伏黒が敵を惹きつけている間に救助へと向かった彼女は、部屋でへべれけになって倒れている依頼人を発見。
介抱するようにして立ち上がり運ぼうとすれば、元カノと勘違いした依頼人に抱きつき倒されてしまう。

自分の上で、泣きながら懺悔する依頼人に、どうしよう！？と恐怖を感じたその時、無事か！？と叫んで扉の前に現れた伏黒に咄嗟に名前を呼び返す彼女。

「良かった、この人酔、って伏黒くんんん！？」

「人の女に何してんだよ……！」

気付けば依頼人を蹴り飛ばしていた伏黒は、ドスの効いた声を出して悶える相手を睨みつけた。
すっかり酔いの覚めた依頼人は、壁に手を掛けて起き上がるなり、青ざめた顔で伏黒と彼女に謝罪した。

「大概にして下さいよ、マジで…………おい」

「は、はい！？」

あまりの気迫に動けずにいた彼女は、伏黒の声掛けにびくんと反応した。
あからさまにビビってしまっている彼女に内心むっとなりながらも、伏黒は黙って手を差し出す。
恐る恐る触れてきた手をがっしりと掴めば、伏黒は座り込んでいた彼女を自分の方に引き寄せながら立ち上がらせた。

「一般人だからって油断してんなよ」

「っ……」

「次はねぇぞ」

抱き止めた、彼女の耳元で囁いた伏黒は、離れ際に低い声でそう釘をさした。
ご……ごめん。小さな声で謝った彼女に、伏黒は黙って頭を撫でた。