第四章(利吉ルート)初恋 <完結>
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翌朝、利吉と共に学園戻ると半助に出迎えられた。
「ふたり揃って朝帰りとはねぇ…」
「「土井先生っ!!」」
思わず声を荒げると利吉と声が重なってしまうと、半助は少し呆れたように笑った。
「ははっ、息がぴったりだ。とかく、茶々子さん、無事で何よりです。学園長がお呼びなのでそのまま庵に向かってください。あ、利吉くんも一緒に」
「私も、ですか?」
「良いから良いから。悪い話ではないと思うよ」
半助に促され、ふたりで庵に向かう。
想いは通じ合ったが、通じ合ったからこそ、周囲の視線がなんとも気恥ずかしい。
なるべく足早に庵に行くと、待っていたのは学園長と祖父だった。
「茶々子、無事だったか」
「おじじ様…」
祖父が倒れたというのは虚言なのは知っていたが、いざ目の前にいるのを確認できてようやく安堵した。
「話は聞いた。どこから情報を得たのやら、あやつがこのような行動に出るとは思わず、辛い目に合わせたな。利吉殿、茶々子を救ってくれてありがとう」
どこまで話してあるのだろう、と茶々子は気になったが、利吉が安心させるように目配せをする。
どうやら媚薬の件は伏せて報告してくれたらしい。
「いえ、礼には及びません。私がもっと早く到着していればこんなことには…」
「利吉さんは悪くありません!私が迂闊なばかりに、ご迷惑をおかけしてしまって」
互いに庇い合うふたりを見て、学園長と茶々子の祖父は笑った。
「ふたりは何だか良い仲じゃのぅ」
学園長にそう言われて、ふたりは顔を見合わせて頬を赤らめた。
「茶々子、そうなのか?」
「えっと、はい」
茶々子が返事をすると祖父は目を細めた。
「そうか……。それで、私がここに来たのはお前に話があってのことなのだが、今良いか。利吉殿も一緒に聞いてほしい」
ふたりとも頷くのを確認して祖父は話し始めた。
「茶々子、兄が戻って来たのは知っているな」
「先日、ここに来られましたが…」
「実はな、妻子を連れてきたんだ」
「えっ!?!?」
「やはり、肝心なことを言っておらなんだな。子は5歳、そしてもうひとり腹にいる。彼女の実家が戦で失くなったゆえ、今回戻ってきたということだ。でだ、茶々子」
「はい」
「兄も申したであろうが、私は研ぎをお前に託したいと思っている。しかし、家を継ぐとなるとやはり婿を取らねばならん。好いた相手が婿に来られれば良いが、なかなかそうもいくまい」
祖父は利吉をちらと見、続けた。
「彼にその気があれば構わんが、一人息子だろう?茶々子さえ良ければ、家督は兄が継ぎ、技術はお前が継ぐというのはどうか」
「それは、よろしいのですか?」
「いや、なに。お前が家督を継ぎたいというならそうするが、そうでないなら茶々子はもう家に縛られなくとも良いと思ってな。振り回してしまってすまないが…」
「いえっ!」
茶々子は勢い良く頭を下げた。
「ありがとうございます!そんな我が儘、許されるなんて思ってもみませんでした」
それを見てふたりの老人は目を細めると、利吉に向き直った。
「そういうわけじゃ。まぁ、落ち着くとこに落ち着いたのう」
学園長がそう言うと、茶々子の祖父は頷く。
「学園長先生、世話をかけました。利吉殿、世間知らずの孫娘ですがどうぞよろしく頼む」
「いえ、こちらこそ。茶々子さんはひたむきで、勉強熱心で、可愛らしくて...私には勿体無いくらいの人です。大切にさせて頂きます」
「なんだか結婚の挨拶のようだ」
「!!」
それを聞き、茶々子は思わず利吉を見たが、柔らかく微笑むばかりで真意は見えなかった。
「ははは!私としては嬉しいが、そこはふたりで話し合ってくれ。では、私はそろそろ出るから。茶々子、学園での仕事、最後まで責任を持ってやりなさい」
「もちろんです」
はっきりとそう答えると、祖父は学園長に再度お礼を言って庵を出ていった。