これは恋か友情か
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昼休みになった。
二時間目終わりにやってきたトレイ先輩から「リドルはまた二人きりがいいらしい」と言われたので、今回はグリムのことを先輩に預けることにした。
文句を言われるかと思ったけど、なんか含みのある顔で「いいんだゾ。オレ様大人しくしてるからな!」と肉球つきのおててを振って送り出してくれた。いつもこんな感じでいて欲しい。
ということで私は一人でダッシュで学食でサンドイッチを包んでもらい、指定された裏庭へ走った。そこでご飯も済ます作戦だ。
寮長はすぐに見つかった。
ただでさえ人気のない裏庭の隅っこのベンチに腰掛けている。
俯き気味の顔はほんのりと赤く、小さな唇をきゅっと引き結んでいる姿はこの上なく可愛い。
「リドル寮長。お待たせしてすみません」
「あ、ああ。来たね、待っていたよ」
隣に座れと大きなグレーの瞳が訴えてくる。
「失礼します」
「あっ、ああ……」
またなんか緊張してるっぽい。
お互い様なのかもしれないけど。
「寮長はご飯済ませましたか?」
「いや。今日はもうここで食べようと思って、持ってきたんだ」
「奇遇ですね。私もです。一緒に食べますか?」
「ああ」
この学園の学食は簡易的なものならテイクアウトもやってくれる。水分も付けてくれるから、結構便利だ。
「寮長もサンドイッチなんですね」
「う、うん。君もなんだね」
「はい。食べやすくて好きなんです、これ」
レタスとハムとソースはやっぱりいいよね。元の世界でもコンビニ行くとこればっか食べてたな。
それから食べながらぽつぽつと会話をし、何となく落ち着いてきた頃を見計らって本題を出した。
「あの、リドル寮長。お手紙読みました」
「あ、ありがとう。あのメッセージには……」
「気づきました。炙りですよね」
「ああ。本当は直接言うべきなんだろうけど……初めてだから、どうも気恥ずかしくて……。済まないね、あんなまわりくどいやり方をして」
「いえ、気づいたからいいんですよ」
リドル寮長は少しほっとした顔をして、またすぐきゅっと引き締めた。
「そ、それで……君は、ボクと……その、お友達になってくれるかい?」
真っ赤だ。
「いいですよ。友達になりましょう」
あんまり溜めるのも気の毒なので、スパッと言いきった。
その瞬間の寮長の顔と言ったらもうなんか凄い。奇跡。創造神の最高傑作。守りたいこの笑顔。
「先輩なので、敬語は抜けないかもしれませんが、それでも良ければ……」
「そんなことは別に気にしなくていいよ。よかった……」
その胸に手を当てる仕草は無意識ですか。可愛すぎるので今すぐ銅像作りますか?
その後は和やかに図書館の本とか最近の勉強とかの話をし、きっちり時間で解散した。
「どうだったんだゾ?!」
教室に戻ると、グリムがまたすっ飛んできた。
「大丈夫だったよ。一緒にご飯食べて友達になった」
「それはよかったんだゾ。友達は多い方が楽しいからな!」
やっぱりニヤニヤするグリム。
ケイト先輩と同じことを考えてるんだろう。
流石にリドル寮長もそっちは考えてないと思うけどな。私背高いし、何だったら寮長見下ろせるし。
放課後、エースの部屋にリドル寮長以外の面子が集合した。
「俺らの知らないところでそんなことに……」
「リドル寮長とお友達か……」
エースとデュースは目を丸くし、先輩二人は「よかったよかった」と親みたいな顔をしていた。
「リドル、嬉しそうだったぞ」
「ねー!あんなににこにこしてるの初めて見た」
「リドルにとっては初の女友達だからな」
なんかみんな顔がニヤけてる。
「それさ、寮長、お前に気があるんじゃないのか?」
「お友達でか?」
ニヤけながら指摘してくるエースに、普通に驚くデュース。
「わざわざ手紙まで出して、二人きりでってのは気になるよね〜。普通にご飯デートじゃね?」
ケイト先輩がノり、トレイ先輩も「確かに」と同意する。
「オレ様いちゃダメなのが気になるんだゾ!」
多分今後も席を外さないといけなくなるであろうグリムも言う。
「ユウちゃんがどうかは置いといて、リドルくんは恋とまではいかなくても、すごく気になる、ほっとけない、くらいには思ってそう」
この個性つよつよの面子でここまで意見が一致するなんて珍しい。
私だけなのかな、ただの友情で、恋慕なんて無いと思っているのは。
デュースもちゃんと説明されてからは「それは、寮長はユウに好意を抱いているということなののではないか?」と言い出した。
「そっかあリドルくんに春が来たかあ」
