第四章(利吉ルート)初恋 <完結>
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「貴女が学園にいないと知って、どれだけ私の心が乱れたか分かりませんか」
利吉がすぐ触れられる距離まで詰めてくる。
茶々子はあの紅葉狩りを思い出した。あの時よりも近い。
「私の手の中で乱れる貴女の姿を見て、このまま抱いてしまいたいと何度思ったか…...分かりませんか?」
目と目が交わり、どきっとした。
私も利吉さんになら、と思った。
けれど、あのような姿を曝してしまった上に、あの押し寄せる不安な快楽の中で口付けすらしなかったから……
ただ義務感でしてくれているのだと…
「………すみません、やり直させて」
何を思ったか、利吉はそう言うと真正面に座り直して姿勢を正した。
「茶々子さん、私は貴女が好きです。私と恋仲になってはくれないでしょうか」
端正な顔を赤らめて、少しばかり緊張しているような利吉の声が、言葉が、茶々子の胸の中に入ってくる。
沸き上がるこの感情の渦は何だろう。
茶々子はぽろぽろと涙を溢した。
「なぜ、泣くんですか」
「嬉しくて………私も、同じ気持ちです」
利吉は茶々子の涙を拭うとそのまま頬に触れてきた。
「……口を……吸っても良いですか」
茶々子は答える替わりに利吉の手に触れた。自分の鼓動が早くなったのが分かる。
利吉の顔が近づいてくると、恥ずかしさが込み上げて目を閉じた。
軽く、触れるだけの口付けだった。
唇が離れて寂しさを感じて目を開けると、照れ草そうに笑う利吉と目が合った。
可愛い、と思った。
ずっと見ていたい。
もっと触れたい。
「そんなに見られると、困ります。抑えられなくなりそうだ…」
抑えなくても良いと、言いかけたところでハッとした。今、何時だろう?外は日が落ちてきている。
「あっ!学園に戻らないと!」
「それは、心配いりません。知り合いに遣いを頼みましたので。今日はもう遅いのでここに泊まって、明日の朝帰りましょう」
「あ……はい」
ということは、このまま利吉と一夜を共にするということだろうか…
想像してしまって顔に熱が集まってきた。
「ははは、そんな顔をされると誘惑に負けそうですが……心配せずとも私は部屋を別に取りました。今日はここまでにします」
はしたない想像をしてしまったと、さらに恥ずかしくなって下を向く。穴があったら入りたい。
「茶々子さんとはゆっくりと関係を深めたいんです。貴女を心身共に大事にしたいと思っています」
利吉の気持ちが、とても嬉しかった。
彼が私との未来を見据えてくれている。
ならば、伝えなければならないことがあった。
「利吉さん。私、言わなきゃならないことがあるんです」
「なんでしょうか」
「実は……私は家を継ぐことになっているので、婿を取らないとならないんです」
茶々子は、家の事情や学園に来ることになった経緯を話した。
利吉は顎に手を当ててしばらく考えていたが、ふわと優しく微笑んで言った。
「分かりました。私は一人息子ゆえ、簡単に答えは出せませんが、解決策を考えてみましょう。あと、今日学園に貴女のお祖父様が来てましたので、何か事情が変わったのかもしれませんよ。悩むのは、それからにしましょうか」
事情を知ってなお想いの変わらぬことを示してくれる彼に、茶々子は心の底から幸福だと感じた。