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朝食はバイキング形式だった。
メニューが全部英語なので固まってたらアーシェングロットさんがさっさと私の分まで取り分けてくれたので、大人しくお礼を言って食べた。英語で「ありがとう」が「センキュー」なのは知ってるけど、発音に自信が無さすぎて言えない。
アーシェングロットさんもそれはわかっているようで、ぽん、と私の肩を軽く叩くだけだ。ごめんなさい言えるようになったらめちゃくちゃ言います。
美味しい朝食を詰め込み、速やかに自室に戻ると後からアーシェングロットさんが訪ねてきた。
指を鳴らした後、机の前の壁にコルクボードを取り付け、そこに紙を留める。
「これはあなたの一日のタイムスケジュールです。これに従って生活してください」
「はい」
そこには英語で『6:30 Get up』等が書かれている。
読めない……悲しい……。
「ご説明します。6時30分起床、30分で支度を終え、7時から25分までテキストを読み、30分から8時まで朝食。そこから勉強です。2時間に一回10分休憩をとり、昼休みは一時間。午後は5時まで勉強し、そこから7時までモストロ・ラウンジのVIPルームで僕が勉強を見ます。その後8時まで夕食をとり、10時まで勉強。11時までに入浴して、寝る前に10分単語を見てください」
「は、はい」
アーシェングロットさんの英語の下に、日本語で訳を書いていく。
「あと、これはあなた用の衣服です。下着は、申し訳ありませんが服の上からサイズを判断して僕が選びました。もちろんやましい思いは一切ありませんからね」
「一切」を強調しながら手に持った紙袋を渡してきた。
中をちらりと見ると、白いシャツっぽいものに黒い袋が見える。この中に下着があるんだろう。
「何から何までありがとうございます」
「いえ。あなたは異世界から突然飛ばされた身の上ですから、仕方の無いことです」
「すみません……」
それでも謝ってしまうのは日本人の性だろう。
卑屈だと受け取られそうだけども。
「あなた、昨日は何を着て寝たんです?あのお風呂上がりの格好ですか?」
「はい。食事の前に魔法で着せて頂いた服のシャツとズボンだけで寝ました。下着は仕方ないのでそのままで」
「それはそれは。すみません、さすがに昨日中には女性物は用意できなくて」
「いえいえ……」
今日用意できただけでも凄いことだ。
「僕は外で待っているので、今着替えていただけませんか?サイズが合ってるか確認したいので」
「了解しました。少々お待ちください」
アーシェングロットさんが出て行ったのを確認してドアを閉め、紙袋の中から服を出した。
シンプルなシャツとパンツと靴下が3セット入っている。色は白と黒のみ。あとカーディガンが二着、こちらも白と黒だ。
下着はスポーティーなデザインで、着け心地が良さそうなノンワイヤー。色は白や淡いブルーとピンクとパープルで、こちらは4セットある。
サイズはC65。ピッタリじゃねえかすげえな。
てかいつの間に私の体のサイズをそんな冷静に測ってたんだ。気づかなかったぞ。
取り敢えず白を着けて、白シャツと黒ズボンを着た。
「終わりました」
「開けますね」
さっとドアを開けたアーシェングロットさんは、「失礼します」と一言言って私の肩を触ったり、周囲をくるくる回ったりして確認していく。
「下着の方は、問題ありませんでしたか?」
「はい。ピッタリでしたよ」
「それはよかったです」
彼は小さく頷き、「また足りない物がありましたらいつでも仰ってくださいね」と言って去っていった。
時刻は8時30分。もう勉強を始めなくてはいけない時間だ。
「やるかー……」
まずはアルファベットからだ。
私は気合を入れて、テキストとノートを開いた。
アルファベットの勉強はさらっと終わった。
