「はっ…ナマエかわい…」

熱を帯びた虎杖の目が組み敷かれたナマエに向けられる。
普段はワンコみたいでどちらかといえば可愛い顔をしていると思う虎杖だが、こんな時ばかりは男らしさが際立つ彼に、ナマエは毎回きゅんきゅんして堪らなかった。

それは今日も例外では無くて。
カッコイイなぁなんて高まった熱にぼんやりとした頭で考えていれば、不意に目に止まった虎杖の目下部分が気になり手を伸ばした。

「うん？…どーかした？」

「ううん。ちょっと、気になって…。」

言いながら撫でる、半月状にあるカサブタのようなザラザラした肌触りのそこは、彼の中にいる宿儺の影響で表れたもので、所謂、宿儺の目の部分であった。
呪術師であるナマエが虎杖と知り合ったのは、勿論既に宿儺が彼の中にいる時だったので、本当の意味での彼の素顔というのはまだ見たことが無かった。
だから、こんな感じだろうかというようなつもりで、両手、親指でそれを隠して虎杖を見つめていれば、唐突に手を取り払われてしまいそのまま深めのキスをされた。

「っふ…ん、悠仁、くん？」

虎杖にしては少し乱暴なキスの仕方に違和感を覚えるナマエ。
案の定、至近距離でナマエの瞳に映る虎杖は機嫌を損ねたような目をしていた。

「今、あいつの事思い浮かべてたでしょ。」

「え？」

「なんつーか…こんな時に他の奴想像されんのは、俺が嫌なんだよね。」

我が儘でごめんな。そう言って虎杖はまた、キスを繰り返す。
私が思ってたのは悠仁くんの事だったのにな、なんて考えていたが、この後虎杖によって考え事も出来ないくらい溶かされてしまうのだから結局ナマエが誤解を解けたのは暫く後からであった。