第四章(利吉ルート)初恋 <完結>
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
学園が冬休みに入ると同時に茶々子の仕事は終いとなった。
「ご苦労様でした」
「吉野先生、お世話になりました」
「働き者の貴女が来てくれて本当に助かりました。寂しくなりますが、茶々子さんも本業を頑張ってください」
「はい、ありがとうございます!」
茶々子は各先生の部屋を訪ねた。生徒たちはもういない。先生たちは期末の処理でまだまだ忙しそうだったが、声をかけると笑顔で見送ってくれた。
なんて暖かい所なのだろうと思う。
色々あったけど、楽しかったし勉強になった。
祖父、父を継いでまた学園に仕事をしに来られるよう頑張ろう。
学園の門の内側で人を待つ。
一人で帰れると言ったのだが、絶対に送っていくからと中で待っていてくれと念を押された。一度やらかしてしまったので文句は言えない。
でも……
心配されるのが少し嬉しいだなんて、思ってもみなかった。
きぃ、と小門が開く音がしたのでぱっと振り向くと、想像していなかった人物がいた。
「ただいま戻りましたあ。あれ?」
その人はこちらを見て目をぱちぱちとしている。
もしかして...
「小松田さん?」
「そうでぇーす!小松田秀作ですぅ!もしや臨時で来てくださっていた方ですか?かっわいい~!!」
手を握られぶんぶんと振られた。
「あっ、はい。茶々子と申します。えっと、仕事は今日までで、これから帰るところでして...」
「茶々子ちゃん!えー、一緒に仕事したかったなぁ、残念!」
想像と随分違った。すごく人懐こくて仔犬みたいな方だ。こんな可愛らしい雰囲気の方が侵入者を見逃さないなんて、人は見かけで判断できないなと改めて思う。
「あ、でもまたいつでも遊びに来てくださいねぇ」
「ありがとうございます」
「ちょっと小松田くん」
少し遅れて小門から顔を出す人がもうひとり。
「「利吉さん!」」
「私の恋人の手を気安く握らないでくれ」
「えっ!!」
秀作が驚いた顔で私と利吉さんを交互に見た。
「そうだったんですかぁ!いつの間に!利吉さんて仕事人間で恋人作る気なんてこれっぽっちもないんだと思ってました!それにしても、利吉さんってけっこうやきもち焼きなんですねぇ」
「余計なことを言うな」
利吉が茶々子を奪い取るように抱き寄せると、秀作はにやにやとした。
「こんな利吉さん初めて見ました~」
「私もです」
「茶々子さん…」
利吉は困ったように笑うと、「行きましょう」と門の外へと促した。
「うふふ、お幸せに~!」
秀作ののんびりとした声が響く。
利吉は「まったく…」と口では言いながらもまんざらでもないような顔だった。
その横顔がとても嬉しくて、愛おしくて……
「利吉さん、好きです」
そう言った。
利吉は少し間を開けてから顔を赤くした。
「えっ!なっ、不意討ちは止めてください」
「ごめんなさい。私からちゃんと言ってなかったなと思って」
「あ、いや……その、改めて言われるとなんだか照れますね……」
そう言って利吉はしばらく押し黙ったあと、すっと手を差し出した。
「手を、取っても構いませんか」
「はい」
自らの手を乗せると、その手をぎゅっと握った。
利吉の手の暖かさが、ぬくもりがじんわりと伝わってくる。
こうして触れると込み上げてくる想いを口に出さずにはいられなかった。
「利吉さん、大好き」
「まったく、貴女という人はっ!」
「わっ!」
利吉は握った手を引いて茶々子を抱き締め、耳許に口を寄せる。
「……もう離してあげられませんよ」
そう、囁いた。
利吉ルート終