問題は単語で、これがなかなか難しい。
習った単語もあるんだけど、ちょいちょいこの世界独特のもの、例えばユニコーンやマンドラゴラやよく分からないモンスターがわからない。なんて読むのこれ。
文法は中一の4月で習うようなもの以外ズタボロだ。悲しいなあ。
ヒィヒィ言いながら午前を乗り越えると、12時に机の上にお弁当箱、多分こちらの世界で言うランチボックスが現れた。
魔法だ。
青白く光る魔法陣と微かに香る香水の香りは、魔法の使い手がアーシェングロットさんであることを示しているんだろう。
ランチボックスを開くと、中にはハムチーズのサンドイッチが入っている。傍にはなんと紅茶がカップに入って転送されてきた。
それらを美味しく頂いて、食休を挟んで勉強に戻る。
アーシェングロットさんにきっちりと組まれたタイムスケジュール通りだ。
自由時間も睡眠時間も食事の時間もガチガチに組まれているけど、私は自分で時間を管理したり予定を立てたりすることが苦手なので、これが性に合っている。
それに理解力も乏しいし鈍いから、このくらいの勉強時間をとらないと知識が頭に入らない。
なけなしの集中力をフル稼働させて、私はノートに例文を書き写し始めた。
ずっと一人で勉強していると、頭がだんだん痛くなってくる。
ずっしりと重い肩と首を回しながら初日に渡された寮服に着替えた。
まずシャツを着て、ソックスガーターをつけて、靴下を履いて固定。その上からスラックスを履き、サスペンダーをつけて、上からカマーベルトを巻き、蝶ネクタイを締めてジャケットを羽織り、仕上げに帽子とストールと手袋を装備。
男性用の夜会の礼装に似ているそれは、紳士の社交場であるモストロ・ラウンジにとても合っている。
渡された高そうな皮の鞄の中に勉強道具をしまい、部屋を出て鍵をかけ、ラウンジへ向かった。
言われた通りに裏口から入り、真っ直ぐVIPルームに進む。
指定されたリズムでノックをし、鍵が開いた音がしたら重い扉を開けて体を滑り込ませた。
パチンと指の鳴る音がする。
「時間通りですね」
「はい……」
色違いの寮服に薄紫のトレンチコートを重ねたアーシェングロットさんがこちらを見る。
「誰にも見られていませんね?」
「多分……」
「ならいいんです。どうぞお座りください」
立派な執務机の隣に据えられた、小さなデスクの前に腰を下ろす。
「見せてください」
「はい」
彼は渡したテキストとノートをじっくりと見て、「文法が苦手のようですね」と呟いた。
「単語の方も、ちょこちょこわからないのがあるんです……」
「ユニコーンやマンドラゴラやシードラゴンでしょう。あなたの世界にはいない生き物なんですから当然です。今写真をお見せします」
キーボードを素早く叩き、それぞれの写真を私の前に出す。
「シードラゴンは、海にいるモンスターです。この世界の偉人である海の魔女の家は、この動物の骨で出来ていたと言われています」
「へえ……」
「このモストロ・ラウンジの外装も、それがモチーフなんです」
確かにここの外装は不思議な生き物の骨格を象っている。それがシードラゴンなのか。
「てことは、シードラゴンってめちゃくちゃ大きいですよね?」
「ええ。とても大きな生き物なんですよ」
ユニコーンとマンドラゴラは、私が見た事のあるものだった。
抜いた時に叫ぶのも、それを聞くと死ぬのも、処女にしか懐かないのも同じだ。
その後はアーシェングロットさんの隣でひたすら文法のわからないところを教えてもらい、英会話として今日やったことを英語で説明する。
アーシェングロットさんはその間に軽やかにキーボードを叩き、帳簿をつけ、仕事を終えていく。
デキる男感が凄い。おまけにイケメンのイケボなんだからもうこちらはたまったもんじゃない。
「今日はもう終わりでいいですよ」
「はい。ありがとうございました」
