第四章(留三郎ルート)波打ち際<完結>
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これ以上近づかないようにするか
押しまくって潔くフラれにいくか
留三郎はこの二択に迫られた。それが仙蔵から提示された二択なのが憎いところだが、留三郎自身もそれしかないような気がしてしまっていた。
「今の留三郎は相手を気遣うふりをして自分が傷付かないよう予防しているただの腑抜けだ。そのままでこの先文次郎に勝てると思うか」
去り際に仙蔵がそう言った。
妙に刺さる。
悔しいがその言葉で焚き付けられた。
よし、勝負に出よう。
全てぶつけてこようと決意した。
格好が付かなくともみっともなくとも良い。
貴女の特別になりたい、してくれと。
貴女に惚れてから、貴女のことを考えない日はなかったと。ひたむきに努力する姿が素敵だったと。貴女が気持ちを込めて作ってくれた飯がとんでもなく旨かったと。貴女に近づく男どもを皆蹴散らしてやりたかったと。月見の夜、貴女の杯に口を付けた同室を恨んだと。土井先生と並ぶ貴女を見るのが辛かったと。本当は、学園を去った後も貴女の気持ち関係なく自ら会いに行きたいくらいだと。名を呼んでくれて、とてつもなく嬉しかったと。貴女ともっと話したい、貴女に触れてみたい…それを自分だけの権利にしたい……つまりは
恋仲になりたいと。
忍者の三禁は解っている。
でも貴女さえいれば溺れはしない。きっとそれだけで満たされてしまうから。それほどに、茶々子さんだけが欲しい。
留三郎は頭の中で茶々子を想う言葉が溢れて止まらなかった。これをそのまま伝えればきっと引かれるに違いない。しかし、それでも良い。いっそ、茶々子が困ってしまえば良いとすら思った。
もう日が落ちる。
その前に、伝えたい。こうしている今も誰かが彼女を想い、彼女に近付こうとしているかもしれない。留三郎は茶々子のいそうな場所を急いで探し回っていた。
すると
「留三郎くーん」
と茶々子の自分を呼ぶ声が聞こえた。
その声を聞いただけで、脳が溶けるような心地がする。
「茶々子さん」
駆け寄ると、彼女は真剣な顔をして
「話があるの。聞いてくれる?」
と言う。
溢れる想いが口先を出かかっていたのを抑え、留三郎は
「もちろん聞きます。その代わり、俺の話も聞いてください」
と答えた。