「春ってそんな……。まだ確定した訳では無いですし」
「でもさユウちゃん、考えてみて?」
ケイト先輩が真剣な顔でこちらを見る。
「いくら恋愛に疎くて人間関係初心者とはいえ、男が何とも思ってない女の子にわざわざ手紙まで渡して、二人きりで会いたがると思う?」
「いや……思わないですね」
「いくらユウちゃんに恩義を感じていたとしても、あんなに照れたりそわそわしたりするってさ、それって友情に当てはめるにはちょっと違和感ない?」
「それもそうですけど」
「特に今のリドルくんはもう恋する乙女みたいな顔してるし。ちょっと赤くしてぽわぽわしてるし、表情だってへにゃへにゃだよ」
「へ、へにゃへにゃ……」
「ケイトの言う通りだ。リドルはここ最近上の空で、授業こそしっかり受けているがその他は心ここに在らずといった感じでな。好きな人がいる女子と同じオーラだぞ」
トレイ先輩も真顔で言う。
「しかも、ユウに会ってそんなに照れてるならもうリドルはクロに近い。明らかに気がある」
「そんな断定します?」
「するね」
エースは当然のように頷いた。
「俺だってどうでもいい女にはそんなことしねえし、そんな風になんねえもん。寮長はお前のこと好きなんだよ」
「俺もそう思うぞ」
デュースも加勢し、完全に話が「リドル寮長は私に気がある」方向に流れている。
グリムも「そうだゾ!ユウも気づいた方がいいんだゾ!」と胸を張ってるし、彼もあちら側の人間……いやモンスターだろう。
「でも私、寮長に好かれること何もしてないんです。ハンカチ貸してちょっとお見舞い行っただけで……」
「え、それだけ?」
「なんかお見舞いでいいこと言ったんじゃね?」
「それともリドルくんが惚れっぽいとか?」
「寮長が惚れっぽいなんてあります?」
「いや……どうだろう」
不思議だ。
まだ出会って日も浅いし、何か特別なアクションをしたわけでもないのに。
「もう寝る時間じゃん」
「戻らねえと」
いつの間にか時刻は10時を過ぎていた。
急いで帰って寝ないと、明日が危ない。
「じゃあねエース」
「おう、またな」
二時間目終わりにやってきたトレイ先輩から「リドルはまた二人きりがいいらしい」と言われたので、今回はグリムのことを先輩に預けることにした。
文句を言われるかと思ったけど、なんか含みのある顔で「いいんだゾ。オレ様大人しくしてるからな!」と肉球つきのおててを振って送り出してくれた。いつもこんな感じでいて欲しい。
ということで私は一人でダッシュで学食でサンドイッチを包んでもらい、指定された裏庭へ走った。そこでご飯も済ます作戦だ。
寮長はすぐに見つかった。
ただでさえ人気のない裏庭の隅っこのベンチに腰掛けている。
俯き気味の顔はほんのりと赤く、小さな唇をきゅっと引き結んでいる姿はこの上なく可愛い。
「リドル寮長。お待たせしてすみません」
「あ、ああ。来たね、待っていたよ」
隣に座れと大きなグレーの瞳が訴えてくる。
「失礼します」
「あっ、ああ……」
またなんか緊張してるっぽい。
お互い様なのかもしれないけど。
「寮長はご飯済ませましたか?」
「いや。今日はもうここで食べようと思って、持ってきたんだ」
「奇遇ですね。私もです。一緒に食べますか?」
「ああ」
この学園の学食は簡易的なものならテイクアウトもやってくれる。水分も付けてくれるから、結構便利だ。
「寮長もサンドイッチなんですね」
「う、うん。君もなんだね」
「はい。食べやすくて好きなんです、これ」
レタスとハムとソースはやっぱりいいよね。元の世界でもコンビニ行くとこればっか食べてたな。
それから食べながらぽつぽつと会話をし、何となく落ち着いてきた頃を見計らって本題を出した。
「あの、リドル寮長。お手紙読みました」
「あ、ありがとう。あのメッセージには……」
「気づきました。炙りですよね」
「ああ。本当は直接言うべきなんだろうけど……初めてだから、どうも気恥ずかしくて……。済まないね、あんなまわりくどいやり方をして」
「いえ、気づいたからいいんですよ」
リドル寮長は少しほっとした顔をして、またすぐきゅっと引き締めた。
「そ、それで……君は、ボクと……その、お友達になってくれるかい?」
真っ赤だ。
「いいですよ。友達になりましょう」
あんまり溜めるのも気の毒なので、スパッと言いきった。
その瞬間の寮長の顔と言ったらもうなんか凄い。奇跡。創造神の最高傑作。守りたいこの笑顔。
「先輩なので、敬語は抜けないかもしれませんが、それでも良ければ……」
「そんなことは別に気にしなくていいよ。よかった……」
その胸に手を当てる仕草は無意識ですか。可愛すぎるので今すぐ銅像作りますか?