送られて自室に戻ると、一気に疲れが襲ってきた。
「うあぁああああああ……」
疲れた。こんなに勉強したことないし、アーシェングロットさんはイケメンだしいい匂いするし、それが結構近い距離にいる。
こちらはただの不細工で英語の出来ない雌豚なので、そういう人といると必要以上にHPを消耗するのだ。
息臭くないかなとか考えて呼吸回数も減らして、存在感をなるべく消そうと音を出さないようにしていたし。多分アーシェングロットさんは私のような取るに足らない小物のことなんてなんとも思ってないだろうけど。
「風呂入ろ……」
寮服を脱いでハンガーにかけ、下着をとって風呂に入る。
「温泉入りたい……」
最後に湯船に浸かったのいつだっけ。この世界に来たのが昨日か。めちゃくちゃ前な気がするけど。
「和食食べたい……日本語読みたい……」
今や帰れぬ我が祖国。畳と和食、特に味噌汁。
両親はどうしてるんだろう。愛猫のみゃーこは寂しがってないかな。あいつ案外図太いから平気か。
「おばあちゃんに会いたいな……」
優しくて、会う度にたくさん食べさせようとしてくるおばあちゃん。お母さんが少しでも目を話すとちゃっとその場でおにぎりを作って口に放り込んでくる。
だいたいバレてお母さんに怒られてるけど、「いいじゃないの」とケロッとした顔をしているから面白い。
このまま帰れなかったらどうしよう。
私は英語がわからない。勉強してるしアーシェングロットさんは優しいけど、「学校」という性質上、彼はいつか卒業するのだ。私より一つ年上だし。
アーシェングロットさんに全てを頼っている現状のままだと、かなり不味い。野垂れ死にしないくらいの能力は身につけなきゃいけないな。
というか魔力の無い人間の就職先はあるのか?
お風呂を出て単語帳を10分間睨みつける。
さっきアーシェングロットさんに意味を解説してもらいながら下に日本語訳をつけたやつだ。
そしてベッドに飛び込み、明日起きたら元に戻れてないかななんて思いながら瞼を閉じた。
メニューが全部英語なので固まってたらアーシェングロットさんがさっさと私の分まで取り分けてくれたので、大人しくお礼を言って食べた。英語で「ありがとう」が「センキュー」なのは知ってるけど、発音に自信が無さすぎて言えない。
アーシェングロットさんもそれはわかっているようで、ぽん、と私の肩を軽く叩くだけだ。ごめんなさい言えるようになったらめちゃくちゃ言います。
美味しい朝食を詰め込み、速やかに自室に戻ると後からアーシェングロットさんが訪ねてきた。
指を鳴らした後、机の前の壁にコルクボードを取り付け、そこに紙を留める。
「これはあなたの一日のタイムスケジュールです。これに従って生活してください」
「はい」
そこには英語で『6:30 Get up』等が書かれている。
読めない……悲しい……。
「ご説明します。6時30分起床、30分で支度を終え、7時から25分までテキストを読み、30分から8時まで朝食。そこから勉強です。2時間に一回10分休憩をとり、昼休みは一時間。午後は5時まで勉強し、そこから7時までモストロ・ラウンジのVIPルームで僕が勉強を見ます。その後8時まで夕食をとり、10時まで勉強。11時までに入浴して、寝る前に10分単語を見てください」
「は、はい」
アーシェングロットさんの英語の下に、日本語で訳を書いていく。
「あと、これはあなた用の衣服です。下着は、申し訳ありませんが服の上からサイズを判断して僕が選びました。もちろんやましい思いは一切ありませんからね」
「一切」を強調しながら手に持った紙袋を渡してきた。
中をちらりと見ると、白いシャツっぽいものに黒い袋が見える。この中に下着があるんだろう。
「何から何までありがとうございます」
「いえ。あなたは異世界から突然飛ばされた身の上ですから、仕方の無いことです」
