「君、面白いこと言うねー」

笑い混じりに返して来た彼に、女性の方が一瞬期待したのも束の間

「でも残念。まずは僕に触れるようになってから戯言はぬかしてね」

じゃ、僕忙しいから。
そう言って歩きだした彼は、背中を向けたまま挙げた手をひらひらとさせた。引き止めようかと悩んだ女性だったが、去り際に感じた彼の纏う恐怖心を煽るようなオーラによってそれは憚られた。

帰宅して先に帰っていた彼女に出迎えられた五条は、いつものように抱きしめるなりその首筋に顔を埋めた。そのままスーハーと深く息をして彼女を堪能していれば、くすぐったさと羞恥心から彼女の方が身じろいだ。

「っ……悟さん？」

普段なら良い加減部屋に入ってる頃なのに今日はやけに長いなと違和感を覚える彼女。もしや何かあったのかと、心配から彼の背中や頭を優しく撫でていれば、暫くしてやっと五条が顔を上げた。

「駄目だ。ムラムラしてきた」
「はいぃぃ！？」
「ほんとだって。ほら見て」
「やっもっ、見せないで良いですから！　だからって押し付けなくとも分かりますから！！」

必死に胸元を手で押し返して離れようとする彼女を五条はニヤニヤと楽しそうに口元を緩ませてホールドする。

「僕から逃げられるわけないでしょー？　すぐその気にさせてやるから、まあ諦めな♡」

ニッと歯を見せて笑う五条に彼女はもう逃げられない事を悟ったのだった。