繁忙期は忙しくてお互いになかなかゆっくり出来ない日々が続く。
今日も一足先に任務へ出かける五条さんをお見送りする為に一緒に玄関へ。

「じゃ、行ってくるね。」

そう言って踵を返した彼の背中に私は思いきって抱き着く。
それから急いでありったけの空気を吸って大好きな五条さんの匂いを堪能する。
うん、出来ればずっと吸っていたい。
でもそんな訳にはいかないから、急いで離れて距離を取る。

「すみません、急に！今日も頑張って来てくださ、い"！？」

一瞬にして距離を詰めてきた五条さんが突然顔を掴んで来たものだから私は挨拶を最後まで言えなかった。

というか…え？なんか滅茶苦茶おこっ…え？なんで？？

「あのさー…俺、今から出かけるとこだったよなぁ？」

怖いくらい圧出しながら聞いてくる。
頷きたいけど、顔を掴む力が強すぎて顔が動かせない。

あれ？ていうか今俺って…、

「だ・か・ら…おまえのそういうとこだよ！そーいうとこ！」

意味が分からないけれどどうやら私の行動が五条さんを怒らせてしまったようだという事は伝わった。
私のした事と言えば、後ろから抱き着いて匂いを嗅いだだけなのに…。
理不尽だとは思うけれどそんなに嫌だったのかと思ったらなんかちょっと悲しくなる。

うぅ…そんな顔で睨まないで下さいよ余計泣きそうになるからあああ。

「ご、ごべんな"さ、んんっ」

謝ろうとしたら突然嚙みつくようなキスをされて戸惑う。
急いでいるのか凄くガツガツくるものだから、支えられた腰が仰け反って息が苦しくなる。
やっと離れたと思ったら首筋に下りた五条さんの口がチクリと痛みを伴う跡を付けた。

「…今はこれで我慢してやるけど、帰ったらドロドロに啼かせてやるから覚悟しとけよ？」

そう、熱の籠った目で、いつもとは違う荒い口調のまま言われたものだから、私は黙って頷く事しか出来なかった。