任務中。
依頼人の息子と謎の部屋に閉じ込められた彼女。
どうしたもんかと悩んでいたら、息子の方が怪しい紙を発見する。
見てみると、Hしないと出られない部屋とある。
暫く言葉に詰まる双方だったが、やがて彼女の方をチラリと見やる男。

「……い、依頼遂行の為、だよ、な？」

先程から、ありえない目にばかり合ってきたからか、感覚がおかしくなっているのだろう。
切羽詰まった男の瞳はギラギラとしていて、彼女の背筋を凍りつかせた。

逃げなければ……！

咄嗟に思い浮かべた虎杖の顔に、助けてと懇願したその時、男と彼女の間にあった壁が物凄い爆発音と共に破壊された。
飛び散る瓦礫に乗り上げて、呪力を全身に流した虎杖が部屋の中に顔を出す。
その顔は、彼女が見たこともない程の怒りに満ちた様子で男の方を睨みつけていた。

「い、たどり、くん……？」

何とか声を出して名前を呼び掛けた。
すると、ふっといつもの調子で彼女に笑い掛けた虎杖は、

「良かった！　無事！？　はーっ……急に消えたからまじ焦ったわー！」

そう言って彼女を抱きしめた。
いつもの虎杖君だと安堵したのも束の間、

「あいつに何もされてない？」

低くて身体が恐怖で震え上がりそうな声が耳元に響いた。
何とか声を絞り出して、大丈夫だよ有難うと彼女が伝えれば、虎杖はもう一度力強く彼女の事を抱き締めた。