第四章(土井ルート)隠せりと為すか<完結>
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茶々子は半助に会おうとしても会えず、気持ちのやり場がなくて困ってしまっていた。
タソガレドキのふたりに結婚を考える仲だと公言された上、唐突に「好きだ」と言われ、向こうから言ってきたでぇとの誘いも放置されている。
「半助さん…」
彼の名を呟くと妙にくすぐったい。
きっとそれは初めて名を呼んだときの彼の表情が浮かぶからだ。散々こちらが気になるように仕向けておいて、あれはズルい。年上の殿方に可愛いなどと思ったのは初めてだった。
あれから、どうして避けるのだろう。
本気にしてもらいたくなかったとか?
でも前は私に本気だって言ってたのに。
彼の気持ちが分からない。
このモヤモヤとした想いはなんだろう。
好きになりたい、と思えた人だった。
優しくて少し意地悪で眼差しがとても柔らかくて動きがキレイで、でもちょっと何を考えているのか分からなくて……
彼の芯に触れてみたかった。
彼に想われて、自分も彼を想えたらとても素敵なことだと思った。
でも、彼の本音が分からない。
忍ってそういうもの?
そうだとしたら忍刀なんて一生研げない。
それは私が未熟だからだろうか。
考えすぎて頭が痛い。
本を読む気にもならない。
寝付ける気はしないが今日はもう横になろうと思い灯りを消したところで、なにやら物音がして身構えた。
「なに……?誰かいる?」
「茶々子さん、私です」
この声は……
「土井せんせっ」
半助が茶々子の口を塞ぐ。
「しっ!静かに。こんなとこに忍んできたとバレたらマズいです」
今宵は月明かりもなく、灯りを消したばかりで茶々子の目に半助の姿は見えない。自分の口を塞いだ手を頼りに姿を捉えようと茶々子は手を伸ばした。すると半助は茶々子の手に自分の手を合わせて言った。
「ここにいます、茶々子さん」
どうやら目の前に座っているようだった。
「すみません、こんな時間にこんなマネをして」
「いえ。ちょうど、土井先生のこと考えていたので」
「……貴女に謝りたくて来ました。ここ数日貴女を避けていた」
「はい」
「格好悪い姿を見せてしまい、合わせる顔がなかったんです」
「格好悪い……???」
茶々子にはピンときていないようで半助は戸惑った。
「あ、えっと……つまり、私が尊奈門くんに嫉妬して……」
「嫉妬、してくれたんですか」
茶々子は合わせているだけだった半助の手に指を絡めた。
「私が尊奈門さんと話していたから?」
「……はい」
半助は自分の手が汗ばんでいる気がして手を離そうとしたが茶々子が絡めた指を離さずにいたので彼女の身体を引き寄せ形になってしまう。ぽすっと音がして小柄な茶々子の身体は半助の胸元にすっぽりと収まった。