任務帰り。偶然鉢合わせたナマエと会話をすれば、奇遇ですねと自分も任務だった事を話してくれる。
咄嗟に、いつもより元気のないことに気付き、大丈夫かとおにぎりの具で聞くけれど、ナマエはとぼけるばかりで。
仕方ないなと口元のファスナーを下ろせば、あからさまに怯んだナマエが距離を取ろうとしたので、狗巻は咄嗟にナマエの顔を両手で挟み止めた。

「…すじこ？」

「…！」

てっきり命令されるものと思い込んでいたナマエは、目を丸くして狗巻を見る。
むっとした表情をしながらも、

「いくら？…おかか？」

出てくる言葉は、ナマエを気遣う言葉ばかりで。

「い、狗巻、さん…っ」

「…しゃけ。」

堪らず、想いが涙になって溢れ出したナマエを、やれやれといった様子でそのまま抱きしめてやる狗巻。
ついでに口元のファスナーも戻して、暫くはナマエが落ち着くのをじっと待っていてくれるのだった。