「ナマエ！　大丈夫！？」

目的の呪霊と戦闘になるも、いつもの軽装では無かった事もあり苦戦する彼女。ふとヒールでバランスを崩した所を呪霊に狙われ、大ピンチって時に、まるで漫画のヒーローかってくらいナイスタイミングで助けに来てくれる虎杖。黒閃で一発KOした虎杖は、すぐに座り込む彼女に駆け寄り、目線を合わせて、気遣う言葉を掛ける。

「どうしてここに？」
「え"……あー、いや……たまたまー、かな？」

ドレスアップまでしといて苦しい誤魔化し方をする。そんなことよりもと、バランスを崩した際に足首を捻って痛めていた彼女に気付いた虎杖は、咄嗟に彼女を姫抱っこして補助監督の元まで連れて行くことにした。羞恥心から慌てて下りようともがき始めた彼女に、虎杖は顔を近付けて

「なぁ、ナマエ……俺、こう見えて結構怒ってんだけど？」
「っ……え？」

周りの空気が一気に重くなるのを感じてピタリと動きを止める彼女。

「任務だってのは分かってっけど、それでも何かさ……知らん奴に話しかけられてる時なんか、よっぽど出て行こうと思ったもんだけどね」
「！」
「あ、これ言ったら実は隠れて見に来てたのバレちゃうか。まあいいけど」

穏やかな口調で自己完結させる虎杖が怖くて、冷や汗が止まらない彼女。間違いなく、本気で怒らせたらめちゃくちゃ怖いタイプな虎杖。

「今日ずっと待てて偉かった分、帰ったら俺、待てないからね？」

分かった？　虎杖からの問い掛けに、彼女は頷くしか無かった。