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「7月3日生まれだから七海さん! はい! 7と3で七海さーん! てなわけで、お誕生日おめでとう御座いまーす!」
「……まさか、それを言いにわざわざこんな時間から訪ねて来たんですか?」
「ですですー!」
時刻は深夜。任務を終え、帰宅してシャワーを浴びてから読みかけの本を読んでいた七海の元を彼女は突然訪ねてきた。大方、任務終わりに思いつきで訪ねて来たのであろう彼女の突拍子もない行動を七海は慣れた様子で受け答えしていた。
「そうですか。ところで、七海というのは私の苗字なので、あなたの言う後付けが出来るものではありませんよ」
「は! そういえばそうですね!? んと、じゃあ七海さんはこの日に生まれるべくして生まれたんですね! そう! そうに違いないです!」
「一応聞いておきますが、酔ってるんですか?」
「まさか! バリバリ任務明けでーす!」
だからか昂っちゃっててー!
そう言ってあははと時間帯も顧みずに笑う彼女を前に、七海は一言、煩いですよと窘めてからはぁと深くため息を吐いた。
「えへへ、夜分遅くにすみませんでした。じゃ、言いたいこと言ったんで帰りますねー」
おやすみなさーいと踵を返して帰ろうとした彼女の首根っこを七海は咄嗟に掴み止める。思わず変な声を出した彼女に七海はやれやれといった様子で言葉を紡いだ。
「全く……今何時だとお思いですか。例え呪術師といえど、女性が1人出歩くのは感心しませんね」
「え……ぷっ、あはは! 大丈夫ですよー、七海さんて意外と心配性なんですね」
「……貴女だから心配してるんですが」
「へ? うおっ!?」
バタンっと玄関の扉が閉じる音が響く。気付けば物凄い力で中へと引きずり込まれていた彼女は、玄関先でガッチリと腰を固定して迫る七海の顔と胸板を必死に押し返していた。
「なっ何ですか急に!?」
「貴女こそ何を動揺してるんですか? 心配は無用なのでは?」
「うっ……そっそれとこれとは訳が違います! 大体、七海さんは呪術師っ」
ぐっと言葉を遮るように力を込められ、背中が仰反る彼女。覆い被さるようにして吐息がかかる程至近距離にまで迫った七海の額には青筋が立っていた。
「貴女だってそうでしょう。無駄口を叩く余裕があるのなら、さっさと抵抗して見せて下さい。出来ないならこのまま……」
「っ……こ、このまま、何です?」
「…………いえ。やはり止めておきましょう」
「へ?」
暫く凝視した後、顔を上げ彼女を解放した七海は、そのまま戸締りを済ませて廊下を進んでいく。一方、拍子抜けするあまり、暫く固まっていた彼女は、脱衣所からタオルを取り出して来た七海に呼ばれ、はっとして返事をした。
「どうぞ。着替えは、大きいでしょうが私のシャツを着て下さいね。では」
要件だけを素早く済ませた七海は、さっさと部屋へ戻る。
「……私って、そんなに魅力ないのかな」
静かな廊下でポツリと寂しく彼女が呟いた。
シャワーを浴びた彼女は、気まずそうにしながら、七海の待つ部屋にと姿を見せる。七海と目が合うなり、彼女は咄嗟に口を開いた。
「あのっ……今更ながら、すみません……折角の誕生日なのに、とんだご迷惑を掛けてしまって……」
「構いませんよ。貴女が突拍子も無いのは、いつもの事なので」
それよりもと、寝るなら自身のベッドを使うようにと促した七海は、視線を再び読んでいた本に移す。どうやら、七海自身は、今夜を今座っているソファで過ごすと決めたようであった。しかしなかなかその場を動こうとしない彼女。不思議に思い、視線を本から彼女へと戻した七海は、黙って俯きながら立ち尽くす彼女に声を掛けた。
「どうかしましたか」
「え、とその……折角なら、直接お会いしてお祝いしたかったんです…………出来れば、いちばんに」
最後は消え入りそうな程小さな声で呟いた彼女は、言い終わりにおやすみなさいとだけ挨拶をして逃げるようにベッドのある部屋へと移動した。静まり返った室内。読んでいた本を片手で閉じ、ふぅと目頭を押さえながら溜め息を吐いた七海は、玄関先での彼女を思い返す。火照った顔をし、まるでその後を期待するかのように熱の孕んだ瞳を揺らして自分を見つめ返して来ていた彼女。最後の問い掛けで、ああこれは最初から……と、彼女の思惑に確信を抱いた七海は、あえて行為を中断したのだった。冷静になってみると、動機が動機なだけに、我ながらどうかしていると反省もしたわけだが。それというのが、もっと求める彼女が見てみたい、なんて己の欲望に忠実過ぎるものだった。長年拗らせてきただけあって、どうせならしっかりと言葉にして欲しい思いも勿論あったのだが。頭の中で目隠しをした軽薄男が煽ってくるのを七海は何度も掻き消していた。
「……チッ」
しかし、どうにも最後の切なげな彼女の表情が脳裏に焼き付いて消えない。腰を上げた七海は、悩んだ末、寝室を覗きに行く事にする。まさかこの後、手を出してもらえなかった事にショックを受けた彼女がぐずぐずになってるだなんて思いもしない七海は、結局、半ギレになりながらも自分の方から想いを伝える羽目になるのだからとんだ告白イベントになる。しかし、何だかんだ忘れられない特別な誕生日になるのだった。
「……まさか、それを言いにわざわざこんな時間から訪ねて来たんですか?」
「ですですー!」
時刻は深夜。任務を終え、帰宅してシャワーを浴びてから読みかけの本を読んでいた七海の元を彼女は突然訪ねてきた。大方、任務終わりに思いつきで訪ねて来たのであろう彼女の突拍子もない行動を七海は慣れた様子で受け答えしていた。
「そうですか。ところで、七海というのは私の苗字なので、あなたの言う後付けが出来るものではありませんよ」
「は! そういえばそうですね!? んと、じゃあ七海さんはこの日に生まれるべくして生まれたんですね! そう! そうに違いないです!」
「一応聞いておきますが、酔ってるんですか?」
「まさか! バリバリ任務明けでーす!」
だからか昂っちゃっててー!
