなんだからちゃんと寝て! また明日ねっ」
押し出すように2人を廊下にまでやってから、彼女はおやすみと笑顔で扉を閉じた。
それからひと息ついた彼女は、またすぐに作業を再開したわけだが。日付がもう変わるという時に、急に、気配を消した夏油によって後ろから覆い被さるように抱きつかれ、彼女は思わず小さな悲鳴を上げ手を止めた。
「美味しそうだね」
「なっ何ですか急に……!」
「ん? 別に?」
にこりと笑う夏油にどきりとなる彼女。
正直言って、この顔で誤魔化す時の彼は、何か良くない事を考えている事が多いのだ。
そんな彼女の心境を知ってか知らぬか、ぎゅっと回した手に力を込めて、彼女の肩から顔を出しながら、夏油は目の前に並んだチョコ菓子たちを「ふーん」等と零しながら、ただまじまじと眺めていた。
なんとも言えない空気感に先に堪えきれなくなったのは彼女の方で。
そういえば夏油が袈裟を着たままだった事に気付き、
「においとか汚れが付いちゃいますし、着替えましょ?」
と声を掛けながら夏油の腕に手を掛けると、
「じゃあ君も手伝ってくれるかい?」
そう、拒むように腕に力を入れてから、夏油は彼女の耳元で囁いた。
お願い、というよりは命令に近い夏油からの言葉に、彼女は急いで作業を中断して彼と共に和室へと移動した。
着いて早々、自分で緩めて脱ぎ出した夏油に戸惑いながらも、畳の上に落とされていく衣類を拾ってひとつひとつ丁寧にまとめていく彼女。
最後までまとめてしまうと、彼女は、それらを収納棚の隅に置いてから肌着だけになった夏油に向き直った。
「じゃあ、私は続きがあるので行きますね」
「駄目」
「っ……え?」
既に敷いてあった布団の上で胡座をかきながら、頬杖をついて彼女を見つめる夏油。
ニコニコとしているが、開眼すればその目は笑って無いのだろうと、彼女は思わず息を呑み込んだ。
「おいで」
とんとん、と自分の足を叩いて見せる夏油に、意味を理解した彼女は、有無言わせぬ雰囲気から、素直に指示に従うことにした。
その際、彼に背中を向ける形で胡座の上に座れば、くっくとすぐ後ろで笑い声が漏れた。
「座って、とは言ってないんだけど」
「っ……な、なんか、怒ってる気がして」
「なら尚更じゃないかい?」
ほら、と促され、彼女は覚悟を決めて、膝立ちしながら夏油と向かいあった。
その際、恐る恐る、彼の両肩に手を置けば、愉しげに口角を上げた夏油の手が彼女の頬を優しく包んだ。
「そんなに怯えないでくれ。何も、取って食おうって訳じゃ無いんだから」
「……でも、私全く、身に覚えが」
「だろうね。君が誰にでも優しいのは、私もよく知っているよ。……でも、家族と私は違うだろう?」
「え、んっ」
頬から後頭部へと滑り込んだ手に押さえ付けられるようにして唇を塞がれた彼女は、突然の事に、手に力を入れて押し返そうと試みた。
しかし、びくともしない所か、腰に回ってきたもう片方の手にも引き寄せられ、完全に密着する形となってしまった彼女は、反れる身体に合わせて上向きになったままの姿勢で強いられている口付けに苦しそうな声を漏らした。
口内を滅茶苦茶に侵しまくってから、舌を吸い、顔を上げれば、蕩けきった顔をして、だらしなく口を開く彼女の姿が目に映る。
その口内に溜まった、あえて彼女に垂れ流していた自分の唾液を、夏油は
「呑み込みなさい」
と一言言って、そのまま彼女の中に取り込ませた。
その際、反射的だったからか、ごくり、とやけに大きな音が出てしまったのを夏油はクスッと笑ってその喉元に舌を這わせた。
「んぁっ……げ、とうさ」
「ん、2人きりなのに名前で呼んでくれないのかい?」
「っ、すぐるさっ、駄目で、す」
「んー?」
「あっやっ、台所片付けない、と……!」
「へぇ……君は私との時間より、家族へのチョコをとるのかい?」
「え?」
服の下を弄っていた夏油の手が止まる。
きょとんとした表情で見つめる彼女を夏油の冷ややかな目が見つめ返していた。
「あ、あのっ」
何も言わない夏油にはっとして、彼女は咄嗟に口を開いた。
「もしかして、妬いてます……?」
「だとしたら?」
「っ……」
問い掛けに問い掛けで返され、言葉に詰まってしまう。
というのも、こうしてバレンタインチョコを作るのは、何も今年が初めてなわけでは無かったので、そもそも今更嫉妬をする理由が彼女には分からなかったのだ。
困惑する彼女を、ふと腰の辺りを掴んでいた夏油の手がグッと下に押さえつけると、彼女は、下から突き上げてくる硬いそれに反応して小さな悲鳴を上げた。
「君はどうだか知らないが、少なくとも私は、家族にこうはならないよ」
