第四章(伊作ルート)蕾<完結>
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「茶々子さん、どうですか」
伊作に詰め寄られても、茶々子はどうすることもできずにいた。
この気持ちは恐らく彼の言うように嫉妬なのだろう。かといって、伊作に対する気持ちが"恋"だと言うには心許ない。決定付けるだけの経験も茶々子にはなかった。
「あ、あの、伊作くん……」
「すみません、焦ってしまいました」
ふ、と表情を緩めて伊作は言った。
「茶々子さんを困らせるつもりはなかったんです」
「伊作くん、私は…」
「今無理に答えを出さなくても良いですよ。僕はまだ半人前だ。茶々子さんを男として引っ張って行くには頼りないと自分でも思います」
「そんなこと…」
「いえ、僕自身がそう感じているんです。でもきっと茶々子さんに想われるような男になってみせます。だから、茶々子さんが学園を去った後も会う許可をください。今は、それだけで十分です」
伊作は茶々子の手を包んだまま、言った。それから、あっ、と声を上げて
「茶々子さんが、会いたいと思ってくれればの話ですけど…」
と少し自信なさげに付け加えた。
茶々子は泣きそうになった。
あまりにも優しい伊作に、申し訳ない気持ちよりも嬉しいという気持ちが上回ってきている。彼の優しさが今、自分だけに向けられている。
「……うん。私も伊作くんに会いたいよ。学園を去った後も」
「良かった…」
伊作は照れ臭そうに笑いながら言った。
きっと、好きになるんだろうなと茶々子は思った。そうなりたいと感じている。
「確認だけど、私五歳も上だよ。研ぎに夢中になって婚期逃してるような女なの。それでも良いの?」
「歳は関係ないって言ってるじゃないですか。それに、僕は茶々子さんの頑張ってる手が好きです」
「……ありがとう。そんなふうに言われたの初めて」
伊作はそれを聞いて茶々子の手を見つめたかと思うとそれを自分の近くに持って眺めた。それから、そっと音もなく口付けた。
「!!!」
思いもよらぬ彼の行動に茶々子は赤面したが、伊作の手を振りほどくことはしなかった。
『伊作ルート 蕾』終
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