そう言ってあははと時間帯も顧みずに笑う彼女を前に、七海は一言、煩いですよと窘めてからはぁと深くため息を吐いた。
「えへへ、夜分遅くにすみませんでした。じゃ、言いたいこと言ったんで帰りますねー」
おやすみなさーいと踵を返して帰ろうとした彼女の首根っこを七海は咄嗟に掴み止める。思わず変な声を出した彼女に七海はやれやれといった様子で言葉を紡いだ。
「全く……今何時だとお思いですか。例え呪術師といえど、女性が1人出歩くのは感心しませんね」
「え……ぷっ、あはは! 大丈夫ですよー、七海さんて意外と心配性なんですね」
「……貴女だから心配してるんですが」
「へ? うおっ!?」
バタンっと玄関の扉が閉じる音が響く。気付けば物凄い力で中へと引きずり込まれていた彼女は、玄関先でガッチリと腰を固定して迫る七海の顔と胸板を必死に押し返していた。
「なっ何ですか急に!?」
「貴女こそ何を動揺してるんですか? 心配は無用なのでは?」
「うっ……そっそれとこれとは訳が違います! 大体、七海さんは呪術師っ」
ぐっと言葉を遮るように力を込められ、背中が仰反る彼女。覆い被さるようにして吐息がかかる程至近距離にまで迫った七海の額には青筋が立っていた。
「貴女だってそうでしょう。無駄口を叩く余裕があるのなら、さっさと抵抗して見せて下さい。出来ないならこのまま……」
「っ……こ、このまま、何です?」
「…………いえ。やはり止めておきましょう」
「へ?」
暫く凝視した後、顔を上げ彼女を解放した七海は、そのまま戸締りを済ませて廊下を進んでいく。一方、拍子抜けするあまり、暫く固まっていた彼女は、脱衣所からタオルを取り出して来た七海に呼ばれ、はっとして返事をした。
「どうぞ。着替えは、大きいでしょうが私のシャツを着て下さいね。では」
要件だけを素早く済ませた七海は、さっさと部屋へ戻る。
「……私って、そんなに魅力ないのかな」
静かな廊下でポツリと寂しく彼女が呟いた。
シャワーを浴びた彼女は、気まずそうにしながら、七海の待つ部屋にと姿を見せる。七海と目が合うなり、彼女は咄嗟に口を開いた。
「あのっ……今更ながら、すみません……折角の誕生日なのに、とんだご迷惑を掛けてしまって……」
「構いませんよ。貴女が突拍子も無いのは、いつもの事なので」
それよりもと、寝るなら自身のベッドを使うようにと促した七海は、視線を再び読んでいた本に移す。どうやら、七海自身は、今夜を今座っているソファで過ごすと決めたようであった。しかしなかなかその場を動こうとしない彼女。不思議に思い、視線を本から彼女へと戻した七海は、黙って俯きながら立ち尽くす彼女に声を掛けた。
「どうかしましたか」
「え、とその……折角なら、直接お会いしてお祝いしたかったんです…………出来れば、いちばんに」
最後は消え入りそうな程小さな声で呟いた彼女は、言い終わりにおやすみなさいとだけ挨拶をして逃げるようにベッドのある部屋へと移動した。静まり返った室内。読んでいた本を片手で閉じ、ふぅと目頭を押さえながら溜め息を吐いた七海は、玄関先での彼女を思い返す。火照った顔をし、まるでその後を期待するかのように熱の孕んだ瞳を揺らして自分を見つめ返して来ていた彼女。最後の問い掛けで、ああこれは最初から……と、彼女の思惑に確信を抱いた七海は、あえて行為を中断したのだった。冷静になってみると、動機が動機なだけに、我ながらどうかしていると反省もしたわけだが。それというのが、もっと求める彼女が見てみたい、なんて己の欲望に忠実過ぎるものだった。長年拗らせてきただけあって、どうせならしっかりと言葉にして欲しい思いも勿論あったのだが。頭の中で目隠しをした軽薄男が煽ってくるのを七海は何度も掻き消していた。
「……チッ」
しかし、どうにも最後の切なげな彼女の表情が脳裏に焼き付いて消えない。腰を上げた七海は、悩んだ末、寝室を覗きに行く事にする。まさかこの後、手を出してもらえなかった事にショックを受けた彼女がぐずぐずになってるだなんて思いもしない七海は、結局、半ギレになりながらも自分の方から想いを伝える羽目になるのだからとんだ告白イベントになる。しかし、何だかんだ忘れられない特別な誕生日になるのだった。
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