最近は体術の実践練習をしているという１年ズに会いに来た彼女。
担任強すぎと嘆く野薔薇に頼まれ、少しだけ手合わせすることに。
最初は見ているだけだった虎杖や伏黒も野薔薇からの巧みな言動にのせられ参加する事に。

学生時代の頃を思い出し、つい熱が入った彼女は、結局午後までしっかり手合わせをしてから、そろそろお昼にしようと１年ズに声を掛けた。

「揃いも揃ってどうしたんだい」

「あ、夏油先生じゃん！　や、ついさっきまでミョウジさんと手合わせしててさー」

「……へぇ。珍しいね」

なんだ今の間は。みんなが感じ取った夏油の違和感に、虎杖だけが気付けず、会話を続けた。

「んで、これから俺たちミョウジさんとご飯行く事になってて。あ、夏油先生も暇なら行かない？」

「そうだね……実はまだ、午後までにまとめておかないといけない書類が残ってるんだ。素早く済ませて来るからその後合流しても良いかい？」

「おけ！」

「あ。悪いけど、君は私に手伝ってくれないか」

3人を連れて歩き出そうとした彼女の肩を夏油が掴む。
ただならぬオーラに怖くて顔は見れなかったが、後の野薔薇や伏黒達の話では、無闇に引き留めたらもっと酷い目に合うと思ったとの事だった。


資料室に付き添わされた彼女は、後から入った夏油によって扉の鍵を閉められた事にすぐに反応を返した。

「なっ、んで閉めちゃうの！？」

「邪魔が入ったら困るだろう？」

「し、資料まとめるんだよね……？」

「……はて。そんな事言ったかな？」

「言ったじゃ、のわっ！？」

一気に距離を詰められた彼女は、両端に手をついて寄り掛かった夏油によって、机に腰掛ける形で身動きを封じられた。
至近距離に迫る夏油の顔に堪らず顔を背ければ、むき出しになった頸に夏油の吐息がかかった。

「……汗のにおいがするね」

「えっ、わ、あっあんまり近寄らないで！」

「あの子達は良いのに私は駄目なのかい？」

「あっあれはただの組み手でしょ！　っってか、まさか自分の生徒に嫉妬してるの！？」

彼女の見開く目に映った夏油は一瞬間をおいてから、その目を弓形に細めてにんまりと口角を上げた。
あ、ヤバいと直感した彼女が咄嗟に夏油を押し返そうとすれば、

「図星だよ」

その手を掴み、更に距離を縮めてきた夏油に、彼女は仰向けになって組み敷かれた。

「君の言う通り、私は、自分の生徒達に嫉妬したんだ」

こんな私は重いかい……？

彼女の耳元で夏油がクスリと笑う。

…………黙り込む彼女の表情は、満更でもないように思えた。


「っみ、みんな待ってるから！」

「私より生徒達を優先かい？」

「いっ今は先生なんだから生徒達を優先して！」

「…………はぁ。強情だな、君も」

頸にキスを繰り返していた夏油が離れる。
こういう時の彼女の芯の強さを彼はよく分かっていた。

「帰ったら潰すよ。絶対」

「そっ……そんな笑顔で怖い事言わないでよ」

眩しいくらいの笑顔で宣言され、彼女はタジタジになりながらも、とりあえずはみんなの元へ戻り、お昼を共にするのだった。




【ちょっと分かりにくいかな。強引だけど、引く引かないの線引きが出来てるのが私の理想なんですよね。(これは本当に嫌がってるのかそうでないかの判断が上手いと言いますか)
流されがちな彼女のここはな所には止まってあげられる所に愛を感じて滾るタイプですｗ】