「すみません……」
それでも謝ってしまうのは日本人の性だろう。
卑屈だと受け取られそうだけども。
「あなた、昨日は何を着て寝たんです?あのお風呂上がりの格好ですか?」
「はい。食事の前に魔法で着せて頂いた服のシャツとズボンだけで寝ました。下着は仕方ないのでそのままで」
「それはそれは。すみません、さすがに昨日中には女性物は用意できなくて」
「いえいえ……」
今日用意できただけでも凄いことだ。
「僕は外で待っているので、今着替えていただけませんか?サイズが合ってるか確認したいので」
「了解しました。少々お待ちください」
アーシェングロットさんが出て行ったのを確認してドアを閉め、紙袋の中から服を出した。
シンプルなシャツとパンツと靴下が3セット入っている。色は白と黒のみ。あとカーディガンが二着、こちらも白と黒だ。
下着はスポーティーなデザインで、着け心地が良さそうなノンワイヤー。色は白や淡いブルーとピンクとパープルで、こちらは4セットある。
サイズはC65。ピッタリじゃねえかすげえな。
てかいつの間に私の体のサイズをそんな冷静に測ってたんだ。気づかなかったぞ。
取り敢えず白を着けて、白シャツと黒ズボンを着た。
「終わりました」
「開けますね」
さっとドアを開けたアーシェングロットさんは、「失礼します」と一言言って私の肩を触ったり、周囲をくるくる回ったりして確認していく。
「下着の方は、問題ありませんでしたか?」
「はい。ピッタリでしたよ」
「それはよかったです」
彼は小さく頷き、「また足りない物がありましたらいつでも仰ってくださいね」と言って去っていった。
時刻は8時30分。もう勉強を始めなくてはいけない時間だ。
「やるかー……」
まずはアルファベットからだ。
私は気合を入れて、テキストとノートを開いた。
アルファベットの勉強はさらっと終わった。
問題は単語で、これがなかなか難しい。
習った単語もあるんだけど、ちょいちょいこの世界独特のもの、例えばユニコーンやマンドラゴラやよく分からないモンスターがわからない。なんて読むのこれ。
文法は中一の4月で習うようなもの以外ズタボロだ。悲しいなあ。
ヒィヒィ言いながら午前を乗り越えると、12時に机の上にお弁当箱、多分こちらの世界で言うランチボックスが現れた。
魔法だ。
青白く光る魔法陣と微かに香る香水の香りは、魔法の使い手がアーシェングロットさんであることを示しているんだろう。
ランチボックスを開くと、中にはハムチーズのサンドイッチが入っている。傍にはなんと紅茶がカップに入って転送されてきた。
それらを美味しく頂いて、食休を挟んで勉強に戻る。
アーシェングロットさんにきっちりと組まれたタイムスケジュール通りだ。
自由時間も睡眠時間も食事の時間もガチガチに組まれているけど、私は自分で時間を管理したり予定を立てたりすることが苦手なので、これが性に合っている。
それに理解力も乏しいし鈍いから、このくらいの勉強時間をとらないと知識が頭に入らない。
なけなしの集中力をフル稼働させて、私はノートに例文を書き写し始めた。
ずっと一人で勉強していると、頭がだんだん痛くなってくる。
ずっしりと重い肩と首を回しながら初日に渡された寮服に着替えた。
まずシャツを着て、ソックスガーターをつけて、靴下を履いて固定。その上からスラックスを履き、サスペンダーをつけて、上からカマーベルトを巻き、蝶ネクタイを締めてジャケットを羽織り、仕上げに帽子とストールと手袋を装備。
男性用の夜会の礼装に似ているそれは、紳士の社交場であるモストロ・ラウンジにとても合っている。
渡された高そうな皮の鞄の中に勉強道具をしまい、部屋を出て鍵をかけ、ラウンジへ向かった。
言われた通りに裏口から入り、真っ直ぐVIPルームに進む。
指定されたリズムでノックをし、鍵が開いた音がしたら重い扉を開けて体を滑り込ませた。
