第四章(伊作ルート)蕾
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「これ、着てくださいね。濡れたものこっちに干しておくので」
「すみません。お仕事中でしょうにご迷惑おかけして。でも、とても助かりました」
「いえいえ、こんな雨じゃお客さんも来ませんから、お気になさらず!」
薬屋の娘はハキハキと話し、てきぱきと動く。
しっかりした子だなぁと茶々子が感心していると、着替えの途中にじっと顔を覗き込まれた。
「あの……?」
「お姉さん、伊作くんの恋人ですか?」
「いや、そういうわけじゃ」
「違ったかぁ。あ、ごめんなさい着替え止めちゃって」
「いえいえ」
「姉弟ってわけでは……ないですよね」
そう言われると、伊作に対して弟を見るような気持ちなのかもしれないと思った。可愛くて、安心できて、少し心配になることもあって。もし、自分に弟がいたらそういう感じなのかもという気もする。
「違いますけど、それに近いかも」
ところで彼女はどういう意図で私たちの関係を聞いてきたのだろうと茶々子は少し勘ぐった。
知り合いの薬屋さんだと伊作から聞いたが、この子とはずいぶん親しげに見える。年も同じくらいだろうか。もしかして伊作に好意があるとか?そうだとしたらけっこうお似合いかも……
そんなことを考えると茶々子はなぜかちくりと胸が痛むのを感じた。
「そうなんですか?私には少し違って見えました」
薬屋の娘がそう言うと、茶々子は狼狽えてしまった。
「えっと、違うというと?」
「だって伊作くん、いつもと雰囲気違うから。姉弟には見えませんでした」
首をかしげていると、彼女はさらに続けた。
「なんというか、いつもより男っぽくて。薬や怪我人に向かう真剣さとはまた違うような顔してました」
「それは……」
「きっと、"大切な人"なんだろうなと」
茶々子は胸がきゅぅっと締め付けられた。
伊作からの好意は、一時のものと片付けて良いのだろうか。私はやはり真剣に向き合えていないのではないか。
色恋に疎いからと返事を曖昧にして、ただ五つも下の子から寄せられる好意に心地良さを感じちゃってるだけなんじゃないの、と自分を責めたくなった。
「私、伊作くん好きなので、彼には幸せになって欲しいんですよね」
そう呟いた彼女を見ると、少し寂しそうな笑顔があった。茶々子が何も答えられずにいると、
「白湯を持ってきますね」
と彼女は部屋を出ていった。
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