第一章 出逢う
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「ごめんください」
利吉は父を訪ねるために忍術学園の門を叩いた。戸を開けてくれたのは想像していた気の抜けた笑顔とは違い、明るい華やかな笑顔だった。
「あれ、あなたは……」
忍の性か、利吉は少し警戒したが、彼女はしっかりと説明をしてくれた。
「あ、初めまして。今、小松田さんは怪我で休職中でして、代わりに臨時で事務員をしてます。茶々子と申します」
茶々子がじっと顔を覗き込んでくる。
「あの、もしかして利吉さんですか?」
「え、えぇ」
「やっぱり!お噂は聞いてます。とても優秀なフリーの忍者だと。目元が山田先生に似てらっしゃいますね」
話しながら入門表をすっと手渡してくる。手際が良い。
利吉はさらさらと名前を書くと茶々子に手渡した。
「ありがとうございます」
「あの、臨時とおっしゃいましたがいつから?」
「まだ七日ほどです」
「それにしては随分手慣れてらっしゃる」
「家の仕事を手伝っていたからでしょうか。たくさんのお客様と接する機会があったもので。でも休職中の小松田さんはどんな侵入者も見逃さないすごい方だと聞きました」
「あー……まぁ確かにそうなんですが、彼はこの仕事に執着しているところがあって……」
利吉はいつものマニュアル小僧を思い浮かべて苦笑した。
「なんですか、それ」
茶々子がくすくすと笑うと利吉もつられて笑ってしまう。
「会えばわかりますよ。基本的にはけっこう抜けている事務員ですが、まあ皆からは愛されてますね」
「それはお会いしたいですね。あ、そうだ。山田先生なら職員室にいらっしゃいました。ご案内しますか?」
「いや、貴女も忙しいでしょう?私は馴れているので大丈夫。ありがとうございます」
利吉が軽く頭を下げて向かうと、にこにこと見送ってくれた。
なんとも可愛らしい人だ。
見たところ、彼女はそういうタイプの人間なのだろう。
明るくて警戒心が薄く、愛想が良い。
彼女を相手にすると誰しも自分が好かれていると思ってしまうのではないだろうか。しかも彼女のそれは作ったものではなく、天然物だ。
利吉はつい仕事以外でも初対面の人を分析してしまう癖がある。自分のことを含めいつも客観視してしまう為、昔馴染み以外と深い間柄にはなりにくい。仕事だけしていれば特に問題はないが、いつもそんなことでは恋人もできやしないと父から言われていることを利吉は思い出した。