パチンと指の鳴る音がする。
「時間通りですね」
「はい……」
色違いの寮服に薄紫のトレンチコートを重ねたアーシェングロットさんがこちらを見る。
「誰にも見られていませんね?」
「多分……」
「ならいいんです。どうぞお座りください」
立派な執務机の隣に据えられた、小さなデスクの前に腰を下ろす。
「見せてください」
「はい」
彼は渡したテキストとノートをじっくりと見て、「文法が苦手のようですね」と呟いた。
「単語の方も、ちょこちょこわからないのがあるんです……」
「ユニコーンやマンドラゴラやシードラゴンでしょう。あなたの世界にはいない生き物なんですから当然です。今写真をお見せします」
キーボードを素早く叩き、それぞれの写真を私の前に出す。
「シードラゴンは、海にいるモンスターです。この世界の偉人である海の魔女の家は、この動物の骨で出来ていたと言われています」
「へえ……」
「このモストロ・ラウンジの外装も、それがモチーフなんです」
確かにここの外装は不思議な生き物の骨格を象っている。それがシードラゴンなのか。
「てことは、シードラゴンってめちゃくちゃ大きいですよね?」
「ええ。とても大きな生き物なんですよ」
ユニコーンとマンドラゴラは、私が見た事のあるものだった。
抜いた時に叫ぶのも、それを聞くと死ぬのも、処女にしか懐かないのも同じだ。
その後はアーシェングロットさんの隣でひたすら文法のわからないところを教えてもらい、英会話として今日やったことを英語で説明する。
アーシェングロットさんはその間に軽やかにキーボードを叩き、帳簿をつけ、仕事を終えていく。
デキる男感が凄い。おまけにイケメンのイケボなんだからもうこちらはたまったもんじゃない。
「今日はもう終わりでいいですよ」
「はい。ありがとうございました」
送られて自室に戻ると、一気に疲れが襲ってきた。
「うあぁああああああ……」
疲れた。こんなに勉強したことないし、アーシェングロットさんはイケメンだしいい匂いするし、それが結構近い距離にいる。
こちらはただの不細工で英語の出来ない雌豚なので、そういう人といると必要以上にHPを消耗するのだ。
息臭くないかなとか考えて呼吸回数も減らして、存在感をなるべく消そうと音を出さないようにしていたし。多分アーシェングロットさんは私のような取るに足らない小物のことなんてなんとも思ってないだろうけど。
「風呂入ろ……」
寮服を脱いでハンガーにかけ、下着をとって風呂に入る。
「温泉入りたい……」
最後に湯船に浸かったのいつだっけ。この世界に来たのが昨日か。めちゃくちゃ前な気がするけど。
「和食食べたい……日本語読みたい……」
今や帰れぬ我が祖国。畳と和食、特に味噌汁。
両親はどうしてるんだろう。愛猫のみゃーこは寂しがってないかな。あいつ案外図太いから平気か。
「おばあちゃんに会いたいな……」
優しくて、会う度にたくさん食べさせようとしてくるおばあちゃん。お母さんが少しでも目を話すとちゃっとその場でおにぎりを作って口に放り込んでくる。
だいたいバレてお母さんに怒られてるけど、「いいじゃないの」とケロッとした顔をしているから面白い。
このまま帰れなかったらどうしよう。
私は英語がわからない。勉強してるしアーシェングロットさんは優しいけど、「学校」という性質上、彼はいつか卒業するのだ。私より一つ年上だし。
アーシェングロットさんに全てを頼っている現状のままだと、かなり不味い。野垂れ死にしないくらいの能力は身につけなきゃいけないな。
というか魔力の無い人間の就職先はあるのか?
お風呂を出て単語帳を10分間睨みつける。
さっきアーシェングロットさんに意味を解説してもらいながら下に日本語訳をつけたやつだ。
そしてベッドに飛び込み、明日起きたら元に戻れてないかななんて思いながら瞼を閉じた。