「っ、そっそんなこと」
「それとも、一度確かめてみようか?」
「!?だ、駄目っ!!」
軽口を叩いているように見えて目が本気の目つきをしていた夏油を、彼女は咄嗟に首に手を回し、抱き止めた。
腕の中で、冗談だよと夏油が笑うが、彼女は黙ってふるふると首を振り、そのまま暫く離れようともしなかった。
やがて、
「……ナマエ、離れなさい」
夏油の命令にピクリと反応した彼女は、俯きがちに離れると、そのまま、夏油の胡座の上で姿勢を正した。
「……意地悪」
「先に妬かせたのは君なのに?」
「……2人に、私が傑様と同じくらい気持ち込めてるって言ったの、怒ってるんですか」
「なんだ、分かってるじゃないか」
涙を溜める彼女の目尻を指で拭いながら、夏油は眉をひそめて口角を上げた。
「私は我儘だからね。例え私が家族みんなを愛していようと、君の愛は私だけに向けられるべきだと思ってる。でも、それじゃあ、あの子たちが悲しむだろう?」
咄嗟に美々子と菜々子の2人を思い浮かべた彼女が夏油からの問い掛けに小さく頷く。
そのまま、2人の事を好きかと聞かれたので、恐る恐る肯定すれば、今度は自身の事を好きかときたので、これは絶対に間違えられない奴だと思わず彼女の身が強張った。
「っ……す、好きです、けど」
「傑様が不安だと言うなら、直接確かめて下さい」
そう言って夏油の結っていた髪をほどいた彼女に
「……ずるいなぁ」
と、笑いながらこぼした夏油は、彼女を引き寄せ、額同士を重ねて見つめ合った。
「言っとくけど、私に委ねるのは悪手だよ?」
「……どうせ、優しくする気なんて無かったくせに」
「くっく。よく言うよ」
次に口付けられた彼女が部屋を出られたのは、結局その日の午後だった。
チョコレートは?!と騒ぐ2人に明日また改めてと、彼女は申し訳程度にホットチョコを振る舞うのだった。
(台所は夏油様がちゃっかりチョコも頂いて片づけました)
いそいそと1人台所で"家族"の分のチョコと夏油の分とを手作りしていた彼女。
甘ったるい匂いであふれ返った空間に、反応した双子達が味見と称して遊びに来たのを彼女は仕方無いなぁと笑いながらいくつかの半端になっていたものを提供してあげた。
「こっちのは夏油様の?」
「そうだよ。甘さ控えめにしてるの」
「ふーん。なんかやっぱり、私達のより力入ってるね」
ププッと揶揄うように言った菜々子に
「ちゃ、ちゃんと皆の分にも同じくらい気持ち込めてます!」
照れ隠しからつい勢いよく応答してしまう彼女。
ふと時計を見て、もうすぐ日付が変わる事に気付けば
「ほら、2人とも歯磨きしてもう寝る!」
「えーまだ早いってば」
「だーめっ。 育ち盛りなんだからちゃんと寝て! また明日ねっ」
押し出すように2人を廊下にまでやってから、彼女はおやすみと笑顔で扉を閉じた。
それからひと息ついた彼女は、またすぐに作業を再開したわけだが。日付がもう変わるという時に、急に、気配を消した夏油によって後ろから覆い被さるように抱きつかれ、彼女は思わず小さな悲鳴を上げ手を止めた。
「美味しそうだね」
「なっ何ですか急に……!」
「ん? 別に?」
にこりと笑う夏油にどきりとなる彼女。
正直言って、この顔で誤魔化す時の彼は、何か良くない事を考えている事が多いのだ。
そんな彼女の心境を知ってか知らぬか、ぎゅっと回した手に力を込めて、彼女の肩から顔を出しながら、夏油は目の前に並んだチョコ菓子たちを「ふーん」等と零しながら、ただまじまじと眺めていた。
なんとも言えない空気感に先に堪えきれなくなったのは彼女の方で。
そういえば夏油が袈裟を着たままだった事に気付き、
「においとか汚れが付いちゃいますし、着替えましょ?」
と声を掛けながら夏油の腕に手を掛けると、
「じゃあ君も手伝ってくれるかい?」
そう、拒むように腕に力を入れてから、夏油は彼女の耳元で囁いた。
お願い、というよりは命令に近い夏油からの言葉に、彼女は急いで作業を中断して彼と共に和室へと移動した。
着いて早々、自分で緩めて脱ぎ出した夏油に戸惑いながらも、畳の上に落とされていく衣類を拾ってひとつひとつ丁寧にまとめていく彼女。
最後までまとめてしまうと、彼女は、それらを収納棚の隅に置いてから肌着だけになった夏油に向き直った。
「じゃあ、私は続きがあるので行きますね」
「駄目」
「っ……え?」
既に敷いてあった布団の上で胡座をかきながら、頬杖をついて彼女を見つめる夏油。
ニコニコとしているが、開眼すればその目は笑って無いのだろうと、彼女は思わず息を呑み込んだ。
「おいで」