その後は和やかに図書館の本とか最近の勉強とかの話をし、きっちり時間で解散した。
「どうだったんだゾ?!」
教室に戻ると、グリムがまたすっ飛んできた。
「大丈夫だったよ。一緒にご飯食べて友達になった」
「それはよかったんだゾ。友達は多い方が楽しいからな!」
やっぱりニヤニヤするグリム。
ケイト先輩と同じことを考えてるんだろう。
流石にリドル寮長もそっちは考えてないと思うけどな。私背高いし、何だったら寮長見下ろせるし。
放課後、エースの部屋にリドル寮長以外の面子が集合した。
「俺らの知らないところでそんなことに……」
「リドル寮長とお友達か……」
エースとデュースは目を丸くし、先輩二人は「よかったよかった」と親みたいな顔をしていた。
「リドル、嬉しそうだったぞ」
「ねー!あんなににこにこしてるの初めて見た」
「リドルにとっては初の女友達だからな」
なんかみんな顔がニヤけてる。
「それさ、寮長、お前に気があるんじゃないのか?」
「お友達でか?」
ニヤけながら指摘してくるエースに、普通に驚くデュース。
「わざわざ手紙まで出して、二人きりでってのは気になるよね〜。普通にご飯デートじゃね?」
ケイト先輩がノり、トレイ先輩も「確かに」と同意する。
「オレ様いちゃダメなのが気になるんだゾ!」
多分今後も席を外さないといけなくなるであろうグリムも言う。
「ユウちゃんがどうかは置いといて、リドルくんは恋とまではいかなくても、すごく気になる、ほっとけない、くらいには思ってそう」
この個性つよつよの面子でここまで意見が一致するなんて珍しい。
私だけなのかな、ただの友情で、恋慕なんて無いと思っているのは。
デュースもちゃんと説明されてからは「それは、寮長はユウに好意を抱いているということなののではないか?」と言い出した。
「そっかあリドルくんに春が来たかあ」
「春ってそんな……。まだ確定した訳では無いですし」
「でもさユウちゃん、考えてみて?」
ケイト先輩が真剣な顔でこちらを見る。
「いくら恋愛に疎くて人間関係初心者とはいえ、男が何とも思ってない女の子にわざわざ手紙まで渡して、二人きりで会いたがると思う?」
「いや……思わないですね」
「いくらユウちゃんに恩義を感じていたとしても、あんなに照れたりそわそわしたりするってさ、それって友情に当てはめるにはちょっと違和感ない?」
「それもそうですけど」
「特に今のリドルくんはもう恋する乙女みたいな顔してるし。ちょっと赤くしてぽわぽわしてるし、表情だってへにゃへにゃだよ」
「へ、へにゃへにゃ……」
「ケイトの言う通りだ。リドルはここ最近上の空で、授業こそしっかり受けているがその他は心ここに在らずといった感じでな。好きな人がいる女子と同じオーラだぞ」
トレイ先輩も真顔で言う。
「しかも、ユウに会ってそんなに照れてるならもうリドルはクロに近い。明らかに気がある」
「そんな断定します?」
「するね」
エースは当然のように頷いた。
「俺だってどうでもいい女にはそんなことしねえし、そんな風になんねえもん。寮長はお前のこと好きなんだよ」
「俺もそう思うぞ」
デュースも加勢し、完全に話が「リドル寮長は私に気がある」方向に流れている。
グリムも「そうだゾ!ユウも気づいた方がいいんだゾ!」と胸を張ってるし、彼もあちら側の人間……いやモンスターだろう。
「でも私、寮長に好かれること何もしてないんです。ハンカチ貸してちょっとお見舞い行っただけで……」
「え、それだけ?」
「なんかお見舞いでいいこと言ったんじゃね?」
「それともリドルくんが惚れっぽいとか?」
「寮長が惚れっぽいなんてあります?」
「いや……どうだろう」
不思議だ。
まだ出会って日も浅いし、何か特別なアクションをしたわけでもないのに。
「もう寝る時間じゃん」
「戻らねえと」
いつの間にか時刻は10時を過ぎていた。
急いで帰って寝ないと、明日が危ない。
「じゃあねエース」
「おう、またな」