第四章(土井ルート)隠せりと為すか
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庭へ出ると、門の前で茶々子と尊奈門が話しているのが見える。
尊奈門の少しばかり照れているような表情と、茶々子の屈託のない可愛い笑顔……
なにやらとても楽しそうに見えるのは気のせいだろうか。
その中で「尊奈門さんは……」と彼の名を口にするのが聞こえて、半助は胸の内に靄がかかるのを感じた。
それを打ち消すかのように声を張り上げる。
「茶々子っ!!」
急に大声で名を呼ばれて茶々子はびくりとして振り返った。
「土井先生……?」
半助の姿を確認すると、呼び捨てられたことに驚いて首を傾げる。近付いてきた半助にそのまま肩を抱かれて身を固くした。
「あ、あの……???」
「おいっ、土井半助っ!」
尊奈門は険しい顔をしているが半助はまるで目に入っていないかのように続けた。
「私のことも名前で呼んで」
「は、はい???」
「良いでしょう?結婚を考える仲なのだから」
「けっ、結婚ー!!??」
これには尊奈門が大きく反応した。
「おい、どういうことだ!それは本当なのか!?」
茶々子は戸惑ってちらりと半助を見たが、にこにこと笑いかけるばかりで何も言わない。これは私に言わせようとしているなと茶々子は悟った。フリとはいえ一応事実ではあるので否定するわけにはいかず、茶々子は答えた。
「……実は、そうなんです」
尊奈門は明らかにショックを受けた顔をしてフラついた。それをいつ追ってきたのか昆奈門が受け止める。
「おや、そうでしたか。それはおめでとうございます」
半助は「ありがとうございます」と昆奈門に笑顔を向けた。茶々子から見るとその笑顔は若干不気味で、ぞくりとした。
「いやいや、いつの間にそんな仲良くなられたのやら。ついこの前までそんな風には見えなかったのにねぇ」
昆奈門は変わらずいつもの調子で言う。
「それは貴方方には関係のないことでしょう?」
「ははは、それはそうだ。失礼した。それにしても土井殿、貴方も案外大人げない」
「おや、私をけしかけたのは雑渡さんですよ」
昆奈門はそれには答えずに尊奈門の頭をがしがしと撫でながら半助に言った。
「今日は面白いものが見られて良かったです。尊奈門は…まだ修行が足りないね。帰ろうか」
「あ……出門表にサインを」
茶々子がおずおずと出門表を出すと、昆奈門は手早く名を書いて、尊奈門に筆を渡した。尊奈門は意を決したようにぐっと筆を握りしめて丁寧に名を書くと、茶々子を真っ直ぐに見た。
「また来る。土井半助に何か嫌なことをされたら、私に言ってくれ。私は…茶々子…殿を守る覚悟がある」
これには昆奈門も半助も茶々子も目を見張った。
「……驚いた。尊奈門、お前けっこう男を上げていたんだねぇ。というわけだから土井殿、少しは心した方が良い」
「誰であろうとこの人は渡しません。無論、雑渡さんでも」
そう言って半助はさらに茶々子を引き寄せる。すると昆奈門は口元に手を当ててにやにやとした。
「可笑しなことを。私は人のものに手を出す趣味はありませんよ。では茶々子ちゃん、お幸せに」
こうしたやり取りに戸惑いながらも、茶々子は半助に肩を抱かれたまま軽く頭を下げた。
