「ッッ、わりぃ出るわ」

すぐに踵を返した伏黒を慌てて引き止める彼女。

「付き合ってるんだし、良いんじゃないか……な」

引き止める手の力がギュッと強まり、伏黒も覚悟を決める事に。
特に何か話す訳でも無くただただお互いにお湯に浸かってる。んだけれど、実はお湯の中では手だけ繋がってたりする。

「身体……洗う、か？」

ぎこちなく聞いてきた伏黒に彼女小さな声で頷く。
ばしゃりと音を立てて先に伏黒から上がれば、手を引かれて彼女も湯から上がった。

「恵くん、洗ってあげるね！」
「や、良い。俺の前で無理すんな」
「しっしてないよ！　ほら背中貸して！」
「おい、……ったく」

気張る彼女を気にかけつつも洗ってもらう事自体は満更でもない彼。

「力加減大丈夫？　痛くない？」
「ん」
「今日の恵君も冴えてたねー！　凄いカッコ良かった！」
「……そうかよ」

緊張しているのかよく喋る彼女に短く返答を繰り返す伏黒は、洗い終えてさっさと自分の身体も洗おうする彼女の手を掴み俺もと位置を交代する事に。
普段薄暗い場所でしか見ない彼女の身体をまじまじと見つめながら、割れ物に触るかのようにそっと手を添えて擦る手に力を加えていく。

その際、繊細に触れるがあまりくすぐったい触れ方をしてしまい、思わず「ン、」と身じろいだ彼女に「！？」固まる伏黒は絶対に居る。

このまま理性を保った上で最後まで洗いきって部屋に戻るのも良し。
ぷつんってなって「わりぃ……」て一言謝ってから前に手を滑り込ませるのも大変良き。