第一章
夢小説設定
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「では、お邪魔しました」
日が暮れる前に陣内左衛門と華は深々と頭を下げて昆奈門夫婦の家を出た。
「また来てくださいね。今日はお会いできて嬉しかったです」
志乃が赤子を抱っこしたまま華に目を向けた。見つめられた華は少し頬を染めて答える。
「こちらこそっ!志乃様とお話ができて嬉しく思いました。赤様もとっても可愛らしくて…あの抱かせていただいてありがとうございました」
再度頭を下げると志乃と昆奈門はにこやかに手を振った。
去り際、昆奈門が志乃の肩を抱くのが見えた。その三人の姿があまりにも美しくて華はため息が出る。
「華さん、どうしました」
「すごく、素敵なご夫婦だったのでつい。陣内左衛門様の言う通りとても似合いのお二人でした。赤様もとても可愛かった」
陣内左衛門には正直赤子の可愛さというのがピンと来なかった。腹の膨れた志乃を見ていたからこんなものが入っていたのかと驚きと感動はあったが、赤子は小さくてふにゃふにゃで心もとない。抱いた感想はそれだけだ。しかし、昆奈門を見ているとこれでもかという位愛おしく思っていることは分かった。自分もいずれ子ができれば気持ちが分かるのかもしれない。それにしても華の感想を聞くに、女というものは無条件に赤子を可愛く思ってしまう生き物らしい。
「それから、志乃様とお話ができて本当に嬉しかったです。凛としていてとても素敵な方でした」
頬を染めながらそのように語る妻に昆奈門の言葉が蘇ってきた。
「…もしや、本当に惚れてしまったのではないでしょうね」
「え?」
「志乃に…」
「……」
華がきょとんとして見つめてきたので、陣内左衛門は己の言が恥ずかしくなって目線を反らせた。
「あ…ふふっ、確かに、とてもかっこ良い方でしたけれど」
「貴女は私の妻ですよ。ゆめゆめお忘れなきように」
そう言って陣内左衛門が華の肩を抱くと、華と目が合う。彼女は頬を染めて「はい」と小さく返事をした。
可愛い。
先程見たばかりの赤子より、何より、華が可愛いくて愛おしい。
今宵もこの人を抱きたいと思った。この人の全てを暴きたい。恥じらう顔も、感じる声も、全てを我が物にしたい。
女に対してこのような想いを抱いたのは初めてだった。
これはもう、確実に華に惚れているのだろうなと陣内左衛門は思った。