第一章
夢小説設定
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「次は華殿のことを教えてください」
陣内左衛門に促され、華はゆっくりと話し始めた。
「わ、私はアカツキ屋の次女華と申します。上に家を継いだ兄がおり、四年前に嫁いだ姉がおります」
「はい、それは存じてます。他には」
そう言われて華は戸惑った。
「お聞かせできることなど私には何も…」
それを聞き、陣内左衛門は少し上を向いて考えた後、こう言った。
「では、貴女は何故私との結婚を承諾なさいましたか」
「それは……高坂様があまりに正直な方だと感じたから」
陣内左衛門は目を丸くした。
「それは、褒めているのですか」
「も、もちろんですっ!あの、私の家の周りは…商売上仕方ないのかもしれませんが、嘘やお世辞などが飛び交っていたので。だから、高坂様のように偽りなく接してくださるのが、私にはとても嬉しくて」
そう言ってから華は彼が真顔なままであることに気が付き、気を悪くしてないだろうかと慌てた。
「あの、ごめんなさい……私、失礼なことを言ったでしょうか…」
「何も謝ることはありません。ただ先ほどから少し気になっていることがありまして」
陣内左衛門はそう告げると、ふぅと軽く溜め息をついた。
「あの、華殿」
「は、はいっ」
「私達は夫婦になったのですから、私を"高坂"と呼ぶのはいささかおかしいのではないですか?」
"夫婦"
その言葉を頭で反芻すると再び華の心臓が跳び跳ねた。
「あ……はい。えっと、では……じ、陣内左衛門様、と」
「はい」
「私もどうぞ、"華"とお呼びください」
「華」
「は、はい」
「そろそろ、休みましょう」
「は、はいっ」
「心配せずとも、貴女が嫌がることはしないと申したでしょう?もし気が休まらないのであればもう少し布団を離しても…」
「い、いえっ!!」
華の声が思ったより大きくて陣内左衛門は驚いて、見つめる。華はハッとして声を落とした。
「いえ……お側にいさせていただけると嬉しいです」
「では、そうします」
陣内左衛門が灯りを消すとふたりで並べた布団に入る。
「あの、陣内左衛門様」
目を閉じようとしたところで、華が声をかけてきた。暗がりがかえって安心を与えているのか、彼女の声は先程よりも明るく聞こえた。
「はい」
「私はあまり気のつく方ではありませんが、精一杯貴方様をお支えしたいと思っておりますので、なんでもおっしゃってくださると嬉しいです。努力しますので…どうぞお願いいたします」
陣内左衛門は、彼女のいじらしさに愛しさのようなものを感じた。だが、それが恋だの愛だのとは思えるほど彼女を知らない。ただこの人を大切にしよう、とそれだけは己に誓った。