とんとん、と自分の足を叩いて見せる夏油に、意味を理解した彼女は、有無言わせぬ雰囲気から、素直に指示に従うことにした。
その際、彼に背中を向ける形で胡座の上に座れば、くっくとすぐ後ろで笑い声が漏れた。
「座って、とは言ってないんだけど」
「っ……な、なんか、怒ってる気がして」
「なら尚更じゃないかい?」
ほら、と促され、彼女は覚悟を決めて、膝立ちしながら夏油と向かいあった。
その際、恐る恐る、彼の両肩に手を置けば、愉しげに口角を上げた夏油の手が彼女の頬を優しく包んだ。
「そんなに怯えないでくれ。何も、取って食おうって訳じゃ無いんだから」
「……でも、私全く、身に覚えが」
「だろうね。君が誰にでも優しいのは、私もよく知っているよ。……でも、家族と私は違うだろう?」
「え、んっ」
頬から後頭部へと滑り込んだ手に押さえ付けられるようにして唇を塞がれた彼女は、突然の事に、手に力を入れて押し返そうと試みた。
しかし、びくともしない所か、腰に回ってきたもう片方の手にも引き寄せられ、完全に密着する形となってしまった彼女は、反れる身体に合わせて上向きになったままの姿勢で強いられている口付けに苦しそうな声を漏らした。
口内を滅茶苦茶に侵しまくってから、舌を吸い、顔を上げれば、蕩けきった顔をして、だらしなく口を開く彼女の姿が目に映る。
その口内に溜まった、あえて彼女に垂れ流していた自分の唾液を、夏油は
「呑み込みなさい」
と一言言って、そのまま彼女の中に取り込ませた。
その際、反射的だったからか、ごくり、とやけに大きな音が出てしまったのを夏油はクスッと笑ってその喉元に舌を這わせた。
「んぁっ……げ、とうさ」
「ん、2人きりなのに名前で呼んでくれないのかい?」
「っ、すぐるさっ、駄目で、す」
「んー?」
「あっやっ、台所片付けない、と……!」
「へぇ……君は私との時間より、家族へのチョコをとるのかい?」
「え?」
服の下を弄っていた夏油の手が止まる。
きょとんとした表情で見つめる彼女を夏油の冷ややかな目が見つめ返していた。
「あ、あのっ」
何も言わない夏油にはっとして、彼女は咄嗟に口を開いた。
「もしかして、妬いてます……?」
「だとしたら?」
「っ……」
問い掛けに問い掛けで返され、言葉に詰まってしまう。
というのも、こうしてバレンタインチョコを作るのは、何も今年が初めてなわけでは無かったので、そもそも今更嫉妬をする理由が彼女には分からなかったのだ。
困惑する彼女を、ふと腰の辺りを掴んでいた夏油の手がグッと下に押さえつけると、彼女は、下から突き上げてくる硬いそれに反応して小さな悲鳴を上げた。
「君はどうだか知らないが、少なくとも私は、家族にこうはならないよ」
「っ、そっそんなこと」
「それとも、一度確かめてみようか?」
「!?だ、駄目っ!!」
軽口を叩いているように見えて目が本気の目つきをしていた夏油を、彼女は咄嗟に首に手を回し、抱き止めた。
腕の中で、冗談だよと夏油が笑うが、彼女は黙ってふるふると首を振り、そのまま暫く離れようともしなかった。
やがて、
「……ナマエ、離れなさい」
夏油の命令にピクリと反応した彼女は、俯きがちに離れると、そのまま、夏油の胡座の上で姿勢を正した。
「……意地悪」
「先に妬かせたのは君なのに?」
「……2人に、私が傑様と同じくらい気持ち込めてるって言ったの、怒ってるんですか」
「なんだ、分かってるじゃないか」
涙を溜める彼女の目尻を指で拭いながら、夏油は眉をひそめて口角を上げた。
「私は我儘だからね。例え私が家族みんなを愛していようと、君の愛は私だけに向けられるべきだと思ってる。でも、それじゃあ、あの子たちが悲しむだろう?」
咄嗟に美々子と菜々子の2人を思い浮かべた彼女が夏油からの問い掛けに小さく頷く。
そのまま、2人の事を好きかと聞かれたので、恐る恐る肯定すれば、今度は自身の事を好きかときたので、これは絶対に間違えられない奴だと思わず彼女の身が強張った。
「っ……す、好きです、けど」
「傑様が不安だと言うなら、直接確かめて下さい」
そう言って夏油の結っていた髪をほどいた彼女に
「……ずるいなぁ」
と、笑いながらこぼした夏油は、彼女を引き寄せ、額同士を重ねて見つめ合った。
「言っとくけど、私に委ねるのは悪手だよ?」
「……どうせ、優しくする気なんて無かったくせに」
「くっく。よく言うよ」
次に口付けられた彼女が部屋を出られたのは、結局その日の午後だった。
チョコレートは?!と騒ぐ2人に明日また改めてと、彼女は申し訳程度にホットチョコを振る舞うのだった。
(台所は夏油様がちゃっかりチョコも頂いて片づけました)